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シャネル、マークジャコブス、タグホイヤーなどのブランドが新年早々に公開したビデオから導き出した結論。2012年のイーコマースビデオは30秒が主流になる

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米国の小売事業者にとって1年で最もセールスが期待できるホリデーシーズンが終わったばかりだというのに、シャネル、マークジャコブス、タグホイヤーなどのブランドは、新年早々かなり印象的なソーシャルビデオを公開して話題になっている。公開の方法も、フェイスブックを活用したり自分たちのウェブサイト上にスペシャルなページを用意して公開したりと様々だ。

今回は、各ブランドが新年に公開したHappy New Yearビデオから導き出された、イーコマースビデオが取り組むべき2012年の傾向について考えてみたい。


■ シャネル(Chanel)

シャネルは、新年早々フェイスブックファンページに、”CHANEL WISHES 2012”というタイトルのビデオを公開して話題を集めている。この”CHANEL WISHES 2012”は、40秒にも満たない非常に短いビデオなのだが、ブラックの背景にゴールドの文字が鮮やかに浮かび上がるシャネルらしいゴージャスなクオリティが特長だ。特に、冒頭部分のCの文字が重なるようにしてロゴを形作ってくるあたりが見事である。

そして、雪の結晶が現れてから、Happu New Yearと2012のロゴが、やはりゴールドの光を放ちながら浮き上がってくる。ブラックとゴールドしか使っていないシンプルな映像でありながら、シャネルらしさが満載の非常に完成度の高いビデオだ。

また、ビデオの再生完了後の画面では、WCのロゴに重なるようにしてフェイスブック、ツイッター、メールのアイコンが表示され、それぞれぞれを経由して友達とシェアできるようになっている。シャネルがソーシャルメディアをかなり重要視している表れと理解することができる。

ゴージャスさとクールさにおいては、ここで紹介している3本のビデオの中でも群を抜いていると言っていいだろう。

⇒ シャネルのフェイスブックファンページ

⇒ シャネルの”CHANEL WISHES 2012”ビデオ 

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■ マークジャコブス(Marc Jacobs)

アパレルのマークジャコブスは、フェイスブックではなくYouTubeに新年を祝う”Happy 2012 from the Marc Jacobs Family! ”というタイトルのビデオを公開している。こちらのビデオも、シャネル同様33秒という非常に短いビデオなのだが、シャネルとは全く正反対の内容になっている。

見てもらえればおわかりの通り、シャネルの”CHANEL WISHES 2012”がクールな内容のビデオであるのに対し、マークジャコブスの”Happy 2012 from the Marc Jacobs Family! ”は、皆で新年の到来を飛び跳ねながら祝うというかなりクレイジーな内容になっている。

演出も非常に対象的だ。シャネルのビデオは、人間が一人も登場してこない、どちらかというと無機質なムードが充満しているのに対し、マークジャコブスのビデオは、自社の従業員がこれでもかというくらい前面に登場してくる非常にアットホームなムードのビデオになっている。

また、このマークジャコブスの”Happy 2012 from the Marc Jacobs Family! ”は、ブランドの会員宛てにメールで告知されたということだ。ビデオを見た人間に強烈なインパクトを与えるといった点では、3本のビデオの中でもダントツである。

⇒ マークジャコブスの”Happy 2012 from the Marc Jacobs Family! ”

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■ タグホイヤー(Tag Heuer)

スイスの時計ブランドとして有名なタグホイヤーは、自社のウェブサイトとフェイスブックファンページの両方にHappy New Yearビデオを公開している。タグホイヤーのビデオの特長は、シャネルとマークジャコブスのように、新年を感じさせる演出が全くない、ある意味面白味に欠ける内容になっている点だ。

しかし、この24秒という非常に短いタグホイヤーのビデオは、タグホイヤーが消費者に必ず約束しなければならない、メカニック的な部分における品質をアピールするのには十分な内容となっている。ビデオの細部に徹底的にこだわっているという点では、シャネルとマークジャコブスのビデオは足元にも及ばない。

最後に表示されるテキストのメッセージ「Everything can change in a 1/1000th of a second. Tag Heuer wishes you 31,622,400,000 prosperous thousands of seconds in 2012」が、タグホイヤーの姿勢を物語っていると言っていいだろう。同じブランドでも、先に紹介したシャネルとマークジャコブスがファッションという華やかな業界であったのに対し、タグホイヤーは精密機械という華よりも実が求められる業界であることが関係しているのかもしれない。

また、タグホイヤーのHappy New Yearビデオは、フェイスブックファンページ上でもビデオのリンクが公開されている。

⇒ タグホイヤーのHappy New Yearビデオ 

⇒ タグホイヤーのフェイスブックファンページ 

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■ 今回のまとめ<イーコマースビデオ2012年の傾向―ベストな再生時間は30秒>

2012年、イーコマースビデオの再生時間はますます短くなっていく、それが結論だ。今回紹介した3本のビデオは、シャネルの”CHANEL WISHES 2012”だけが40秒で、他の2本はいずれも再生時間が30秒を切っている。偶然かもしれないが、この事実が重要なことを暗示しているような気がしてならない。

2012年のイーコマースビデオにとって、ベストな再生時間は30秒になると考えておくべきだ。昨年までベストとされていた60秒は、2012年のイーコマースビデオにおいては長過ぎると考えておいた方が良いだろう。時代は間違いなく30秒に向かっている。

実際、米国では、イーコマースビデオのコンバージョンレートが最も高いビデオの再生時間は30秒だという調査結果も報告されている。ビデオの再生時間が短ければ短いほど、イーコマースサイトのコンバージョンレートは高くなるのである。2012年、ブランドや小売事業者は、60秒よりもさらに短い30秒のイーコマースビデオを数多く制作・公開してくるはずだ。

30秒イーコマースビデオのメリットは、繰り返し再生される回数が60秒の時よりも格段に増えるという点にある。実際、今回紹介した3本のビデオを、私自身何度も繰り返し再生した。もちろん内容が重要であるという点は言うまでもないことだが、再生時間が半分になることで、ユーザがビデオを繰り返し再生する回数は確実に増える。

また、30秒イーコマースビデオは、2012年にさらなる成長が期待されるモバイルコマースにも最適である。スマートフォンやタブレットなどのWiFi環境でビデオを視聴する場合、ビデオの再生時間は短ければ短いほど良い。30秒という再生時間は、まさにモバイルコマース及びタブレットコマースに最適な時間だと言っていいだろう。

30秒という限られた時間の中で、どうやって伝えたいメッセージを表現するか。2012年のイーコマースビデオには、間違いなくそれが問われる。

⇒ 情報ソース元 「Luxury brands ushered in the New Year with social video

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