【図解】コレ1枚でわかるFinTech(改訂版) 1/2
規制の多い金融業界にも、テクノロジーを武器に新たなビジネスを仕掛けるベンチャー企業が続々登場しています。
例えばAmazonや楽天など、オンライン・ショッピング・サイトを運営する企業は自社サービスに出店する業者に必要な運転資金を即日または翌日融資するサービスをはじめています。これまで融資には、決算書類の提出や担保の差し出しなどが求められ、手間も時間もかかりました。しかし、彼らは取引情報をオンラインで全て把握できていることに加え、決済を自分たちのサービスでおこないお金の流れを抑えています。そのため、過去の情報ではなく「現在の情報」で与信(信用を供与することの意。融資で取引できる金額の上限)を審査することができるのです。それを人間がおこなうのではなく、人工知能に任せています。
融資だけではなく、決済や資産管理、金融商品の取引や国際送金など、銀行や証券会社などの既存の金融機関が収益の柱としていることを、最新のITを携えたベンチャー企業が僅かな手数料で、しかもスマートフォンから簡単に使えるサービスとして、どんどん登場させています。
デジタル・ウォレット(デジタル財布):
クレジットカードなどの既存の支払い方法と連携させ、パソコンやスマートフォン、携帯電話からオンラインで簡単に支払いできるようにするサービスです。このサービスを使えば、オンライン・ショッピングをする際に、サイトごとに毎回個人情報やクレジットカード情報を入力しなくても、ユーザー名とパスワードを入れるだけで購入手続きおよび決済ができるようになります。PayPalやGoogelウォレット、Squareなどが登場しています。
P2Pレンディング:
英Zopaや米Lending Clubは、お金の借り手と貸し手を、インターネットを介して結びつけ貸付を行う仕組みです。従来、このような業務は銀行が行っていましたが、それをネット企業が手がけはじめたのです。銀行などの金融機関を中抜きする仕組みとして注目されています。これらサービスは、収入や取引の履歴だけではなくソーシャル・メディアでの発言などを人工知能で分析し、借りたい人の個人の信用を確認すると言ったことまでおこなわれています。我が国でもmaneoやAQUSHといったサービスが登場しています。
個人資産管理(PFM:Personal Financial Management):
マネーフォワードはオンライン家計簿ともいえるもので、銀行やクレジットカード、証券会社や年金資産のオンライン口座情報を登録することで、収入・支出データや資産の残高を自動で取得し家計簿を作成してくれます。
トランザクション・レンディング:
長年決済代行サービスを手がけてきたGMOペイメントゲートウェアは、EC事業者の決済情報を把握できる立場を活かし、その情報を使って融資判断を行いEC事業者の運転資金を融資するサービスをはじめています。
ロボット・アドバイザー:
いくつかの質問に答えると、購入すべき投資対象のポートフォリオを提示してくれます。さらに、時々の値動きに応じた売買手続きをアドバイス、その手続き代行を運用資産の1%程度の年間手数料で任せて運用できるサービスも登場しています。これらはコストのかかる人間の専門家がやるのではなく人工知能がやってくれるというものです。
デジタル通貨:
インターネット上で流通している通貨です。物理的な貨幣や硬貨が発行されないため「仮想通貨」、暗号化の技術を駆使していることから「暗号通貨」とも呼ばれています。代表的なものとして「ビットコイン」があります。流通を管理する事業主体や国家はなく、中央銀行も存在しません。米ドルや円など現実通貨との交換は、Web上の取引所で行われますが、決済は一般の金融機関を通さないため、諸経費や手数料などが発生せず、小口の売買や個人同士の取り引きにつかわれます。インターネットでの流通前提としていることから、とりわけ国境を越えた送金・決済に利用されています。
このような金融(Finance)とテクノロジー(Technology)が融合した新しいビジネス分野はフィンテック(FinTech)と呼ばれています。
明日に続く・・・
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