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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

「小型船舶での居眠り事故」 問題、解説編

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こんにちは。文書化支援コンサルタントの開米瑞浩です。文書化支援といっても内部統制とかJSOXとはまったく関係ありません。私はあくまでも、「難しいことをわかりやすく書きたい人のための文書化支援」を行っています。


では、昨日の「小型船舶での居眠り事故」問題の続きです。

とりあえず、箇条書きにしてみましょうか。

2012-0329-kogatasenpaku-01.png

文章でダラダラ書くよりはマシですが、これじゃ、まだまだですね。(この程度で満足してしまっているプレゼン資料が世の中には多いのですが・・・)

では図解のポイントを考えます。
Aのブロックはa1~a3まで、「数字」が並んでいます。
そしてこの数字にそれぞれ関係がある。a1にa2が含まれ、a2にa3が含まれるという、そういう関係ですね。

この種の数字を直観的に把握できるようにしようと思ったら、グラフを使うべきです。
が、グラフだからといって表計算ソフトを使うよりは、描画ツールを使う方がいいでしょう。たとえばパワポでこういう図を書きます。


2012-0329-kogatasenpaku-02.png

こんなグラフを書くと、「総数の5000件」に対する「小型船での居眠り事故」の数がどの程度の比重を占めるかが目に見えます。

表計算ソフトではこういうグラフはかえって書きにくいので、単なる描画ツールを使う方がうまく行きます。パワポの貧弱な描画機能で十分です。

次に、A~Eまで、何らかの判断ロジックがつながっているはずですから、それを明示するためにも図解しましょう。
実は、「文章」からロジックの妥当性を読み取るのはなかなか難しいのに対して、図に書いてみるとそれがよくわかるものです。

そこで、論理のつながりがわかるように図解すると・・・こうなります。

 2012-0329-kogatasenpaku-03.png
左側の薄緑色の箱の列がこの話の要点で、「なぜなら」「したがって」「したがって」とつながっています。
右側のベージュの箱は、関連づけられた緑の箱に対する補足説明。

(ち なみに「陸上車両と違い長時間の航行を余儀なくされる」というのは厳密にいうと、陸上車両の場合は道路に信号があり、他車や歩行者という障害物も多いため 常に緊張感を持った走行を強いられるのに対して、船舶の場合は障害物が少なく、放っておいても大丈夫な時間が長いため居眠りしやすい、という話です)

(X)と(Y)が何か気になりますが、これは話の流れから言って必要な情報と思われるにもかかわらず、元の記事中に書かれていない項目です。

小型船舶「へも」居眠り防止装置が必要・・・とありますが、「も」ということは、大型船舶には既に導入されている、ということではないかと思われます。もしそうなら、この話の流れに説得力が増します。が、そこの事実関係が書かれていませんので、できれば事実を調べてX、Yを補うべきですね。

以上、「小型船舶による居眠り事故」問題でした。


(余談)
こ の話は「2009年までの船舶事故」とあることからもわかるとおり、2010年以降に書かれた文書が元です。「小型船舶にも居眠り防止装置を」という話を 聞くと思い出すのが、2008年に起きた「イージス艦あたご衝突事故」です。この事件は海難審判では「あたご」側に回避義務があったとされましたが、刑事 裁判では「あたご」側全面無罪となりました。断定はできませんが状況証拠的には、漁船側が居眠り運転をしていた可能性が高い事件でした。


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