基幹系システムにクラウド・コンピューティングは活用できるか?
クラウド・コンピューティングには利用形態の違いからSaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)の3種類があります。
いずれの形態でも共通するのは、サーバを自営しないで共同利用することです。
SaaSとPaaSのトップランナーはSalesforceで、IaaSのトップランナーはアマゾンEC2でしょう。
CRMを構築する際はSalesforceが大いに活用できます。Salesforceが提供するアプリケーションテンプレートをカスタマイズして自社にとっての最適なCRMを構築出来ますので典型的なSaaSといえます。
CRM以外の情報系のシステム構築の祭は、開発環境、実行環境としてのSalesforceのForce.comが大いに活用できます。Force.comを利用したNotesシステムのリプレイス事例が沢山あります。アプリケーションテンプレートは利用しないで、自社の情報系システムをスクラッチで構築して行きますので典型的なPaaSといえます。
ニューヨーク・タイムスが、100年分の新聞記事をPDF化する際にアマゾンEC2を利用し数十ドルですんだという記事を読んだ覚えがあります。典型的なIaaSの利用です。IaaSでは高速のCPU、大容量のディスク等のインフラが低コストで利用できますが、開発環境が提供されている訳ではありません。何らかの方法で開発済のシステムを実行するインフラをサービスとして利用する訳です。
さて、大容量のデータハンドリングと高速バッチ処理を必要とする基幹系システムでクラウド・コンピューティングを利用できるでしょうか?
IaaSの場合は、従来型の開発環境を利用するしかありませんので、例えばバージョンアップ問題などの従来型の問題を引きずることになります。
PaaSとしてのSalesforceを活用して、基幹系システムを開発したいところですがデータ容量やAPI使用回数に制限があり、対話型アプリケーションではない大量バッチ処理を含む基幹系システムには利用できません。
願わくはSalesforce社もサーバを増強し、ユーザ数課金だけではなくリソース課金も併用してデータ容量の制限やAPI使用回数の制限を撤廃して欲しいものです。