SCMパッケージブームは去っても、中長期計画の業務は厳然として存在します
Asprova SCMのデモと説明を受けました。
SCM(supply chain management)ブームは2000年頃だったでしょうか?
i2やマニュジスティクスが一世を風靡していました。家電のP社ではi2のライセンス在庫を10億円分位抱え、その消化の為の各事業部へのプレッシャーは大変なものでした。資材や製品の在庫を削減するためのSCMが、ライセンス在庫の消化に苦しんでいたのは真に皮肉です。
自動車のT社では、当時のCIOの話では、米国子会社が抱えたi2ライセンス在庫15億円を捨てたそうです。これも不良在庫を抱える羽目になった皮肉な話です。
ERP、CRM、SCMなど都度ブームが訪れ、各社は競って導入し、大半は失敗しています。なぜこのようなことが繰り返されるのか不思議でなりません。
@IT情報マネジメントではSCMを以下のように定義しています。
「主に製造業や流通業において、原材料や部品の調達から製造、流通、販売という、生産から最終需要(消費)にいたる商品供給の流れを「供給の鎖」(サプライチェーン)ととらえ、それに参加する部門・企業の間で情報を相互に共有・管理することで、ビジネスプロセスの全体最適を目指す戦略的な経営手法、もしくはそのための情報システムをいう。」
企業では、長期・中期に全体最適を目指した、販売・物流・生産計画を立案し、各月のPSI(Production、Sales、Inventory)会議で各工場の基準生産計画(MPS)を確定し、MRPを回して購買オーダや製造オーダを確定していきます。
この中長期の販売・物流・生産計画立案にはSCMシステムが役立ちますが、どんなに高額で精緻な計算をするSCMシステムでも自動的に正しい予測を立てられるとは限りません。
高度な数式や指数平滑を用いても、事前に、リーマンショック、ギリシャショック、円高を加味した予測は不可能です。
SCMシステムはあくまでも、人間の意思決定を補助するための仕組みでしかありません。この意思決定は経営そのものであって、SCMシステムに経営を任せる訳には行きません。SCMパッケージ導入は、大半は失敗に終わっていますが、この辺りの認識が不足していたと思われます。
SCMパッケージブームは去っても、中長期計画の業務は厳然として存在します。複数のユーザ、デポ、配送センタ、工場、仕入先等の数多い要素を定義し、要素毎の、安全在庫やリードタイム等を考慮した販売・物流・生産計画を立案したり、代案を考えるのは、人間の頭では間に合いません。Excelだけではとても煩雑で訳が分からなくなります。
Asprova SCMには、需要予測モジュールはありません。LP等の高度な数式は一切使われていません。但し、上記要素を定義し、安全在庫やリードタイム等を設定し、需要をインプットすると、下から上(ユーザ→デポ→配送センター→工場→仕入先)に計算し、各購買オーダや製造オーダをジェネレートし、欠品や納期遅れを警告し、実現可能な中長期の販売・物流・生産計画立案を支援してくれるとてもシンプルで使いやすいASPサービスです。