「仕事は断らない」という生き方は成長のチャンスを呼び込んでくる
「営業活動プロセスについて研修をお願いできませんか?」
こんなご相談を頂いた。もちろん喜んで承りたいところだが、どうも話を聞いてみるとそう簡単なことではなさそうだ。
「売っているのはネットワーク回線なんですが、営業が案件の進捗を見える化し、客観的に管理できるようにしたいのです。いまは属人的で人によってやり方でばらばらです。なんとかここを整理して、全体の底上げをしたいと考えています。」
案件進捗の「見える化」とそのプロセスを確実にこなしていくためのスキルを身につけてもらおうという「営業活動プロセス研修」はこれまでも何度も承っているが、お客様の課題を起点としたソリューション営業活動がベースであって、特定の商材、しかもネットワーク回線となるとそのままでは使えないことは容易に想像がつく。そこで、次のように応えた。
「私の研修コンテンツが、そのまま御社のご期待に応えられるとは思えません。どうでしょうか、少しお時間を頂き、ご一緒に御社の営業活動プロセスを整理し、それに基づいて研修を作らせてもらえませんか。」
この提案を受け入れてくれるかどうかはまだ分からない。しかし、大切な案件を「できません」で終わらせたくなかったし、やったことのない分野でもあり、勉強のためにもやらせてもらいたいと思っている。
以前、友人に研修講師の依頼をしたことがある。お客様からの依頼は技術的なものであり、私にはとても手に負えるものではなかった。そこで、その分野に明るいエンジニアの友人に相談した。
「そのテーマについては、やったことはありませんが、面白そうなテーマですねぇ。良い勉強になりますから是非やらせてください。」
そんな返事が返ってきた。そして、その研修をやってもらったが、客様は大満足だった。
こんなこともあった。お客様である情報システム部門の方からMicrosoft SharePointで社内ポータルを作りたいのだが、できる会社を紹介してもらえないかという依頼だ。そして、あるエンジニアのことが思い浮かんだ。そして、早速彼に相談をしてみると、次のような返事が返ってきた。
「Microsoft SharePointは使ったことはありませんが、面白そうだからやらせてください。」
本当に大丈夫なのかと訊ねてみると、彼は次のように応えた。
「トライアルでダウンロードできるし、まあ、簡易言語のようなものですから、大丈夫だと思います。相談できる人もいるので大丈夫です。」
彼は、Webも分かり、データベースも分かり、デザインもできる。分からなければ、すぐに勉強し、新しいことにも果敢にチャレンジする。そういう彼の仕事ぶりを知っていたので特に心配はなかった。結果、見事にお客様の期待に応えてくれた。
仕事は断らない
私もそうだが、ここに紹介した二人もまた同様だ。それが分かっていたからこそ、すぐに彼らのことが頭に浮かんだのだ。もちろん、まったく違うジャンルのことであればはじめから相談することはない。しかし、おおよそ関係がありそうなことであれば、まず断らない。もちろん、いま抱えている仕事の都合もあり、先方と期間や納期、予算などで折り合わないこともある。それは仕方のないことだが、まずはできるかどうかを考えてみる。それが例え未経験であっても、同じジャンルであれば、同じようなことを何度もこなしてきているので勘が働くので判断もすぐにできる。
できないことを「できる」という話しではない。できないと分かればきっぱりとお断りするのは当然だ。安請け合いは厳に慎むべきだ。しかし、「できそうだがやったことはない」は「やってみたい」と同義なのだ。そして結果を出す。たぶんこういうことの積み重ねが、自分の能力を伸ばしてゆくことになるのだろうと思っている。だから「断らない」は私にとって大切な行動基準となっている。
これは、仕事を依頼する相手を評価する基準にもなる。もちろん、根拠のない「安請け合い」はこちらからお断りだし、それは割とすぐに判断がつく。いくつかの質問をすれば、その分野での経験がない、勘がないことが分かる。相手のこれまでの実績を知っていれば、それさえも必要ない。気持ちだけのポジティブシンキングの相手にはこちらから頼むこともない。
難しい仕事でも断る前に考えて見てはどうだろう。少し頑張ればできるんじゃないだろうか。そんな思考回路を持つことができれば、成長のチャンスをどんどんと呼び込むことができるはずだ。
【最新版】最新のITトレンドとビジネス戦略【2015年12月版】
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最新版【2015年12月】をリリースいたしました。
今月の目玉は、「オンプレからパブリッククラウドへの移行」について、ドキュメントを追加しています。移行をご検討のユーザー企業・情報システム部門の方は企画書や経営会議の資料として、SIerの方はお客様の提案資料としてご利用頂けると思います。
なお、今月より「テクノロジー編」を「インフラ&プラットフォーム編」と「サービス&アプリケーション編」の2つに分割致しました。(全438ページとなり資料探しに手間がかかるようになったため)
【インフラ&プラットフォーム編】(246ページ)
- ハイブリッド・クラウドについて、各社の取り組みを比較しやすいように資料を作り直しました。P44
- PaaSについての解説をわかりやすく修正しました。p.55-56
- 「パブリッククラウドへの移行の勘所」と「パブリッククラウド移行の企画書・提案書の作り方」の章を新しく追加しました。SIerにとっては顧客提案資料として、また、ユーザー企業の方は経営会議や企画会議の資料としてご利用頂けると思います。p.77-94
【アプリケーション&サービス編】(192ページ)
- 誤字・脱字等を修正しました。内容に大きな変更はありません。
【ビジネス戦略編】(74ページ)
- 「SI事業者の成功要因の変化」を追加致しました。
- 「PEST分析と5フォース分析で見るクラウド化」を追加しました。
- 「事業再構築の逆Cカーブ」と「SIビジネスへの適用」を追加しました。
- 「基幹業務のAWS適用事例」を追加しました。
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「情報と処理の基礎は教えているが、クラウドやIoT、
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目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン