SFA 七不思議その7 SFAはなぜ定着しないのか?
今回はSFA導入失敗実例を書いてみたいと思います。
前職の外資系ソフトウェアベンダーではグローバルにSFAシステムが導入されていましたが、日本ではまったく定着していませんでした。
導入プロジェクトの責任者はマーコムの責任者で、担当者として営業も参画していましたが、多忙であまり時間が割けなかったようです。
結果、Webリードの取り込み、担当営業への自動割り振りまでは動いてはいましたが、それ以降のリードの評価、案件への移行、案件の管理、売上予測などの営業支援・管理機能はまったく使われていませんでした。
使おうにも、間接販売などの日本の商習慣に対応した機能はまったくなく、使いようがありませんでした。SFAシステムがありながら、代理店からの月次案件報告、案件管理表、受注予定表など、営業会議用資料、本社報告用資料はExcelのオンパレードです。
リードアンケートに記入された取引のある代理店名によって、その代理店担当営業にリードが自動割り振りされていました。代理店名の記入の無いリードは営業責任者に一旦割り振られ、責任者の判断で再割り振りされるルールでしたが、営業責任者が変わった時に、そのルールを引き継がれなかったため、気が付いたときには千件に近い未割り当てリードが溜まりっぱなしになっていました。
新人営業にも、担当代理店のリードが自動で割り振られるルールが教えられることなく、入社半年後に気が付くまで、割り振られたリードは溜まりっぱなしでした。
せっかく獲得したリードも、SFAシステムだけが自動取り込み、自動割り振りをせっせと行っているだけで、肝心の営業担当者によるリードフォローに繋がっていません。これでは何のためのマーケティング活動かさっぱり分かりません。
ましてや、新規ユーザを登録できるシステム管理者は米国に一人しかいなく、新たに営業部長が入社した時、彼のユーザアカウント登録を何度督促しても、登録されたのは二ヵ月後のことでした。
この外資系企業では週1回のメルマガを出していました。出状先はSFAシステムのDBに登録されているメルアドです。
Webリードのメルアドは自動登録され、イベントで収集されたメルアドは外注業者によって登録されます。ところが営業担当者によって収集された名刺のメルアドはまったく登録されていませんでした。
数年前のイベント参加者や、Webから資料をダウンロードしても何のフォローもなかった人々には毎週メルマガが届きますが、最近、営業が直接面談した、それもユーザ企業の方には届きません。一番メルマガの効果が期待できる人々なのですが。
せめてSFAシステムをEメール・マーケティングに活用しようと思っても、案件管理や受注予測に使われないSFAに、名刺情報を登録する奇特な営業もいませんので、名刺入力代行ルールを作りましたが、これも活用されませんでした。
正にSFA導入の魔のスパイラルです。
この失敗原因は何だったのでしょうか?
1. 導入プロジェクトへの営業担当者の参画が中途半端で、営業活動を支援・管理するためのカスタマイズが十分に行われないままカットオーバーしたこと。
2. 日本のTopが営業会議や本社への報告に、いつまでもSFAシステムを使わずにExcelを使い続けたこと。
3. 設定を変更できる権限を持ったシステム管理者が日本にいなかったこと。
などが上げられます。
SFAシステムの全体像を理解している導入コンサルタントの力を借り、自社に必要なカスタマイズを効率的に行い、Top自身がこのSFAシステムを通じてマネジメントを行うことをコミットメントし、ユーザマニュアルをしっかりと作り、使い方を継承し、設定変更権限を持ったシステム管理者がいること。
これらがなくて、SFAが定着するわけがありません。