トレンドを体系立てて理解することがこれほど重要な時代は、かつてなかったかもしれない
昨晩(4月15日)、ITソリューション塾・第18期の最終講義を終えました。毎週2時間、計10回の講義の総括です。ここで講義したテクノロジーや開発・運用の新しいトレンドをこれからの自分達のビジネスにどのようにつなげてゆけば良いのかを整理しました。全く同じ内容ではありませんが、同様のテーマでまとめた資料を公開していますので、よろしければご覧下さい。
今期の受講生は、41社82名、会場は毎回満席でした。十分に期待に応えられただろうかという思いも残ります。特に今期は、神戸や京都から、毎週通ってこられる方もいらっしゃって、気が抜けませんでした。でも、正直なところ、ひとつの役割を果たしたことに安堵しています。
改めて考えて見ると、トレンドを体系立てて理解しておくことがこれほど重要な時代は、かつてなかったかもしれません。クラウドは言うに及ばず、IoTやビッグデータ、AIが、これからのビジネスや日常生活に深く関わってきているからです。それらが複雑に絡み合いながら、今の時代を動かしています。この複雑さにお客様も、それを提供する側も困惑しています。どのような答えを出すかは、現場に任せるしかありません。しかし、新しい知識のないままに、過去の経験と勘だけで、答えを見つけようとしても、時代遅れ、あるいは時代錯誤な勝手な思い込みの答えを作るだけになってしまいます。
それぞれに本やWebから知識を得ることはできるでしょう。しかし、体系的に俯瞰して整理するには、相応の時間が掛かります。それを「代わって整理しましょう」という価値をこの塾に認めてもらえたのだと思います。
また、「セクシーな提案書の作り方」や「課題発掘の会話術」など、お客様に相対するスキルについても講義しました。むしろ、こちらの方が役に立ったとのコメントに、嬉しいやら、ちょっと複雑な気分です(笑)。
また、講義で使用したプレゼンテーションのパワーポイントを全てそのままソフトコピーで提供しています。それは、この塾という取り組みが、「講義を聴くこと」ではなく「知識を活用すること」を目的だと考えるからです。
学習効果のピラミッドと呼ばれるものがあります。これは異なる学習方法による学習定着率(忘れにくさ)の違いを示したもので、ピラミッドの下にある方法ほど学習定着率が高く、上にいくほど定着率が低い、つまり頭に残りにくいということを表しています。
アメリカ国立訓練研究所(National Training Laboratories)
- 講義を聴く(Lecture):5%
- 読む(Reading):10%
- 音声化・視覚化(Audio-Visual):20%
- 実演する(Demonstration):30%
- 討論する(Discussion Group):50%
- 体験する(Practice by doing):75%
- 他者に教える(Teaching others):90%
毎週の講義でできることは、「講義を聴く(Lecture)」のレベルに過ぎません。しかし、学んだことを真に自分の武器として使いこなせるようにするためには、「他者に教える(Teaching others)」ことが最善の策です。プレゼンテーションをソフトコピーで提供するのは、そんな機会を作ってもらいたいからです。
講義という時間における演出は、講師の責任です。質の良い資料とわかりやすい解説は当然ですが、受講者を飽きさせない、眠らせない、興味を喚起し続けることも含めて、講師の責任です。
「受講者の意欲が足りないから眠くなるんだ」という講師の方もいらっしゃいます。確かに、そう言う人は何人かいるとは思いますが、8割、9割は、講師の準備と演出に掛かっていると思います。伝わらないのは、伝える側に責任があるという自覚を持ててこそ、講師という仕事の責任を果たすことができるのだろうと思っています。
しかし、それを定着させ、実践に結びつけるのは、受講者自身のことです。残念ながら、その実践まで講師は、フォローはできていません。できることは、それを願い、期待すること、そして、ソフトコピーを提供することで実践の機会を作りやすくすることくらいです。
気がつけば、あっという間の3ヶ月でした。最後の打ち上げ会(正式名称は「アルコール消毒会」)にも大勢が集まり、名残を惜しみました。「名残を惜しめる」ということが、何よりの評価かもしれません。ほんとうにありがたい気持ちでいっぱいです。
さて、来期は5月21日が開催です。既に、60名を越えるお申し込みを頂き、準備も始めています。あらためて多くの皆さんと巡り会え、つながる機会が生まれることを期待しているところです。
あなたも参加しませんか?
ITソリューション塾・第19期を募集しています。
- クラウドと仮想化の違いを説明できますか?
- IoTとビッグデータの関係を説明できますか?
- DevOps、アジャイル開発ってなんですか?なぜそんなに注目されているんですか?
ITに関わる皆さんにそんな「常識としてのIT」身につけて頂く研修です。
- 期間:2015年2015年5月21日(木)〜7月22日(水) 毎週2時間x10回
- 場所:市ヶ谷・東京
- 講義資料(パワーポイント:約500ページ)はロイヤリティフリーにてダウンロード
第19期は、基幹業務での利用が加速するクラウドの新たな位置付け、IoTやアナリティクスについて、これまで以上に掘り下げてみようと思います。また、ビジネス戦略の策定やIT人材のあり方や育成についても考えます。
また、DevOpsやアジャイルはもはや外せないテーマです。実践ノウハウにまで踏み込んで、専門家による特別講演を予定しています。セキュリティは、「起こさないための対策」と「起こってからの対策」を体系化して解説します。前者はテクノロジーや業務運用、後者は法律専門家や広報ということになるでしょう。
セクシーな提案書の作り方、顧客満足の科学など、お客様との応対力を高める実践ノウハウも解説します。
定員は75名を予定しています。現在60名ほどのお申し込みを頂いております。まもなく定員を超えることが予想されますので、まだ未定の場合でもご意向だけメールにてお知らせ頂ければ、参加枠を確保させて頂きます。
詳細な日程や内容につきましては、こちらをご覧下さい。
「ITの最新トレンドとビジネス戦略」【2015年3月版】 リリース
全て無料でご覧頂けます。今回の改訂の目玉は、以下の3点です。
*「コレ1枚で分かる最新ITトレンド」を全面改定。
IoTの位置づけを見直し、Cyber Physical Systemsについての記述を追加しました。
最新の解説もダウンロードできます。
*IoTの記述を追加し、より分かりやすいものにしました。
IoTとソフトウェア制御の関係やIoTデバイスのスタックにつ
*「アナルティクスとビジネスインテリジェンス」
こんな方に読んでいただきたい!
- IT部門ではないけれど、ITの最新トレンドを自分の業務や事業戦略・施策に活かしたい。
- IT企業に勤めているが、テクノロジーやビジネスの最新動向が体系的に把握できていない。
- IT企業に就職したが、現場の第一線でどんな言葉が使われているのか知っておきたい。
- 自分の担当する専門分野は分かっているが、世間の動向と自分の専門との関係が見えていない。
- 就職活動中だが、面接でも役立つITの常識を知識として身につけておきたい。
「【図解】コレ1枚で分かる最新ITトレンド」に掲載されている100枚を越える図表は、ロイヤリティ・フリーのパワーポイントでダウンロードできます。自分の勉強のため、提案書や勉強会の素材として、ご使用下さい。
目次
- 第0章 最新ITトレンドの全体像を把握する
- 第1章 クラウドコンピューティング
- 第2章 モバイルとウェアラブル
- 第3章 ITインフラ
- 第4章 IoTとビッグデータ
- 第5章 スマートマシン