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「変革=ぶち壊し」は自分のキャリアもぶち壊す・・・かもしれませんが、ほんとうにやりますか?

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「変革が必要だ!」と、判でついたような言葉を、誰もが口にします。しかし、これを口にする本人は、そもそも「変革」を望んでいるのでしょうか。

終身雇用が前提の企業にあっては、いまやっていることを大きく変えることなく、事業を維持し、自分の役割も維持しながら、つつがなく定年を迎えたいとの本音があるのではありませんか。

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そういう人たちにとっては、「変革」は、余計なお世話であり、むしろリスクになります。そんな人たちが集まって、「変革」という看板を掲げ、仕事として、それらしく声を上げ、カタチを作るために既存の改善に取り組んでいるとすれば、本当の意味での変革なんて無理な話でしょう。

経営者が、「変革」を叫んで、社員が「そうだ!そうだ!」と拳をあげても、あるいは、「そうしなくてはまずいよね」と迎合しても、本音のところは他人事で、誰かがやってくれるのを待って従うだけならば、「変革」できるわけはありません。

「変革」とは「ぶち壊すこと」と同義です。なにを、なぜぶち壊さなくちゃならないかをはっきりさせず、そのための意欲もないままに、「そんなことでは仕事ができなくなる」と反対する人たちと対峙して、「変革」の大切さを熱く語れないのなら、中身のないプロパガンダに過ぎません。自分たちの仕事が、「ぶち壊される」当事者が、自分から進んでこれに取り組む意欲がなければ、「総論賛成、各論反対」が延々と続き、目先の改善に留まり続けるのは目に見えています。そうこうするうちに「変革」熱もおさまって、いつもの日常に戻ることでしょう。

DX研修と称して、ローコード開発ツールやクラウド・サービスの使い方、データ活用の方法、IT企業へのシステム発注のスキルを身につけさせることに留まっている企業が大半なのは、肝心要の「変革」を避けるための方便かもしれません。このようなスキルが必要ないとは思いませんが、そういう研修を行えば、現場が自然と「変革=ぶち壊し」に動き出すとでも思っているのでしょうか。

終身雇用は、いまの仕事の中で、経験を積み上げ、その範囲でスキルを磨いていけば、雇用が保証される仕組みです。従業員は、生涯にわたる生活の安定と活躍できる場所が得られる一方で、企業側は安定した労働力と仕事の品質が確保できることになります。

確かにこのような相互補完的な利害の一致は、双方にとって魅力的でありますが、その前提は、企業が存続し、事業が継続し続けることです。その事業に見合うスキルを活かせる仕事やポストを提供できることが前提です。

高度成長期ならば、企業はどんどん大きくなり仕事の量もポストの数も増えていきました。しかし、ビジネス環境がめまぐるしく変わり、将来を予測できないVUCAの時代になり、また、経済規模の拡大も見通せません。さらには、テクノロジーの急激な発展と、これを武器にしたデジタル・ネイティブの台頭に、新たな競争原理に対処しなければならず、これまでのやりかたで事業を存続させることが難しくなりました。

この事態に対処すべく「変革」だとか「DX」が叫ばれ、それと抱き合わせで人的資本投資やリスキリングの必要性が叫ばれているわけです。しかし、社内という枠組みの中で、これに対処するには限界があります。だから、人材の入れ替えも含め、社外を考えた大きな枠組みで取り組む必要が生まれ、結果として、終身雇用を維持し続けることは困難となったわけです。当然、従業員は、自分の生活を守る自助努力が必要となり、セカンドキャリアを考える必要性が生じています。

「変革」は、事業の内容に留まらず、自分のキャリアや人生にも「変革」を強いるわけです。そこまで、覚悟を決めて、「変革」や「DX」に向きあっているでしょうか。「そんな大袈裟な!?」と本当に言えるでしょうか。

まあ、「変革」という仕事を粛々とこなし、改善が進むことは何も悪いことではありません。しかし、それで会社や事業が続くとことは難しい時代です。ならば変革を自分のキャリアや人生と重ね合わせて考えてみることも、突拍子もない話しではないと思います。

【募集開始】次期・ITソリューション塾・第44

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次期・ITソリューション塾・第442023104日[水]開講)の募集を始めました。

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ITに関わる仕事をしているならば、このような変化の本質を正しく理解し、自分たちのビジネスに、あるいは、お客様の事業活動に、どのように使っていけばいいのかを語れなくてはなりません。

ITソリューション塾は、そんなITの最新トレンドを体系的に分かりやすくお伝えすることに留まらず、その背景や本質、ビジネスとの関係をわかりやすく解説し、どのように実践につなげればいいのかを考えます。

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2022年9月30日電子版発売
斎藤昌義 著
A5判/384ページ
定価2,200円(本体2,000円+税10%)
ISBN 978-4-297-13054-1

目次

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  • 第3章 ビジネスに変革を迫るデジタル・トランスフォーメーション
  • 第4章 DXを支えるITインフラストラクチャー
  • 第5章 コンピューターの使い方の新しい常識となったクラウド・コンピューティング
  • 第6章 デジタル前提の社会に適応するためのサイバー・セキュリティ
  • 第7章 あらゆるものごとやできごとをデータでつなぐIoTと5G
  • 第8章 複雑化する社会を理解し適応するためのAIとデータ・サイエンス
  • 第9章 圧倒的なスピードが求められる開発と運用
  • 第10章 いま注目しておきたいテクノロジー

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