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AIは究極の"一般"を目指す、人間は究極の"特別"を目指す

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今週は、AIと人間の関係、あるいは役割分担について、考えてみようと思います。

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AIは究極の"一般"を目指す」手段です。ネットの記事や書籍、論文などのテキストデータ、絵画や映画などの画像・映像データ、様々な人々の行動データなど、膨大なデータから規則や法則、特徴を見つけだし、共通性や汎用性の高い答えを導くことを目指します。つまり、「究極の一般常識」を見つけ出そうというわけです。これは知的作業全般にわたる生産性、特にパターン化、一般化できる知的作業(知的力仕事)において、高い生産性をもたらします。

一方、「人間は究極の"特別"を目指す」ことで、AIとは異なる役割を果たすことができるでしょう。観察、対話、共感を通じ、その時々の状況で、個別性や希少性を見出すことです。例えば、事業戦略や人間関係に於いて、既存にはない独自性を見出すことで、差別化による競争力や存在感を生み出せます。

もし、この状況に於いて、「究極の一般常識」を生みだすAIに頼れば、誰もが同じ答えにたどり着きます。独自性、あるいはそれに基づく差別化は見いだせません。

独自性は、限られた状況、例えば、その企業や個人の歴史、地域、時間などにおける「他にはない唯一無二」を追求することです。それは一般常識にはない、その時々の体験を通じて得られる感覚や感情、人間関係など、形式化しにくい情報に多くを依存します。

これを突き詰めれば、「身体性」と言うことになるかも知れません。「身体性」とは、認知主体(この場合は人間)の内外で生じる相互作用のことです。例えば、「外に出る→寒いと感じる→服を着る→寒さが気にならなくなる」のように、人間は、「身体」を使って行動することで、外部環境との相互作用を生み出します。そして、「身体」を通じて得られる知覚や体験によって多様で膨大な情報を手に入れます。これは、時間的、空間的、文脈的な独自性を持ちます。つまり、身体が能動的に生みだした形式化しづらい情報です。

身体があることで可能となる「行動・知覚・学習」といった人間にしかできききない知識の獲得に対し、身体を持たないAIは「既存の形式化・一般化された情報」に依存しています。この点に於いて、AIと人間は異なります。

この両者の違いを活かせば、AIは、「圧倒的な知的生産性」により「既存を超越したコストパフォーマンス」を生み出します。一方、人間はものごとやできごとに寄り添って、一般的ではない「創造的価値を創出」します。この両者を組み合わせることで、既存の限界や制約を超えた成果を生みだすことができるのです。

このように考えると、AIと人間が、それぞれの特性を活かし役割分担することで、新たな時代を切り拓く原動力となるはずです。つまり、AIは、知性における量的限界を解消し、知的作業における生産性を高めることに役割を果たします。一方、人間は、多様性の中に独自性、独創性、希少性を見いだすことに役割を果たします。この両者を組み合わせることで、知性は拡張され、既存の限界を突破して、様々な課題を解消し、さらなる創造的発展へとつながっていくのでしょう。

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