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【図解】コレ1枚でわかる顧客満足の大きさ

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お客様の満足度は、事前の期待とのギャップの大きさに比例する。

例えば、システム導入の結果として、お客様に「このシステムを導入すれば、80万円の利益が出ます」とお伝えしていたのなら、お客様は、80万円の利益を期待します。一方、「100万円の利益が出ます」とお伝えしていれば、100万円の利益を期待するでしょう。

結果として、90万円の利益が出ました。80万円を期待していたお客様は、10万円期待を上回ったことに満足し、100万円を期待していたお客様は、期待に達しなかったことを不満に感じるはずです。

このように、お客様の満足は、お客様の事前の期待に左右されます。絶対金額の大きさや、ましてやこちらがどれほど誠意尽くして頑張ったかなどは、お客様の満足とは直接関係がありません。つまり、お客様にご満足いただくためには、お客様の事前の期待を明らかにし、その期待に到達するか、あるいは超えることが必要なのです。

では、お客様の満足を得るためには、何をすれば良いのでしょうか。答えは、「お客様の事前の期待をできるだけ下げておくこと」です。期待が低ければ、それを越えることは容易になります。

例えば、サービスを提供するエンジニアが、優れた成果を上げたとしてもお客様の期待がそれ以上であれば、彼らが評価されることはありません。現場の士気を高めるためにも、「お客様の事前の期待をできるだけ下げておくこと」は、大切な要件となるのです。

ただ、克服すべき課題がふたつあります。ひとつは、お客様の最低限の要求水準を越えていること、そして、お客様の事前期待の増加に対処することです。

最低限の要求水準を越えていること

客様の最低限の要求水準を越えていなければ、「そんなものはいらない」となります。従って、事前にこの「最低限の要求水準」を確認し、相手と合意しておかなくてはなりません。例えば、「どの程度の利益がでれば、成功とお考えですか。」、「利益が80万円であれば、成功とご評価頂けますか。」というように、聞いてみることです。

「期待していることは〇〇以上であることです。」。そう言われたからと言って、そのまま受け入れてはいけません。なぜなら、相手は期待値を上乗せして応えるかもしれませんし、なんとなくかも知れないからです。これを基準にお客様との対話を進め、これなら納得をお互いに合意することが大切です。合意なく、こちらの勝手な思いこみで期待値を設定しても、相手の満足につながらないことがありますから、要注意です。

事前期待の増加に対処すること

事前の期待は時間と共に増加します。例えば、あるプロジェクトで成功すると次のプロジェクトでは、お客様は、もっと高い期待をいだくようになります。もうひとつは、プロジェクトの進捗過程で期待が膨らむことです。両者への対処は、異なっているので注意が必要です。

前者は論的な根拠を示しながら、妥当性を説明すること、そして、お客様との個人的信頼関係を形成することが大切になります。成果を達成できる論理的な根拠を示すこと、競合他社との比較に於いて十分に優位であることなどで、期待の嵩上げを抑止する必要があります。また、丁寧な説明、迅速な応対、相手への共感や配慮など、個人的な信頼関係を通じて、こちらの要望を受け入れて頂ける環境を醸成しなくてはなりません。

後者は、「あるべき姿」すなわちゴールの事前共有と、それを意識させ続けることです。つまり、このプロジェクトで達成したいことはなにかを明確にし、確認し続けることです。例えば、プロジェクトをはじめるに当たっては、「売上の増加」、「業務処理時間の短縮」、「顧客数の増大」など、具体的な数字と共に「あるべき姿」を明確にしているはずです。お客様は、この「あるべき姿」以外にも「ついでならば」、「この際だから」、「できればもう少し」と期待を嵩上げしようとします。これに追従すれば、要件は肥大化し、工数が増え、期間も延びてしまいます。そして、下手をすればプロジェクトが破呈します。このような事態を避けるためには、最初に共有し、合意したゴールは何かに立ち返り、それと異なったり、新たなものであったならば、プロジェクトそのものを見直したり、別途新しいプロジェクトを立ち上げたりと、期待の嵩上げを抑止しなければならなりません。

お客様の満足は、事前の期待を管理することによって達成される。

「こんなに必至で頑張って、一生懸命やっているのに満足してもらえない」などと嘆く前に、事前の期待への対応を怠っていなかったかどうかを確認してみてはどうでしょう。

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