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営業がいらない時代(3)「営業がいらない時代」にどうやって生き抜けばいいのだろう

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この連載で述べてきたような「営業がいらない時代」に営業はどうやって自分の存在意義を見出せばいいのだろう。

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ひと言で言えば、お客様の「頭脳」になることだ。お客様から求められたら情報を提供する、あるいは依頼された見積や契約、モノやヒトの手配をするといった、お客様の「手足」になることではない。もう少し具体的に言えば次のような仕事をすることになる。

お客様のよき相談相手となって、彼らの不安や迷いを課題として捉え直し、その解決策をデザインする

お客様のよき相談相手となる

「お客様の立場に立つ」

良き相談相手になるためには、まずこれが前提となる。

「自分がお客様の立場なら、どう考え、判断し、行動するかを想像すること」

「お客様の立場に立つ」とは、こんなことだろう。お客様とまったく同じことができるはずはない。経験や知識のバック・グラウンドが違う相手を完全に理解することはできないからだ。相手になりきることなどできるわけがない。ならば、お客様とは別人格で他人であることを積極的に受け入れて、自分が相手のポジションを任されたとしたら「このように考える、判断する、行動する」を想像することだ。そして、その想像を相手に伝え共有し議論すればいい。

良き相談相手とは、決して相手の話しに相槌を打ち、それに従うことではない。相手が求めているのは違う視点や異なる意見を持つことだ。それを相手にぶつけ、心を揺さぶり、相手の気付きを引き出して、何が正解かを一緒になって見つけ出してゆく。そんな相棒として、お客様を助けることが、良き相談相手になることだろう。

不安や迷いを課題として捉え直す

「なんとかしなくてはいけない。このままではまずい。」

そんな不安や迷いをいだいているお客様は少なくない。そして変革を進めたいと考えている。しかし、変革への意志や問題意識はあっても、解決すべき課題やニーズが明確であるとは限らない。また、それ以前の問題として、どのような方向に変革を進めてゆけばいいかのビジョンが描けていないことも多い。

このような状況で「他社事例」は、なんの役にたたない。自分たちはこうしたい、こうなりたいが明らかになっていないのだから、何が課題なのかが分からない。そこに他社の課題解決の事例を示しても、それが自分たちにとって参考になるかどうかを判断することはできない。

まずは、そんなお客様を、お客様以上に深く考察し、お客様の課題を自分なりの仮説として整理して提示することだろう。テクノロジーやビジネスのトレンド、他社や業界の動向を織り込んで、課題を客観的に整理する。また、第三者だからこそ踏み込めるお客様のタブーも露わにすることだ。正解かどうかは分からないが、視点を与えられた整理や解釈は、議論のたたき台となり、考えるきっかけを与えてくれる。

なるほどと思わせて、お客様の心の中をザワザワさせなくてはいけない。お客様の琴線に触れなくてはいけない。そうやってお客様の気付きを引き出し、議論を積み上げて、自分たちの「あるべき姿」は何かが見えてくる。

続いて「あるべき姿」を実現するための具体的な課題は何かを洗い出し、その解決策を整理する。さらに、自分たちが全力でこの取り組みを支援する決意を示し、相手の背中を押してあげることも忘れてはいけない。

「相手の求めに応じるのではなく、相手からの求めを引き出すこと」

結果として、案件が生まれる。

解決策をデザインする

テクノロジーは日々進化し、最適解は変わり続けている。様々な選択肢が登場し、絶対無二の解決策を見出すことは難しい。解決策はプロダクトやサービスなどのシステム・ソリューションばかりではない。業務プロセスを変革する、新しいビジネス・モデルを実現するといったビジネス・ソリューションもある。デジタル・テクノロジーによって常識が置き換わる時代、新しい常識を前提にビジネスを考えれば、まったく新しい発想が生まれることもある。

そのためのデザインを描かなくては、ものごとは前に進まない。どうすることが、お客様の「あるべき姿」を実現するうえで最適なやり方なのだろうか。それをひとりの営業だけでできないのであれば、知恵ある人たちを集め一緒に考えることだ。営業は、そのためのプロデューサーの役割を果たさなければならない。

明日に続く・・・

営業がいらない時代 掲載予定

  1. 私たちの日常は営業を必要としていない(5月14日)
  2. お客様の期待にも経営者の期待にも応えられない営業に存在意義はない(4月15日)
  3. 「営業がいらない時代」にどうやって生き抜けばいいのだろう
  4. 「営業」を再定義しよう

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

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【新規】デジタル・トランスフォーメーションとは何か(2)p.7
【改訂】デジタル・トランスフォーメーションとの関係 p.15
【新規】破壊者は何を破壊するか p.22
【新規】経営者が新規事業を失敗させてしまう7つの罠 p31
【新規】デジタル・トランスフォーメーションのBefore / After p.43
【新規】デジタル・トランスフォーメーションを取り巻く2つの環境 p.55
【新規】DXシステムの実装 p.56
【新規】「学び」の歴史から考える、これからの「学び」 p.193
【新規】これからの時代を生き抜くための3ヶ条 p.194

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【新規】Human+への進化 p.12

ITインフラとプラットフォーム編
【改訂】「境界防衛」から「ゼロトラスト」へ p.108

テクノロジー・トピックス編
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