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諸井虔さんの訃報を聞いてSaaSを思った理由

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太平洋セメント特別顧問の諸井虔さんをご存知の方は多いと思います。

諸井虔さんの訃報を聞いて、頭に浮かんだのはSaaSのことでした。
というのは、約25年前位でしょうか、諸井さんの講演会を聞いたことがあります。

諸井さんが、「将来、企業からはIT部門が無くなる。戦前には各企業は工場や本社を建てるために一級建築士を必ず雇っていたが、今、一級建築士を抱え込んだ一般企業は無いでしょう。それと同じです。」と仰った事がとても印象的でした。

私がIT産業に入った35年前にはコンピュータメーカ以外のSI会社はほとんどありませんでした。システム開発・運営はユーザ企業自身が行うものでした。大きなコンピュータールームを社内に作り、システム部門には多くのエンジニアを抱え込んでいました。

ところが、今やSI産業は、コンピュータメーカー産業以上に大きくなりました。
各企業は、本業ではないシステム開発・運営を社外にアウトソースするようになったからです。ところが、諸井さんが予言されたように、企業から完全にIT部門がなくなったかというと、そうでもありません。何らかの理由で企業自身が自営せざるを得ない部分が残っています。

IT部門の子会社化、ハウジング、ホスティングはまだまだ中途半端なアウトソースです。
ASPもそれなりに普及してきましたが、カスタマイズしなくてもすむアプリケーションに限定されています。企業内システムを総てアウトソースするには、カスタマイズ可能なSaaSが近道だと思っています。

IT産業の一番大きなトレンドは、企業からIT部門が無くなることだとすると、ASPのレッテルを変えただけのSaaSではなく、本来のSaaSがその原動力となったユーティリティ・コンピューティングがITビジネスのメガトレンドだと思っています。

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