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【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド/2025年・前期版

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最新のITトレンドを俯瞰するチャート(クリックすれば拡大します)を描いてみました。

昨年の夏、「【図解】コレ1枚でわかる最新ITトレンド 改訂第5」を出版して半年が経ち、改めて今の「最新」はどうなるかを考えてみました。様々なご意見や異論もあるかとは思いますが、まずは、私なりの整理として、参考にしてください。

本チャートの全体構成

中心に「DX(紫色)」を配置し、DXの実践を支えるテクノロジーとして重要と考えられるテクノロジー(橙色)を配置しています。さらに、これらテクノロジーの前提となる要件として、AIガバナンスとサイバーセキュリティ(青色)、その外側にこれらを活かすためのメソドロジー(緑色)で囲んでいます。中央部を貫く左から右への流れ(黄色)は、社会が求める価値観の変化を表現しています。

カテゴリーをこのように配置した理由

デジタル前提の社会となり、人々の価値観や行動様式、ビジネスにおける競争の原理や収益のあげ方、働くことへの考え方や働き方など、社会やビジネスの前提が大きく変わりました。しかし、未だ多くの企業の文化や風土、さらには政府の打ち出す政策や施策が、工業化社会の成功体験である「安定性」を土台とした思想や価値観に引きずられているのが現実です。世界を見渡せば、デジタル技術を基盤としたサイバー社会へと転換が進んでいるのに、それに対処できずに競争力を失い、経済成長を滞らせているのが日本の現状です。この状況を打開し、「デジタル前提の社会に適応するために社会や会社を作り直す(変革する)取り組み」がDXです。これにより、デジタル社会に即した「社会システムの最適化」や「企業競争力の強化」を目指そうというわけです。

そんなDXは、最新のデジタル・テクノロジーを活かすことで、その成果をあげることが可能です。これらが、このチャートの橙色の部分です。各テクノロジーごとに抑えておくべき最新のトレンドを記載しています。

これらテクノロジーはお互いに、連携、補完、強化しあいながら、その価値を高めることができます。例えば、「AI・生成AI」について見ていくと、「ロボティックス」と融合して、より高度の自動化や自律化を達成するとともに、AIに身体性を与えることで、AIを賢くすることにも役立ちます。また、「AI・生成AI」の性能向上に必要な大規模な演算性能は「クラウド・コンピューティング」に支えられています。さらには、量子コンピューティングの実用化によって、その性能は飛躍的に向上するとされています。このように、特定のテクノロジーの技術的進展だけではなく、相互の関係に於いて、全体がどのように変わっていくかという視点も見逃すべきではありません。

ただ、新しいテクノロジーは、古いテクノロジーによって築かれた社会的常識や価値観を上書きし、置き換えていかなくては、その真価を発揮できません。AIガバナンスは、AI前提の社会に適応するためには、真剣に向きあう必要があります。また、AIの進展による脅威の高度化と多様化、クラウドの利用拡大やIoT、エッジコンピューティングの普及でネットワークの境界が曖昧になり従来の境界防御だけでは不十分になることなどから、ゼロトラストや行動分析などの新たなセキュリティ戦略が求められます。

このようなテクノロジーをうまく使いこなし、それを社会や企業の価値に結びつけるには、その方法論もそれにふさわしくなくてはなりません。UXデザインやインクルーシブデザイン、モダンITはそのためにも不可避の要件となります。

補足しておきたい事柄

個々のテクノロジー(橙色)のところで、補足しておきたいことを記しておきます。

まず、「量子コンピューターは時期尚早ではないか?」というご意見もありそうですが、状況は近年大きく変わっています。量子コンピューターの実用に於いて大きな障害の1つとなっているのが、「エラー訂正」です。量子ビットの不安定性がこれを難しくしているのですが、これを解決できる新たな方法が成果をあげつつあります。例えば、中性原子方式やGoogleWillow、日本の光量子方式など、この課題を解決できる可能性が示されており、実用化が前倒しされる可能性が出てきました。現時点で「解決できた」と言いきれませんが、あきらかに数年前とは状況が変わってきました。

メタバースやブロックチェーンは、一時のブームは下火となりましたが、テクノロジーの進展が止まったわけではありません。生成AIに話題がシフトして、相対的に関心が低下しているといったところでしょう。ただ、現実を見れば、メタバース普及の課題となっていたデバイスの小型軽量化・低価格化が進んでいること。生成AIとの融合で新たな可能性が見出されつつあることで、この状況は近い将来、大きく変わるかも知れません。また、ピットコイン取引の盛況からも分かるとおり、ブロックチェーンは確実に社会実装が進んでいます。さらなるサイバー社会の進展と相まって、ますます社会実装が進んでいくのではないかと考えています。

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最新のITトレンドを客観的に俯瞰し、テクノロジーの未来を予測することは、容易なことではありません。しかし、このような視点を常に持ち、アップデートし続けることで、トレンドの大きな流れ、あるいはうねりを捉えることはできるかも知れません。

ビジネスの成否は、先読み力とこれに対処できるスピードに大きく影響を受けます。本チャートを自分たちの未来を考えるたたき台して、活用頂ければと願っています。

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