「この仕事ヤダ」不本意をチャンスにする方法とは?
はじめに
本ブログでは、某企業の若手社員「私」の"困った""悩んだ"毎日を舞台に、仕事や物事がより円滑に進むようなコミュニケーションのヒントをご紹介します。
「私」は入社3年目の女性社員。学生時代は女子ラクロス部の主将で、基本的には前向きな性格です。仕事にも慣れ自信もついてきた頃ですが、先日希望と違う部署に異動になりました。「私」はややヒューマン・スキルが未熟なこともあり、自分とうまく向き合えず、周囲や仕事とうまくかみ合わず、少々悩み気味です。
「私」を自分に置き換えてもよし。「私」にアドバイスをするつもりで読んでもよし。「ちょっと試してみようか」と思って頂ければ嬉しいです。それでは本編へGO!
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ここは会社からほど近いカフェ。
3か月前新しい部署に配属された私は、異動前の部署でお世話になった先輩に、最近の悩みを打ち明けていた。
「ほんと、新しい部署、私にあってないんですよね。そもそも希望していた仕事でもないし・・・。それでも配属時は一応がんばろうと思ってたんですけど、やっぱり気持ちが乗らないというか、楽しくないというか」
先輩は相槌をうちながら、話をきいてくれる。
「そっか、今の部署が楽しくないんだねぇ。」
「仕事も楽しくないです。楽しくないから、上司や周りの先輩もたぶん私のこと、あんまりよく思ってないと思うんですよ。希望通りの部署にいけたら、絶対イキイキ働けたと思うのに、がっかりです」
しばらく私の話をきいていた先輩は、区切りが付いたところで言った。
「1つ、感じたこと言ってもいい?」
「はい」
先輩は今までも、この決めゼリフの後に、的確なアドバイスを言ってくれていた。今回もよいアドバイスがもらえるかも知れない。私は期待しながら、先輩の次の言葉を待った。
「その状態だと、希望の部署はおろか、その部署でもチャンスはまわってこないと思うよ。」
「・・・」
的確で、意外なほどクールな先輩のヒトコトだった。
「「計画された偶発性理論」って聞いたことある?」
「聞いたことあるような気がします・・・」
「知らないことを知らないって言えるのは、あなたの良いところだったのに、それもできないくらい自信がなくなっちゃったの?まぁ、それはまた今後でいいか。
偶発性理論って言うのは、「個人のキャリアの8割は、偶然のことで決まる。だからその偶然ふってきた仕事やチャンス、出会いに対して計画的に取り組み、自分のキャリアを良いものにしていこう」という考え方のことなんだよ」
「じゃ、仕事にどう取り組むかで自分のキャリアが決まるってことですか」
「そう。例えば今度魅力的なプロジェクトが立ち上がる時、上司が誰をアサインするか悩んでいたとしようか。言われた仕事をただこなしている部下と、限られた中でも創意工夫しながら楽しんで結果出している部下となら、どちらをアサインしようと思うだろうね。」
「そりゃ後者だと思います」
「そうだよね。だとするとその部下は、自分の行動がチャンスを引き寄せた、ということがいえるよね。で、もう一つ覚えておいて欲しいのは、仕事におけるそもそも事の発端は「8割は偶然」だということなの」
「きっかけは、たまたま、ということですか」
「そう。最初から自分の思い描いていた理想のキャリアをまっすぐに登れる人なんて、ほんと少数派だよ。多かれ少なかれ、みんな紆余曲折があるわけ。
例えば、第一人者と呼ばれている人たちだって、はじめは違う分野で仕事をしていることが多いんだよ。それで、たまたま自分や誰もやったことのない仕事がきて、そんなに興味も無いけれど必死でなんとかこなしている内に、そこで出した結果が認められて、次ぎの仕事がきて・・・、いつの間にかその分野の有識者になることは珍しくはないよ。
これは人との出会いも同じことが言えるよね。たまたま出会った人とどのように関わるかで今後に活かせたり活かせなかったりするからね」
「なるほど・・・。じゃ、今配属された部署は、私にとっては不本意な偶然だけど、ここで何かをいろいろ積み上げることで、この後が変わっていくんですね」
「まぁ、そういうこと」
「でも、もう配属されて3か月経っちゃって・・・、今から頑張っても遅くないですかね。」
「何かやってみることに、遅いってことはないよね」
と言って先輩はコーヒーを飲んだ。
今からでも遅くない。では、明日からどう行動すればよいのか。
私は、机の上のカップを見つめながら考えた。
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■今日の元気ワード:計画された偶発性理論を活用しよう■
「計画された偶発性理論」(Planned Happenstance Theory)とは、米スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア理論です。この理論を実践するときのポイントは、以下の行動指針に則ることです。
「好奇心」 ―― たえず新しい学習の機会を模索し続けること
「持続性」 ―― 失敗に屈せず、努力し続けること
「楽観性」 ―― 新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること
「柔軟性」 ―― こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること
「冒険心」 ―― 結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと