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「ソーシャル」の本当の意味 日米の理解の違い

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「ソーシャルという言葉なんですけど、日本とアメリカでは違う意味に受け取られているんですよ」

先日、紹介した鈴木逸平氏の講演は、いろいろと目から鱗の話が一杯あったのだが、この話題も大変印象深かったので、ご紹介しよう。

「ソーシャルとは、ヒトとヒトとのつながりから価値ある情報を生みだし、それを共有することなんですよ。」

日本で使われる「ソーシャル」という言葉は、LINEやTwitter、Facebookを使って、ヒトとヒトがつながることで、連絡が楽になる、趣味、嗜好などが近い人たちが会話を楽しむなど、コミュニケーションやエンターテイメントの手段としての意識が強い。

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しかし、米国では、そういうヒトのつながりから生まれるデータに注目しているという。つまり、日常会話の中で交わされている趣味嗜好、評判、意見や、ヒトとヒトのつながり(ソーシャル・グラフ)といったソーシャルから生みだされる情報をマーケティングやカスタマー・サポート、事業戦略や企画に結びつけてゆく仕組みまで含めて、ソーシャルと捉えているというのだ。言い換えれば、コミュニケーションに関心があるのではなく、そこから生みだされるデータにこそ、ソーシャルの価値を見出しているのだ。

考えてみれば、コミュニケーションの延長だけでは、米国におけるソーシャルの盛り上がりを理解することはできない。多くのエンタープライズ系のベンダーがソーシャルに積極的であることの意味も理解できない。「なるほど!」と思わずにはいられなかった。

そう考えるといろいろなものが見えてくる。例えば、これからは、IoTが生みだすデータがソーシャルの一部として融合してゆくだろう。ウェアラブル、自動車、ホームデバイスが、ソーシャルに割り込んでくる。これにより、日常と社会の活動のがつながり、様々なデータを生みだす。そのデータこそが、ビジネスの源泉となる。

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それらデータの大半は、非構造化されたデータとなる。つまり、これまでのRDBでは取り扱うことの難しい領域だ。そいう理由からNoSQLの用途は広がり、それがビッグデータとなる。

そのビッグデータから様々な知見を取り出さなくてはビジネスにはならない。当然、アナリティクスがセットになる。昨今、ソーシャルメディア大手が、人工知能に関わるベンチャーを買収していることや、投資を拡大している背景には、このような理由があるのだ。

言うなれば、かれらは、ソーシャルという手段を使って、データを押さえにかかっているのだ。かれらは、さらにそのデータの入口を押さえにかかろうとしている。それが、ウェアラブルであり、ホームデバイスであり、モバイルや車載のOSだ。この点については、先日のブログで詳しく書いたのでご覧頂きたい

こういう話を聞くと、つくづく思うのだが、米国企業が、実に長期のスパンで戦略を考え、実現に向けて、着実に施策を展開しているという現実だ。日本では、ひとつの製品領域や固有のアプリーケーションで戦略が組み立てられ、そのスパンも短い。日本が、この業界でイニシアティブを取れないのは、さもありなんである。

「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」

かつて、アラン・ケイが語った言葉だが、まさに彼らはそれを実践している。

いずれにしろ、こう考えてゆくと、ソーシャル、IoT、ビッグデータ、人工知能、そしてクラウドは、大きなエコシステムとして有機的につながっていることが分かる。そして、その中心にあるのが、データである。まさに、データは、ビジネスにおける可能性を大きく拡げ、イノベーションを生みだす源泉となってゆくのだろう。

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