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クラウドとSIビジネスの関係(2/3)クラウドがもたらしたITの新しい価値

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昨日のプログで、クラウドの構成要素をビジネスの視点から整理したが、そのクラウドが企業のIT利用にどのような変化や価値をもたらすかを考えてみた。

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システム資源

まず指摘したいのは、システム資源の価格破壊だろう。昨日のブログでも指摘した共同購買・大量購入・負荷の平準化により、システム資源の調達コストを下げると共に、サービス化によりオンデマンドでシステム資源を利用できるようになった。これによって、「使いたくても使えなかった」潜在需要を喚起すると共に、初期投資リスクを軽減できることから、それまでの無消費層に新たな需要を喚起した。

クラウド・エコシステム

この需要喚起により、様々なテクノロジーがクラウドを軸にて動き始める。ここに新たな需要が生みだされ、様々なトライアルが行われてゆく。多くの失敗と成功を繰り返しながら、クラウドに関わる企業が増え、「エコシステム」が形成されてゆく。

このエコシステムの大きな価値は、様々な組合せを、大きなリスクを伴わず試せることだろう。これによって、イノベーションが誘発され、新たな適用領域や利用者を増やしてゆく。

IT活用

イノベーションはこれまでに無かった新たな価値を生みだすと共にテクノロジーの難しさを隠蔽する方向にも向かう。その結果、ITの適用領域が大きく広がる。これまで、ITを使いたくても専門的なスキルがなかったり、リテラシーが低かったりする人には扱えなかったITを誰もが使えるようになり、利用者の裾野を拡げる。ここでクラウドと並んで大きく貢献するのが、人工知能だろう。人工知能は、UIを「人間的」にし、UXの向上に大きく貢献する。これにより、利用者は、さらに拡大する。

ビジネスにおけるIT価値の変化・向上

利用者が増えれば、それを前提としたビジネスを考えてゆかなくてはならない。ビジネスにおけるITの価値が益々高まる。

ITはビジネスを生みだし、差別化するための事業資産として、これまで以上に認知される。また、ユーザーとの係わりが、モバイルやウェアラブルによって、ITと深く結びつくようになれば、顧客との接点は、ITとの係わり無しには成り立たない。

また、システム開発もクラウドや人工知能の普及により、ユーザー・フレンドリーなものになるだろう。つまり、ITの専門家を介することなく、ユーザーがシステムを開発することができるようになる。そうなれば、業務プロセスとシステム技術や運用との断絶は解消され、究極のアジャイル開発、DevOpsが実現するかもしれない。これについては、こちらのブログに書いて見たので、ご参照頂きたい。

>> 2020年から振り返る これからのITビジネスがめざすもの

ITは、ますます企業にとって欠くことのできない経営資源となってゆく。

さて、本当にこうなるかどうかは、これからを見なければ分からないが、その可能性を踏まえで、これからのビジネスのシナリオを考えておくべきだろう。

では、このようなクラウドの普及が、SIビジネスにどのような影響を与えることになるのか。明日は、このテーマで考えてみる。

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  • IoT (Internet of Things) とビッグデータ
  • スマートマシン
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今月は、仮想化とSDIについてプレゼンテーションを一新し、解説文書を追記致しました。

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システム・インテグレータの今と次のシナリオを考えて見ました

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「システムインテグレーション崩壊」

〜これからSIerはどう生き残ればいいか?

  • 国内の需要は先行き不透明。
  • 案件の規模は縮小の一途。
  • 単価が下落するばかり。
  • クラウドの登場で迫られるビジネスモデルの変革。

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