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新規顧客の獲得を営業の自助努力に委ねる愚行はそろそろやめたほうがいい

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以前から「新規顧客開拓は営業の仕事」と建前上はなっていた。しかし、営業の達成目標は売上や利益だ。ならば手間のかかる新規顧客開拓よりも、既存の顧客から仕事を頂く方が手間もかからず確実だ。経営者も目標が達成できれば不満はない。結局のところ新規顧客開拓のモチベーションは高まらない。

ところが既存顧客から需要が減ってくると、「新規顧客は営業の仕事だ。だから自分の役割を果たせ。」と言い出す。しかし、そんなスキルも経験もなく、どうすればいいんだというのが本音のところではないか。もちろん、建前上は昔からその通りなので、それに楯突くこともできない。

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じゃあどうすればいいのか。まずは、そもそも新規顧客とは、どういう存在なのか。

新規顧客とは、競合他社の顧客だ。国内市場に限れば、新規顧客の開拓とは、競合他社の顧客を奪い取ることになる。ではどうやって奪い取ればいいのか。

ひとつは、同じ仕事や製品分野において、価格で優位に立つこと。既に市場はあるわけなので、価格競争で優位に立てば競合他社から顧客は奪える。もちろん、品質や機能が同等以上であることが前提だ。

しかし、これは体力勝負になる。最初は利益度外視で勝負にでて優位にたてても、競合他社も努力してくるだろう。結局は、消耗戦を強いられ、どちらも利益のでない仕事を強いられるだけのことだ。

もうひとつは、新規事業の開発だ。これまでになかった需要を喚起すること。例えば、JINS PCというPCの液晶ディスプレイのLED光から目を守るための眼鏡だが、この商品は、目の悪くない人が眼鏡をかけるという市場を拓いた。

新規顧客が開拓できない理由は、需要がない、あるいは飽和している市場を相手にしているからだ。新規事業の開発なくして新規顧客の開拓はないと心得るべきだろう。それにもかかわらず、既存市場での新規顧客獲得だけをノルマに掲げ、数字の達成を営業の自助努力に求めても限界がある。成果が上がらなければモチベーションは下がり、自助努力への意欲は減退する。そんな悪循環を生み出してしまう。

「新規顧客で売上の2割を獲得する」ではなく「新規事業で売上の2割を獲得する」という目標はどうだろう。結果として、新規顧客の獲得につながってゆくのではないか。

このような取り組みのためには、テクノロジーのトレンドやマーケティングにもっと関心を持つべきだ。そのための人材の確保や組織づくりも必要だ。

かつてのように既存顧客からのリピートで事業が成り立っていた時代なら、その必要はなかったかもしれない。しかし、もはやそれだけでは将来が期待できないとすれば、新たな事業で需要を創造することで新規顧客を獲得するしかない。

マーケティングは、既にある商品をどうやって売るかの取り組みではない。いま市場にはどんな課題があり、将来どう変わってゆくかを予測し、どこに参入するかを見極めることだ。

またイノベーションはこれまでにはなかった需要を喚起し、新たな市場を創造することだ。JINS PCはまさにその典型といえる。

イノベーションは、決して新しい技術を使うことと同じではない。お客様の需要を喚起できる新しい組み合わせを創造することだ。JINS PCも今までになかった新しい技術を使っているわけではない。眼鏡は目が悪い人のための道具であるという既成概念を破壊し、PCユーザーと既存の技術の新しい組み合わせを提案することで、新たな需要を生み出した。

既存の技術やプロセスを新たな価値創造のために組み合わせることだ。そこに新しい技術が入るか入らないかは、お客様の価値の拡大に寄与するかどうかであって、必要条件ではない。

マーケティングとイノベーションを組み合わせ、新規事業を模索することが必要だ。

新規顧客を生みだしたいのなら新規事業に取り組むことだろう。その取り組みを事業方針や経営方針といったお題目だけで喚起しようとするのではなく、事業施策や業績評価と連動させる必要がある。また、人材の育成にあたってもテクノロジーのトレンドやマーケティングの知識やスキルを重視する必要がある。

