ベテランの陳腐化が急速に加速するいま必要な3つの問い
「マシンは答えに特化し、人間はよりよい質問を長期的に生みだすことに力を傾けるべきだ。」
"これからインターネットに起こる『不可避な12の出来事』"の中で、ケビン・ケリーが述べた言葉です。
例えば、銀行の窓口で応対していた行員がATMに置き換わったように、駅の改札で切符を切っていた駅員がICカードのタッチに変わってしまったように、やり方が決まっている仕事は機械に置き換わってゆくのは歴史の必然です。それがテクノロジーの発展によって、より複雑な業務プロセスにも適用の範囲が拡がりつつあります。
例えばシステム開発では、GitHub Copilot WorkspaceやDevineなど、何をしたいかを入力すれば、仕様書を作成し、計画を立て、コードを生成し、デバッグし、プルリクエストまでやってくれるツールも登場しています。
一方で、「何に答えを出すべきか」を問うことは、これからも人間の役割です。プログラミングやテスト、運用管理などは機械に任せ、「どんなシステムを作ればビジネスの成果に貢献できるのか」、「どのようなビジネス・モデル、ビジネス・プロセスにすれば成功するのか」、「現場の要請にジャスト・イン・タイムでサービスを提供するにはどうすればいいのか」といった問いを発し続けることが人間の役割です。
これをどのようにお金に換えるかを考えなくてはなりません。ただ、はっきりしていることは、工数や物販にだけ収益を頼れなくなることだけは確かです。だなら、経営や業務の源流に関わり、そこから生みだされた問いをいち早くビジネスの現場に投入するためのプラットフォームや方法論を手に入れなくてはなりません。
また、「時間をかけて積み上げた経験値」つまり「ベテラン」の不良資産化が加速することも覚悟しておくべきです。昨今の生成AI技術の急速な発展を見れば、それを実感できるはずです。
これまでであれば、ある程度の経験を積み上げなければ、最低限の合格ライン/80点に到達することができませんでした。もはやそんな時代ではありません。AIが"とりあえず"の80点までは、引き上げてくれます。特に、報告書や稟議書、市場分析レポートや事業施策のアイデア出しなどといった、知的力仕事にあっては、「何を知りたいのか、何を解決したいのか」の問いを適切に発することができれば、あっという間です。生成AIを組み込んだ検索エンジン("検索エンジン"というより"検索のためのAIエージェント"と呼ぶべきかも知れません)であるPerplexityやGensparkなどを使えば、その問いさえも自分がインプットした言葉から想像し、サジェストしてくれます。
もはや80点のための「知的力仕事」のスキルを身につける必要はありません。80点をスタートラインに、そこから修正して、完成度を高めることです。そのためには、「問いを立てる」能力、つまり「解決すべき課題を設定する」能力を磨くことがこれまでにも増して重要になるのです。後は、AIと対話することで、その背後にある膨大な知識から学びや気付きを得て、自らの課題設定の希少性や独自性を追求し、100点を越える成果を生みだしてかなくてはなりません。
「時間をかけて積み上げた経験値」があるという事実に満足するのではなく、その経験値を活かして、もっとお客様や自分たちの価値を高めるためには、何をすればいいのかの新たなテーマを創り出し、問い続けることが、私たちには求められているのです。
テクノロジーの発展が既存の人間の仕事を奪うのは、いつの時代も同じです。だからこそ、自分で問いを見つけ、テーマを作る力が求められています。そして、テクノロジーを駆使していち早く最適解を求め、次のテーマを生みだし、その答えを導くことで、新しいビジネスが生まれ、新しい役割や仕事が生まれます。私たちは、そうやってテクノロジーと共存し、さらに豊かで魅力的な社会を作ってゆくことができるのです。
- 手段に翻弄されてはいないでしょうか?
- 新しいことに取り組んでいますか?
- 新しい問いを発していますか?
時代のスピードが加速度を増すなか、わずかな躊躇が圧倒的な社会的価値の格差となってしまいます。私たちは皆、この3つを問い続けなければならない時代に生きているのです。
知的創造を支える知識を手に入れる!
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日 開講)
次期・ITソリューション塾・第47期(2024年10月9日[水]開講)の募集を始めました。
特別補講の講師が決まりました。
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企業文化の変革に挑む富士通の取り組み
〜フジトラの実践を通じて見えてきたITビジネスのあるべき姿と課題〜
特別講師:富士通株式会社 執行役員常務 CIO(兼)CDXO補佐 福田 譲 氏
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富士通は、いま「フジトラ(富士通トランスフォーメーション)」に取り組んでいます。フジトラは、ビジネス・モデルや業務プロセスの変革に留まらず、企業文化の変革にも踏み込んだ、会社を作り変えようという取り組みです。道半ばとはいえ、確実に成果が現れつつある一方で、様々な課題にも直面しています。そんなフジトラの実践をリードする福田譲氏に、フジトラの"いま"を"正直に"ご紹介頂きます。
DXの実践に取り組む多くの企業にとって、大変参考になると思います。
次のような皆さんには、きっとお役に立つはずです。
- SI事業者/ITベンダー企業にお勤めの皆さん
- ユーザー企業でIT活用やデジタル戦略に関わる皆さん
- デジタルを武器に事業の改革や新規開発に取り組もうとされている皆さん
- IT業界以外から、SI事業者/ITベンダー企業に転職された皆さん
- デジタル人材/DX人材の育成に関わられる皆さん
ITに関わる仕事をしている人たちは、いま起こりつつある変化の背景にあるテクノロジーを正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様への提案に、活かす方法を見つけなくてはなりません。
ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えするとともに、ビジネスとの関係やこれからの戦略を解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。
詳しくはこちらをご覧下さい。
※神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO(やまと)会員の皆さんは、参加費が無料となります。申し込みに際しましては、その旨、通信欄にご記入ください。
- 期間:2024年10月9日(水)〜最終回12月18日(水) 全10回+特別補講
- 時間:毎週(水曜日*原則*) 18:30〜20:30 の2時間
- 方法:オンライン(Zoom)
- 費用:90,000円(税込み 99,000円)
- 内容:
- デジタルがもたらす社会の変化とDXの本質
- IT利用のあり方を変えるクラウド・コンピューティング
- これからのビジネス基盤となるIoTと5G
- 人間との新たな役割分担を模索するAI
- おさえておきたい注目のテクノロジー
- 変化に俊敏に対処するための開発と運用
- アジャイルの実践とアジャイルワーク
- クラウド/DevOps戦略の実践
- 経営のためのセキュリティの基礎と本質
- 総括・これからのITビジネス戦略
- 特別補講 :富士通・常務取締役 福田譲 氏
- 企業文化の変革に挑む富士通の取り組み〜フジトラの実践を通じて見えてきたITビジネスのあるべき姿と課題〜
神社の杜のワーキング・プレイス 8MATO
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。
6月22日・販売開始!【図解】これ1枚でわかる最新ITトレンド・改訂第5版
生成AIを使えば、業務の効率爆上がり?
このソフトウェアを導入すれば、DXができる?
・・・そんな都合のいい「魔法の杖」はありません。
これからは、「ITリテラシーが必要だ!」と言われても、どうやって身につければいいのでしょうか。
「DXに取り組め!」と言われても、これまでだってデジタル化やIT化に取り組んできたのに、何が違うのかわからなければ、取り組みようがありません。
「生成AIで業務の効率化を進めよう!」と言われても、"生成AI"で何ですか、なにができるのかもよく分かりません。
こんな自分の憂いを何とかしなければと、焦っている方も多いはずです。