ポジティブ・ネガティブは生まれつきではないらしい。それは仕事も毎日もおんなじ。
実弟の家に遊びに行ったとき、真っ白なパズルの作り途中のものがあったんですよ。 真っ白で細っかいピースの「これものすごい難しいし、完成しても、白い板ができるだけだよね」のようなパズルです。 その疑問、そのまま実弟にぶつけてみました。
「これ、完成しても白い板ができるだけだよね」
「そうだよ」
「真っ白じゃん、ピースも小さいし細かいし、難しくない?」
「すごい難しいねぇ」
「なんでやってるの?」
「え?難しいから」
「?」
「簡単なの何回もやるより、難しい方が面白いでしょ~」
姉、驚き。
このような心のありかたのことを、「しなやかマインドセット(=growth mindset)」といいます。 スタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック博士が提唱しています。
「しなやかマインドセット」とは「能力は努力次第でいくらでものばせる!」という、なんとも羨ましい素敵な能力感のことです。 一方で「こちこちマインドセット(=fixed mindset)」もあります。こちらは「能力は持って生まれたものなので変わらない」という能力感のことです。 つまり努力は無駄だし、できればチャレンジしたくない、失敗したくないと思います。
さて、羨ましい・・・といっている私は、誤解を恐れずに言うと「こちこちマインドセット」です。 だから分かるんですけど、仕事や人生生きるのには、「しなやかマインド」の方がよいですよ。だって、「こちこちマインド」って楽しくないんです。 いつも周囲からの評価を気にして、できるかできないか、どうすれば恥をかかないですむか・・・。 なんて、結構苦しいことが多いというか、勝手に気に病んでることが多いものなんです。
でも、だからこそ声を大にして言いたい。「「しなやかマインドセット」の方が、絶対仕事も人生楽しいよ」と。
悲しいかな、同じ親から生まれてきても、実弟と私のように、異なるマインドセットで育つことはありえます。 その時の親の育て方(弟とは8歳離れているので、親の関わり方も変化している)や、周囲(先生など)の関わり方、どんな環境で育ってるかなど、 大いに影響があります。ただそれはもう、どうしようもないことです。よく言われる「他人と過去は変えられない」というヤツです。
でもそんな自分でいるには、辛すぎる。
そんな私にサクッと違和感なく入ってきたのが、キャロル博士に師事した、同志社女子大学の上田教授が提唱した 「プレイフル・シンキング(playful thinking)」の概念でした。「プレイフル」とは、物事に対してワクワク・ドキドキする心の状態を指す言葉で、 「プレイフル・シンキング」とは、仕事を楽しむために考え出された思考法です。
細かく言うといろいろありますが、1つだけ。
何か難しい仕事や新しいこと、チャレンジングな案件やプロジェクトに関わる時。
「私にできるかな?(Can I do it ?)」考えるのではなく
「どうしたらできるかな?(How can I do it ?)」と考えてみるのです。
ちょっと視界が広がって、クリアになった感じがするのです。単語一つのことなのに、縮こまるのではなく、周囲が見える感覚に切り替わります(と思えます)。
さて、私にとってありがたいのは、この考え方が生まれつきの資質や"とにかく頑張れ!"のような精神論ではなく、 「プレイフルに取り組めるための思考法だ」と、いうことです。天然プレイフルな人にあこがれ、 羨ましいと思う私でも「後付けでも学べばプレイフルになれる」と励まされた考え方でした。