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「誰かが教えてくれることを信じるのではなく、自分で考えて行動する」ためには、矛盾だらけの「現実」をありのままに把握することから始めるリアリスト思考が欠かせません。「考える・書く力」の研修を手がける開米瑞浩が、現実の社会問題を相手にリアリスト思考を実践してゆくブログです。

原子力論考(37) 作業員200人死亡? あ、それデマですから

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本業は文書化支援コンサルタントで原子力とは何の関係もない開米瑞浩です。

いや本当に別に原子力に詳しいわけじゃないんですが、これだけ書いていると少しは知られるのか? 昨日、ある知人に聞かれてしまいました。

  「開米さん、原発作業員がもう200人ぐらい死んでいて秘密にされてるっていう話はデマなんですか?」

はい、デマです。それ、どこで読んだ話?

  「○○○ブログというところにそういうことが書いてあるんですよ」

ああ、有名なデマサイトですねそれは。

というわけでそんなことを聞かれてしまったのでここに書いておくことにしました。

世の中には変わった人もいるもので、今あらためて調べてみたら、200人どころか4000人死亡といったデマを流している地方議員までいるのを思い出しましたが、まあ冷静に考えてみてください。

そんなに死者続出してたら、隠し通せるわけがないです。

昨年の3.11以来、確かに死者は出ていますが数名で、いずれも報道されており、働いている人数から考えてもそれほど異常な数ではありません。

この種のデマを飛ばすときは、「もっと多数の死者が出ているのに知られていないのは隠蔽されているからだ」という理屈が必要になるため、「どうやって隠蔽しているか」というネタが一緒についているのが普通です。

たとえば

   遺族は口止め料を3億円もらっている
   そもそも作業員は身元不明の無縁者をかき集めてきた者で、闇から闇へ葬られている

など、そういった噂がまことしやかに語られて、しかもソースを示さないか、「ソースは逃げてきた作業員です。私は直接話しました」・・・のように書くのがよくあるパターン。

知人が名前を挙げた「○○○ブログ」というのもその手のデマサイトで有名なところでした。

抜け忍狩りがあった時代じゃあるまいし、個々の作業員は普通の市民です。異常死があったら隠し通せるわけがありません。

というわけで「それデマですから」。


あともうひとつ聞かれたのが2号機の温度計故障の話。
本当に故障なんですね? 不自然じゃないんですね?
と、これもやはり「故障なんて嘘だ、政府と東電は真実を隠蔽している」説がはびこっているみたいですが、もちろんこれも既発表のように故障と断定されてますし、私にはそれを疑う理由はありません。

3.11以来原発をウォッチしている東大の早野教授なども故障と断定しています。

福島第一原子力発電所2号機に関する早野教授のツイート集

原子炉圧力容器の温度計測に使われているのは熱電対という原理の温度計で、温度差に応じて発生する微弱な電圧を測定して温度を測るものです。爆発した上に塩水をぶっかけているという環境で、故障が絶対に起こらない、と期待するほうが難しいですし、実際、これまでも多数の温度計が故障していることが確認されていて、今回はそれが1つ増えた、ということに過ぎません。

該当の温度計以外には異常を示す指標はなく、そもそも臨界停止から1年近く経って発熱量も激減しています(このこともあまり知られていないのかもしれませんが)。そんなわけで、

単なる故障です。

・・・・・以上。

ほかに気になることがあったら何かの手段で聞いてくれれば、私のわかる範囲で調べてお答えしますのでよろしくです。



(抜け忍狩りなんてのも本当にあったのかどうかは知りませんが、ね)


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