営業の自助努力だけでは新規顧客は開拓できないことを心得ておくべきだ。

【募集開始】新入社員ための最新ITトレンド研修

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IoT、AI、クラウドなどのキーワードは、ビジネスの現場では当たり前に飛び交っています。デジタル・トランスフォーメーションの到来は、これからのITビジネスの未来を大きく変えてしまうでしょう。

しかし、新入社員研修ではITの基礎やプログラミングは教えても、このような最新ITトレンドについて教えることはありません。

そんな彼らに「ITトレンドの最新の常識」と「ITビジネスに関わることの意義や楽しさ」についてわかりやすく伝え、これから取り組む自分の仕事に自信とやり甲斐を持ってもらおうと「新入社員ための最新ITトレンド研修」を昨年よりスタートさせました。今年も7月17日(火)と8月20日(月)に開催することにしました。

参加費も1日研修で1万円に設定しました。この金額ならば、会社が費用を出してくれなくても、志さえあれば自腹で支払えるだろうと考えたからです。

社会人として、あるいはIT業界人として、厳しいことや頑張らなくちゃいけないことも伝えなくてはなりません。でも「ITは楽しい」と思えてこそ、困難を乗り越える力が生まれてくるのではないでしょうか。

  • ITって凄い
  • ITの仕事はこんなにも可能性があるんだ
  • この業界に入って本当に良かった

この研修を終えて、受講者にそう思ってもらえることが目標です。

よろしければ、御社の新入社員にもご参加いただければと願っております。

詳しくは、こちらをご覧下さい。

SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書

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デジタル・トランスフォーメーションとは何か、SI事業者やITベンダーはこの変化にどう向きあえばいいのかを1冊の書籍にまとめました。これが「SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書」です。PDF/A4版・109ページのデジタル出版です。紙の書籍にすると200ページくらいのボリュームにはなると思います。もちろん、前著同様に掲載したチャートは全てロイヤリティ・フリーでダウンロードできるようにしています。

いまと未来を冷静に見つめ、SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーションにどう向きあえばいいのかを考えるきっかけになればと願っています。

内容は以下の通りです。

  • デジタル・トランスフォーメーションとは何か
  • デジタル・トランスフォーメーションの定義
  • デジタル・トランスフォーメーションを支えるテクノロジー
  • SIビジネスのデジタル・トランスフォーメーション
  • デジタル・トランスフォーメーション時代に求められる人材

ITビジネスの未来は大いに開けています。ITは私たちの日常や社会活動にこれまでにも増して深く関わり、アンビエント(環境や周囲に溶け込む)になっていくでしょう。そこには新たなビジネスチャンスが待っています。しかし、そのチャンスを見つけるためには、視線を変えなければなりません。もはやこれまでのSIビジネスの視線の向こうには、新しいビジネスチャンスはないのです。

じゃあどうすれば良いのでしょうか。本書で、そのための戦略と施策を考えるきっかけを見つけていただければと願っています。

ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA

LiBRA 5月度版リリース====================

  • SI事業者/ITベンダーのための「デジタル・トランスフォーメーションの教科書」をリリース
  • 「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツ
  • その他、コンテンツを追加

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【新規掲載】SI事業者/ITベンダーのためのデジタル・トランスフォーメーションの教科書

  • 教科書 全109ページ 
  • PDF版
  • プレゼンテーション 全38ページ ロイヤリティフリー

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「ITソリューション塾・第27期」の最新コンテンツを追加
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サービス&アプリケーション・先進技術編/IoT
【新規】伝統的なやり方とIoTの違い p.19
サービス&アプリケーション・先進技術編/人工知能とロボット
【新規】人間にしかできないコト・機械にもできること p.100
インフラ&プラットフォーム編
【新規】仮想化とは何か p.68
【新規】仮想化の役割 p.70
【新規】サイバー・セキュリティ対策とは何か p.125
【新規】脆弱性対策 p.127
クラウド・コンピューティング編
【新規】コンピューターの構成と種類 p.6
【新規】「クラウド・コンピューティング」という名前の由来 p.17
【新規】クラウドがもたらすビジネス価値 p.26

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