地方創生に繋がる真のテレワーク「サテライトオフィス」とは?
1991年に設立された「日本サテライトオフィス協会」は2000年に「日本テレワーク協会」に名称変更されています。ウィキペディアによれば、「当初は企業に勤務するサラリーマンの在宅勤務やサテライト・オフィスの活用に関する
情報提供などを主に取り扱っていたが、その後いわゆるSOHOやモバイルワークが普及し世間に認知されるようになったため、現在はそれらも含めた広い意味でのテレワークを取り扱うようになっている。」と記されています。
ところが、「日本テレワーク協会」のホームページのコンテンツを見る限り、「在宅勤務」と「モバイルワーク」に関する記述は多いですが「サテライトオフィス」に関する記述はほとんど見当たりません。
1990年当時にはIT系企業を中心に「サテライトオフィス」ブームがありました。「サテライトオフィス」には大都市近郊のオフィスと地方のオフィスの2種類があります。大都市近郊のオフィスは、大都市中心部のオフィスへの通勤時間や通勤地獄の無駄を解消しようとするものです。地方のオフィスは、大都会の喧騒を逃れ大自然の中での効率的な仕事を目指すものです。ところが、この2種類のサテライトオフィスは定着することもなく、いつの間にかブームは終焉したようです。
一方、子育て支援、介護支援、インフルエンザ対策等の事業継続計画(Business continuity planning、BCP)等から、
「在宅勤務」はかなり普及定着してきたと思われます。「モバイルワーク」も含めてCITセキュリティー技術の進歩が
これらの働き方を可能にしたのです。
「在宅勤務」と「モバイルワーク」と「サテライトオフィス」は「テレワーク」という言葉で一括りに語られることが多いですが「在宅勤務」/「モバイルワーク」と「サテライトオフィス」は根本的に異なります。
「サテライトオフィス」には社員の地方への移住が発生し、企業にとっては新たなオフィスの取得コストがかかります。ワーク・ライフ・バランスやワークスタイル革新と言いながら、「サテライトオフィス」は敷居が高いようです。
テレワーク事例で有名な、パナソニックのe-Workでは対象人数約45,000人で制度の内容は、モバイルワーク、在宅勤務、スポットオフィス等です。スポットオフィスは主に内勤者が出張時に利用する全国14拠点に設けられたものです。従いまして、この事例でも「サテライトオフィス」の概念は存在しません。
今、「サテライトオフィス」をキーワードに検索するとヒットする記事の約90%は徳島の神山町、美波町、三好市に関するものです。約10数社が古民家や旅館跡や老人ホーム後にサテライトオフィスを設立している立派な成功事例です。ところが、サテライトオフィスで働く社員は1名~数名で、全てベンチャー系企業で大手企業は進出していません。それでもここまで有名になったのはプロモーションの上手さやWeb会議システムを提供する大手IT企業の支援に負うところが大きいと思います。これからは、マスコミ受けではなく新に新しい働き方としての「サテライトオフィス」の普及が望まれます。
「サテライトオフィス」のメリットは以下の通りです。
・ワーク・ライフ・バランス
・通勤地獄・通勤時間からの解放
・大自然の中で創造的発想
・ダイバシティーによる企業力向上
・ストレスの解消
・時間の効率化
・集中による仕事の効率化
・CSR
・オフィスコストの削減
・各種補助金利用
・拠点の分散化
・テレワーク
・震災や新型インフルエンザに対する事業継続を可能にす災害リスク管理
・優秀な人材の確保
・住居費の削減
・健康促進
・地方創生
・子育てに優れた環境
26年度総務省所管補正予算でも、「ふるさとテレワーク推進事業」に10億円の予算が計上されています。これは単なる「在宅勤務」や「モバイルワーク」が対象ではなく、若者移住や地域雇用を生み地方創生に貢献する「サテライトオフィス」が対象です。