モバイルコマース調査報告:モバイルユーザはアプリよりもブラウザを好み、カウチポテトを楽しみ、ハッピーを感じている
米国のZmagsから、1,500人のスマートフォンとタブレット所有者を対象に、2011年のホリデー期間中のモバイルコマースの現状を調査した非常に興味深い調査レポートが発表されている。そこで今回は、この調査レポートで明らかになったモバイルコマースの現状についてまとめてみたいと思う。
【1】 モバイルの所有者はアプリよりもウェブサイトを好む
2011年のホリーデーシーズン期間が記録的なセールスを記録したこと、そしてモバイルコマースが無視できない大きな存在になったことは、いろいろなレポートで報告されている通りである。例えば、その中のエピソードを1つだけ紹介すると、タブレット所有者の87%が昨年のホリデー期間中に自分のタブレットを使用し、平均325ドルショッピングしたという。
しかし、それ以上に興味深い今回の調査結果は、スマートフォンやタブレットのアプリを使ったショッピングを好む消費者が、たったの4%しかいなかったことである。この4%という数字は、ちょっとした衝撃を与えてくれる。
ショッピング用アプリの方が、ブラウザベースのモバイルとタブレットコマースの専用ウェブサイトよりも優先順位が高いと考えていた小売事業者が多いはずだからである。下のグラフを見てほしい。スマートフォン、タブレットともにアプリを使ったショッピングを好むと回答した所有者はどちらも4%しかいない。一方、専用ウェブサイトでのショッピングを好むと回答した所有者は、タブレットが9%、スマートフォンが14%となっている。
Point-①:
アプリを使ったショッピングを好むモバイルユーザはわずか4%
■ 消費者が好むショッピングのスタイル
アプリがスマートフォンとタブレットの所有者に好まれていないのではない。あくまでも、ショッピングの目的で利用する際にアプリが好まれないというだけだ。ゲーム、ビデオ、音楽の利用では断然アプリの方が人気が高い。
ショッピング利用にアプリが好まれない理由について考えてみたのだが、一番の理由は、PCのウェブサイトで使い慣れた使用感から離れたくないからだと考えている。アプリの種類にもよるだろうが、アプリのユーザーインタフェースはお世辞にも使いやすいとは言えないものが多い。あのYouTubeでさえ、PCの方が断然使いやすい。
スマートフォンはまだしも、タブレットはスクリーンサイズもノートPCにほぼ匹敵する大きさを実現している。ショッピングにPCと同じ使用感を求めるのは当たり前のことだろう。ウェブサイト並みの使用感を実現したアプリが登場してこない限り、この差はなかなか埋まらないような気がしてならない。
参考までに、下のグラフは、米国の小売事業者のモバイルコマース用のアプリを提供している割合を表したものである。モバイルコマース用のアプリを提供済みの小売事業者はまだ19%に過ぎない。ただ、消費者のニーズとは反対に、今後提供する小売事業者が増えてくることは間違いなさそうだ。
Point-②:
モバイルコマース用アプリを提供している小売事業者はわずか19%
■ モバイルコマース用アプリを提供してる小売事業者の割合
【2】 タブレット所有者はカウチポテトを好み、ハッピーとワクワク感を感じている
Zmagの調査結果によれば、タブレット所有者の約3分の1が自分のタブレットでショッピングするのを好むという。また、2011年のホリデー期間中にタブレットでの購入が多かった分野は、電化製品、洋服、おもちゃ、ラグジュアリーで、特にタブレット所有者の半分以上が、自分のタブレットで洋服を探すと回答している。
タブレット所有者の38%が自分のタブレットを通して商品を購入している。また、タブレットでブラウジング&購入されている割合は、玩具がブラウジングが43%で購入が38%となっており、何人かのタブレット所有者は、ダイヤモンドの指輪、時計、ブレスレットなどの高額商品を自分のタブレットを使って購入したという。
興味深い調査結果はそのショッピングスタイルだ。タブレット所有者は長時間ソファに寝転びながらショッピングするカウチポテト派が多いという。タブレット所有者の50%が、ソファの上がショッピングする一番好きな場所であると回答しており、それ以外に20%がベット、キッチン、ショッピングモール、コーヒーショップ、交通機関の中でショッピングすると回答している。
このショッピングスタイルは、タブレットコマース特有のものだと考えられる。今までのイーコマースのように、PCの前に座ってショッピングだけを楽しむのではなく、何か他の作業をやりながら、ついでにショッピングを楽しむのがタブレットコマース流ということになる。
Point-③:
タブレット所有者の50%がカウチポテトスタイルのショッピングを好む
もう1つ興味深い調査結果が、タブレット所有者のショッピングの際に感じる感情の種類だ。タブレット所有者の50%以上が、他のオンラインショッピング、モバイル、店舗内でショッピングするよりもハッピー、ワクワク感を感じながらショッピングしていると回答している。
この感情を感じる割合は男性よりも女性に多く、ハッピーと感じているのは男性が51%で女性が57%、ワクワク感を感じているのは男性が36%で女性が46%。しかし、2011年のホリデー期間中に自分のタブレットで201~500ドル消費した割合は、女性の37%に対して男性は52%という調査結果が出ており、ハッピーとワクワク感は感じていても、財布の紐は固いという女性の特徴がよく出ている。
Point-④:
タブレットは消費者をハッピー&ワクワクさせる
最後に、2012年の予測として、スマートフォン所有者のシッピング率は19%、タブレット所収者のショッピング率は49%という数字が出ている。この数字は、スクリーンサイズの大きなタブレットの方がショッピング向きなことを示している。よって、2012年以降のモバイルコマースの主役が、今まで以上タブレットになることはまず間違いないだろう。
【3】 参考情報
②「87 Percent of Tablet Owners Using Tablets for Holiday Shopping, Finds Zmags Study 」