DXとは、既存を改善すること、あるいはデジタル技術を活用することではない。もっと本質的に、あるいは根本的に企業の文化や体質を変革し、ビジネスのやり方や組織の振る舞いを変化させ続けることができる企業に変わることだ。
昨日の記事で、このように述べましたが、その取り組みが、お客様の幸せを支えなくては、意味がありません。つまり、CX:Customer Experience(顧客体験)を高めることができて、デジタル・ビジネス・トランスフォーメーション、すなわちDXは、業績の向上に貢献します。
業界の垣根を越えて、予期せぬところから競合が登場し、これまでにはない魅力的なビジネス・モデルやCXを提供して、あっという間にお客様を奪ってゆく時代になりました。また、社会状況の急激な変化によって、お客様の求めるニーズもどんどんと変わります。そうなれば、従来同様のビジネス・モデルやビジネス・プロセスにいつまでも頼っているわけにはいきません。また、競合の出現やお客様のニーズの変化に合わせてダイナミックに変えてゆかなければ、魅力あるCXを維持することはできません。
そのために企業は、ビジネス・スピードを加速し、イノベーションを生み出し続ける必要があります。その前提となるのは、従業員の自律、すなわち自己管理を促し、ビジネスの最前線に大幅な権限委譲を行う必要があります。また、仕事へのやり甲斐を引き出し、自発的に工夫することを喜びと感じられるような、働く環境を提供することです。つまり、CXの向上は、EX: Employee Experience(従業員体験)の向上と不可分な関係にあります。「働き方改革」とは、そのための取り組みだと言えるでしょう。
DXは、そんなCXとEXの向上を目指す取り組みでなくてはなりません。そのためには、私たちの意識を支配している常識を転換しなくてはなりません。
私たちはこれまで、現実世界、すなわちリアルを最も貴いものとして考えてきました。例えば、営業活動は人と人が直接対面してするものだ、会議は一同が同じ場所に介して行うものだ、人間の経験や勘が全てに勝るなどの考え方は、その典型です。こんな考え方を背景にデジタルを附帯的な存在として捉え、次のような常識を描いていました。
- デジタルはビジネスの手段である
- 価値の源泉はリアルにある、デジタルはリアルの付加価値に過ぎない
- リアルとデジタルは別の仕組み、デジタルはリアルを補間するもの
しかし、デジタル技術の発展は、このような常識を大きく変えつつあります。むしろ、デジタルを前提にビジネスを実践するという常識への転換を迫られているのです。例えば、次のような常識です。
- デジタルはビジネスの基盤である
- デジタルとリアルが一体となって価値を創出する
- デジタルとリアルを分けることなく、デジタルが統合する1つの仕組みとして捉える
これは決して、人間を不要にするということではありません。デジタルにできることは徹底してデジタルに任せ、人間にしかできないことに人間の役割をシフトして、人間だけではできない新たな価値を創出することを目指そうというわけです。
この考えに立てば、「DXを実現する」とは、次のように解釈できます。
「デジタルが前提」を当然のことと考え、実践する企業の文化や風土を実現すること
そうなれば、前回の記事で述べたビジネス・プロセスやビジネス・モデルの破壊・変革・創造を伴う取り組みが進み、ビジネス・プロセスや働き方などの抜本的な変革や新たな顧客価値の創出、ビジネス・モデルの転換、新規事業分野への進出などのビジネスの変革が、当然のこととして受け入れられ、進んでいくことになります。
ところで、なぜ「Digital Transformation」 を"DT"ではなく"DX"と表記するのでしょうか。実は、ここにもDXの本質が現れています。本来、Transformationには上下を入れ替えるや、ものごとひっくり返すという意味があります。そのイメージを"X"で表現していると言われています。まさに、常識を「入れ替える」ことや「ひっくり返す」ことが、DXの本質と言えるわけです。
12月9日(金)9:30〜 トライアルオープン
オープンを盛り上げてくれるいい対談となりました。録画を公開しましたので、よろしければ、ご覧下さい。
リモートワークやリゾートワーク、メタバース時代の働き方などについて、及川卓也さんと白川克さんと話をしました。とても学びの多い対談になりました。
録画を公開しています。よろしければ、ご覧下さい。
8MATOのご紹介は、こちらをご覧下さい。