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内製化について考えてみました(3/3)「内製化支援」を武器にする

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コスト、スピード、ガバナンスの3つの圧力は、内製化へのデマンドを生み出しています。一方で、容易に対処できない現実があることは昨日述べたとおりです。では、どうすればいいのでしょうか。

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ここで改めて問いたいのは、「何のための内製化か?」ということです。内製化は手段であり、それ自身が目的ではありません。

多くの企業において、ITは本業ではなく情報システム部門は間接部門、裏方を支える役目であると認識されています。経営環境の不透明感が漂う中で、少しでもコストを押さえたいという経営からの圧力は日増しに高まっており、コストセンターである情報システム部門もまた例外ではありません。

「本業として稼ぎをあげない情報システム部門が、なぜそんなに外注に支払う必要があるのか。そもそもその単価は妥当なのか。自社でやれば、支払いも減るのではないか。」

ITを知らない経営者からみれば、このような意識が働くのは当然のことです。また、情報システム部門にとっても、外注がいなくては回らないことはわかっていますが、このような経営の無理解を押し返す説得力を持ち合わせてはいないのです。

確かに、外注費用の内訳や妥当性は曖昧です。作業内容や成果ではなく、時間に対する対価です。その人がいなければ困るというような、属人的価値への対価でもあります。これを論理的に説明することは難しく、結局は、内製化の努力を示すことで、経営の期待に応えようというモチベーションが働くことになります。

情報システム部門が「内製化」という言葉を使う背景には、後ろ向な捉え方ではありますが、ITベンダーにコスト削減を強要するための脅し文句ではないのでしょうか。しかし、これでは本末転倒です。内製化が、企業の戦略的価値を高める手段とならない限り、これに取り組む意味はありません。

コスト、スピード、ガバナンスという3つの圧力の中で、コストへの対応としての内製化は、上記の通り、実りのあるものにはならないでしょう。ならば、残りの二つに価値を見いだすことができるでしょうか。

下のチャートをご覧ください。ガートナーのプレスリリースを参考にチャートにしたものです。

欧米の経営者は、もはやIT戦略と経営戦略を分けて考えてはいません。その結果、「ビジネスのあらゆるセグメントがデジタル化」する流れを生み出しています。我が国でもそういう意識を持つ経営者が増えつつあります。

私は、この状況の中、IT戦略と経営戦略を融合させる手段として、「内製化」を積極的に位置づけてゆくべきであろうと考えています。

つまり、ITに対するイニシアティブを情報システム部門が握るための手段としての「内製化」です。

「自社の経営戦略や事業戦略をITで実現することを自ら担い、外注に丸投げして、コントロール不能に陥らないためのガバナンスを担保するための手段」

「内製化」をこのように捉えてみてはどうでしょうか。

ITベンダーは、そういうお客様の取り組みを「内製化支援」ビジネスとして、展開してはどうでしょうか。

内製化をしたくてもユーザー企業にはスキルも人材も不足しています。一方、ベンダーにはそのスキルがあります。両者は相互補完の関係にあります。例え内製化をすすめても、ユーザー企業が全てを内部でまかなうことはできません。だから、外部との連携は必ず必要になります。

内製化が進めば、外部依存の比率は減少するでしょう。しかし、その一方で、

内製化を支援すれば、そのノウハウがお客様の標準となります。スキルを提供した会社に優先的に依頼がくるはずです。残念ながら、競合他社には去って頂くことにはなりますが、市場は淘汰を求めています。単価ビジネスではできないことで、競合優位を確保することしかないのです。

ただ、内製化へのモチベーションは、大手企業に限られるだろうと思っています。ECビジネスやオンライン・ゲームといった、ITテクノロジーそのものをビジネスの根幹と考える一部企業を除けば、一般的な中小の企業は、むしろその反対の方向に向かうのではないでしょうか。

情報システム要員と言っても人数は限られ、専任さえままならない規模の企業にとっては、SaaSを利用することや、開発を外注したアプリケーションやパッケージ・ソフトウエアをパブリック・クラウドのIaaS基盤で動かし、運用代行も外部に任せてしまうような使い方が、今後の主流になるのではないかと思っています。

中小企業には、内製化ではなく、開発外注/パッケージ導入+クラウド運用代行といったビジネスが、むしろチャンスがあるかもしれません。

「内製化」を脅威と捉えるのではなく、むしろチャンスと捉えることで、競争優位を築くことを考えてみてはどうでしょうか。人月積算型のビジネスが、今後減少してゆくことはもはや避けることのできない現実です。そこに生き残れるかどうかは、脅威さえもチャンスと捉えて施策を打つことかもしれません。

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