ソフトとハードの関係を再定義・ポストSIビジネスの将来はここにある
「ネットでリアルを“再定義”・企業生き残りのカギはソフト開発力」
最新の日経コンピュータに掲載されていた記事のタイトルだ。大変面白い内容だった。まさにSIerやITベンダーが、今後目指すべき方向を指し示してくれている。
この記事は、ハードウエアとソフトウエアの新たな融合、あるいは私たちが当たり前に接している従来型のリアル・ビジネスをソフトウエアの視点で見直してみることで、様々なイノベーションが起こることについて書かれている。IoTや3Dプリンター、タクシー配車システムのUberやサーモスタットのNestなどが事例として紹介されていた。
「なぜ、グーグルがハードウエアの開発を手がけるのか」との問いに「ハードウエア開発におけるソフトウエアの比率が高まる中で、ソフトウエアに関する問題にグーグルは最も取り組んできたからだ」というところがあったか、まさにこれこそがいま起こっていることの根底にある。
これまで、ハードウエアにおけるソフトウエアは、組み込みソフトウエアであり、ハードウエアの部品として存在していた。しかし、ソフトウエアは、ネットやクラウドと一体になり、むしろハードウエアは、そういうソフトウエアをリアルの世界とつなげるデバイスとなった。つまり、ソフトウエアの一部にハードウエアが組み込まれている。そして、ソフトウエアはクラウドとネットを介して、つながり新たな価値を再生産する。そういう視点でハードウエアを捉えてみる必要があるのかもしれない。
我が国のハードウエアは、その機能や精度、品質に於いて世界でも確固たる地位を築いてきた。しかし、それは、ハードウエアを単独の存在として考える従来の常識に立脚した評価だ。しかし、UberやNestなどはソフトウエアの価値を最大限に引き出すためにハードウエアが存在している。また、典型的なハードウエア企業であるGEは、みずからのハードウエア技術をインダストリアル・インターネットに組み込み、ソフトウエアの価値でハードウエアの価値を再定義しようとしている。
もちろん日本でも、コマツのKOMTRAXやシスメックスのSNCSのような先進事例もあるが、その勢いや規模は米国にかなわないのが実情だ。
ハードウエアとソフトウエアの垣根を取り払い、ITビジネスを再定義すべき時期に来ている。従来型のSIビジネスが益々危機的状況に陥る前に、自分達のビジネスのあるべき姿を見直すべきだ。幸いにも我が国にはもの作りの伝統がある。この伝統との融合こそ、次のポストSIビジネスを切り開くことになるだろう。
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