【図解】コレ1枚でわかるFinTech
規制業種の常識を破壊するFinTech
規制の多い金融業界にも、テクノロジーを武器に新たなビジネスを仕掛けるベンチャー企業が続々登場しています。
例えばAmazonや楽天など、オンライン・ショッピング・サイトを運営する企業は自社サービスに出店する業者に必要な運転資金を即日または翌日融資するサービスをはじめています。これまで融資には、決算書類の提出や担保の差し出しなどが求められ、手間も時間もかかりました。しかし、彼らは取引情報をオンラインで全て把握できていることに加え、決済を自分たちのサービスでおこないお金の流れを抑えています。そのため、過去の情報ではなく「現在の情報」で与信(信用を供与することの意。融資で取引できる金額の上限)を審査することができるのです。それを人間がおこなうのではなく、人工知能に任せています。
融資だけではなく、決済や資産管理、金融商品の取引や国際送金など、銀行や証券会社などの既存の金融機関が収益の柱としていることを、最新のITを携えたベンチャー企業が僅かな手数料で、しかもスマートフォンから簡単に使えるサービスとして、どんどん登場させています。
- デジタル・ウォレット(デジタル財布):クレジットカードなどの既存の支払い方法と連携させ、パソコンやスマートフォン、携帯電話からオンラインで簡単に支払いできるようにするサービスです。このサービスを使えば、オンラインショッピングをする際に、サイトごとに毎回個人情報やクレジットカード情報を入力しなくても、ユーザー名とパスワードを入れるだけで購入手続きおよび決済ができるようになります。PayPalやGoogelウォレット、Squareなどが登場しています。
- P2Pレンディング:英Zopaや米Lending Clubは、お金の借り手と貸し手を、インターネットを介して結びつけ貸付を行う仕組みです。従来、このような業務は銀行が行っていましたが、それをネット企業が手がけはじめたのです。銀行などの金融機関を中抜きする仕組みとして注目されています。これらサービスは、収入や取引の履歴だけではなくソーシャル・メディアでの発言などを人工知能で分析し、借りたい人の個人の信用を確認すると言ったことまでおこなわれています。我が国でもmaneoやAQUSHといったサービスが登場しています。
- 個人資産管理(PFM:Personal Financial Management):マネーフォワードはオンライン家計簿ともいえるもので、銀行やクレジットカード、証券会社や年金資産のオンライン口座情報を登録することで、収入・支出データや資産の残高を自動で取得し家計簿を作成してくれます。
- トランザクション・レンディング:長年決済代行サービスを手がけてきたGMOペイメントゲートウェアは、EC事業者の決済情報を把握できる立場を活かし、その情報を使って融資判断を行いEC事業者の運転資金を融資するサービスをはじめています。
- ロボット・アドバイザー:いくつかの質問に答えると、購入すべき投資対象のポートフォリオを提示してくれます。さらに、時々の値動きに応じた売買手続きをアドバイス、その手続き代行を運用資産の1%程度の年間手数料で任せて運用できるサービスも登場しています。これらはコストのかかる人間の専門家がやるのではなく人工知能がやってくれるというものです。
- デジタル通貨:インターネット上で流通している通貨です。物理的な貨幣や硬貨が発行されないため「仮想通貨」、暗号化の技術を駆使していることから「暗号通貨」とも呼ばれています。代表的なものとして「ビットコイン」があります。流通を管理する事業主体や国家はなく、中央銀行も存在しません。米ドルや円など現実通貨との交換は、Web上の取引所で行われますが、決済は一般の金融機関を通さないため、諸経費や手数料などが発生せず、小口の売買や個人同士の取り引きにつかわれます。インターネットでの流通前提としていることから、とりわけ国境を越えた送金・決済に利用されています。
このような金融(Finance)とテクノロジー(Technology)が融合した新しいビジネス分野はフィンテック(FinTech)と呼ばれています。
お金は生活においてもビジネスにおいても欠かすことのできない存在です。その貸し借りや決済、通貨の流通は、絶対的な安心や安全が担保されなくてはなりません。そのために国家のお墨付きや企業規模と言った「権威」によってそれが保証されていました。しかし、ITの進化により
- お金のやり取りがリアルタイムで把握できるようなった。
- ソーシャル・メディアなどに個人が実名で様々な考えを表明したり行動が公開されたりと、借り手のことを詳しく知る新たな手立てが生まれた。
- 暗号化や匿名化の技術も進歩しインターネットでも安全、安心に取引できるようになった。
