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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

文章を書いていると「文末の表現が似てしまう」という悩み

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文書化能力向上コンサルタントの開米です。
これは研修で使った付箋紙を整理していてふと目についた一枚なのですが・・・・



文書作成能力研修をしているときに、「説明書、報告書などを書くときの悩み」を自由に書いてもらった中にこういうものがありました。

「文末の表現が似てしまう」という悩み、結構良くあります。自覚しないままでこれに困っている方も多そうです。

たとえば次の2つの文例を見てみましょう。

<A:定形版>
ITは企業・社会の神経系を担っている。
その神経系はウィルス等のリスクにさらされている。
企業はこのような新しいリスクへの対応も迫られている。
当然、国レベルでの対応も求められている。

<B:変化版>
ITは企業・社会の神経系を担うものだ。
その神経系はウィルス等のリスクにさらされている。
企業はこのような新しいリスクへの対応もしなければならない。
当然、国レベルでの対応も不可欠である。


A:定形版 は文末をすべて「~いる。」で揃えてあり、B:変化版 は文末をすべて変えてあります。

一般的にはAのような「定形文末の繰り返し」で書いた文章は「幼稚」であると思われてしまいます。小学生に作文を書かせると、よくそういう書き方をしますが、文章を書き慣れていないと「使える表現のバリエーション」が乏しいため、どうしても定形文末の繰り返しになりやすいんですね。そのため、「同じ表現を繰り返して使ってはいけない」というのが実は「良い文章の書き方」の基本的なノウハウとして知られています。

ところが、Bのような文末変化版の書き方をするのは結構大変なんです。だからそれに苦労する人が多い、わけですが・・・・

ここで爆弾発言しちゃいましょう。

「良い文章なんぞ書く必要はない!!」

「文章」を書くから文末が気になるのであって、そもそも文章書かなきゃいいんですよ。たとえば、


<C:個条書き版>
1.ITは企業・社会の神経系
2.その神経系にはウィルス等のリスクが存在する
3.このような新しいリスクへは
    a.企業レベル
    b.国レベル
  の両方での対応が必須


と、こんなふうに書いたらどうですか?

個条書きと体言止めを駆使して「文章」ではなく「情報の列挙」にしてしまうわけです。「文章」としての流れをまとめる必要がないのでこのほうが楽に書けることが多いですよ。

だいたい、「情報」を伝えるために「文章」を使う必要は、必ずしもないんです。

そもそも「文章」で伝えることがまったく向いていない情報はいくらでもあります。
地図を文章で書くのは無理だし、データベース構造を文章で書くのも無理だし、電子回路を文章で書くのも無理ですね。

情報の種類によっては「文章」が向いていないものもあるので、そういう情報を書くときは「文章」を書くのに苦労する意味はありません。

社内・社外の業務連絡や仕様書、報告書などはそもそも「情報を伝える」ことが大事なので、「美しい文章を味わう」必要がそもそもないんですよね。だから、個条書きでチャッチャと片付けてしまったほうがいい場合が多いものです。


以下、余談みたいなものですが、「同じ表現を繰り返して使ってはいけない」という「良い文章のセオリー」はそもそも「文学的に美しく味わい深く、書き手のアタマが良さそうに見えるセオリー」であって、「ビジネス実務で必要な情報がすばやく伝わる書き方のセオリー」ではありません。

だから、「どうだ、見ろ! 名文だろう! 俺はアタマがいいんだぞ!」というアピールをしたいときでもなければ、そもそもそんなセオリーはあんまり気にしなくていい。そんなふうに私は考えています。(国語の先生は認めないかもしれませんが・・・・ね)


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