さらに、それらデータを分析する手段として人工知能が使えるようになり、人間が手間をかけてデータを精査することなく信用の度合いを自動的に評価できるようになりました。このような仕掛けにより少額の取引でも十分に利益の出るビジネスができるようになったのです。また、インターネットを利用して金融機関に書類を提出しなくても手続きができるようになり、その利便性は大いに増し利用者の裾野を拡げています。
また、資金運用においても膨大な市場データを様々な角度から分析し、個人の要望にもきめ細かく答えられる人工知能やそれをいつでも、どこでも、わかりやすい画面で利用できるスマートフォンやWeb技術の進化もまた、FinTechビジネスの拡大に拍車をかけています。
「安全や安心が価値」というこれまでの常識から、「便利で手軽という価値」というこれからの新しい常識を利用者が求めるようになり、金融はいまあらたな可能性を求めて大きく変わり始めています。
【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2016年5月版】
*** 全て無償にて閲覧頂けます ***
【大幅改訂】新入社員研修のための「ITの教科書」
最新版【2016年5月】をリリースいたしました。
今月の目玉は「新入社員のための研修教材の追加」と「IoTや人工知能についての資料を大幅に追加」したことです。ご活用下さい。
【新入社員研修教材「最新のITトレンド」・2016年版】
最新のITトレンドについての新入社員向け研修教材として作成致しました。内容は、月次に更新している「最新のITトレンドとビジネス戦略」からの抜粋です。
加えて、以下のドキュメントもダウンロード頂けるようにしました。
- 事前課題(Word形式)
- 理解度テスト(Excel形式)
- 最新ITトレンドの教え方(PPTX形式/解説をノートに記載)
本教材の各ページには、できる限り解説を併記しています。ただ、未記入のものもありますが、今後の更新にて順次追加致します。
【最新のITトレンドを理解するための基礎知識】
主に新入社員を対象に、最新のITトレンドを理解するために知っておくべき基礎知識を改定しました。プレゼンテーションに加え、解説文(教科書)も合わせて掲載いたしましたので、自習にも役立ちます。
【インフラ&プラットフォーム編】(266ページ)
- サービス編と重複する内容を削除すると共に、全体の順序を変更しました。
- 「クラウドによる新しい組合せ」を追加すると共に、解説文を掲載しました。p.27
- 「ASPとPaaSの違い」を追加しました。p.58
- 「マルチテナント効果」を追加しました。p.59
- 「Oracle 12cのマルチテナント・アーキテクチャ」を追加致しました。p.60
- 「Amazon API Gateway」を追加致しました。p.63
- 「ITで変わる働き方」を追加しました。p.178
【サービス&アプリケーション編】(224ページ)
IoT
- 「モノのサービス化」を新規追加し、解説を加えました。p.27
- 「製造業のサービス化」を新規追加しました。p.31
- 「IoTで変わるビジネス価値」を新規追加し、解説を加えました。p.32
- 「ビジネス価値の進化」を新規追加しました。p.33
- 「機器のイノベーションとビジネス戦略」を新規追加しました。p.41
- 「CRMとトータル・エンジニアリング・サービス」を新規追加しました。p.55
スマートマシン
- 「人工知能と機械学習」を改訂し、解説を追加しました。p.144
- 「人工知能の4レベル」を改訂し、解説を追加しました。p.145
【ビジネス戦略編】(92ページ)
- 「戦略・作戦・戦術とIT」を改訂しました。 p.12
- 「商品としてのITの作り方」を追加しました。p.13
閲覧は無料です。ダウンロード頂く場合は会員登録(500円/
http://libra.netcommerce.co.
まずは、どのような内容かご覧頂ければ幸いです。
「ポストSIビジネスのシナリオをどう描けば良いのか」
これまでと同じやり方では、収益を維持・拡大することは難しくなるでしょう。しかし、工夫次第では、SIを魅力的なビジネスに再生させることができます。
その戦略とシナリオを一冊の本にまとめました。
「システムインテグレーション再生の戦略」
- 歴史的事実や数字的裏付けに基づき現状を整理し、その具体的な対策を示すこと。
- 身の丈に合った事例を紹介し、具体的なビジネスのイメージを描きやすくすること。
- 新規事業を立ち上げるための課題や成功させるための実践的なノウハウを解説すること。
また、本書に掲載している全60枚の図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。経営会議や企画書の資料として、ご使用下さい。
こんな方に読んでいただきたい内容です。
SIビジネスに関わる方々で、
- 経営者や管理者、事業責任者
- 新規事業開発の責任者や担当者
- お客様に新たな提案を仕掛けようとしている営業
- 人材育成の責任者や担当者
- 新しいビジネスのマーケティングやプロモーション関係者
- プロジェクトのリーダーやマネージャー