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自社のウェブサイトをソーシャルコマース化することを薦める3つの理由

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上の図は、9月4日のgigaom.comに掲載された記事にあった、米国の消費者に関する最近の統計データをまとめたものである。非常に興味深いデータなので簡単に紹介しておきたい。

① 消費者の58%が、商品を購入する前にウェブサイトで調査を行う

今となっては、特に驚くべき数字ではない。ソーシャルメディアやスマートフォンの普及は、消費者が自分の購入したいと思っている商品に関する調査を行うことを強烈に後押ししている。

② 消費者の29%が、購入した商品に対する評価もしくはレビューを残す

この数字も、”シェア”することが当たり前になった現在では、特筆すべきこともないだろう。消費者自体の意識が、単に商品を購入して終わりではなく、”シェア”することを自分の消費者行動として強く意識していることを証明している。

③ 消費者の71%が、他人の評価もしくはレビューを信頼している。

個人的に、このデータの数字には興味を覚えた。消費者の71%が見ず知らずの他人の残した評価やレビューを信頼しているというのは、ウェブビジネスにおける消費者の行動が成熟してきていることを意味している。

④ 消費者の65%が、ブランドのウェブサイトで商品の情報を調査することを好む

この数字をどう捉えるかは難しいところだ。私個人としては、もう少し高い数字になってもおかしくないと思っている。特に、日本の場合は米国と状況が異なるので、80%近い数字が出ても決して不思議はない。

ここまでが、上の図に反映してある数字だ。これ以外にも興味深いデータがあるのでついでに紹介しておきたい。

⑤ イーコマースサイトのトラフィックの25-35%が、SEOによってもたらされている

この数字は、SEOがECサイトにおいてまだ重要なツールであること示している。消費者がウェブサイトに残す評価やレビューは、SEO効果をにとって非常に重要な意味を持つコンテンツとなっている。

⑥ イーコマースサイトの35%が、消費者が評価とレビューを残せる仕組みを導入していない

以上の結果が出ていながら、35%のイーコマースサイトが未だにコンシューマとインタラクティブな交流を実現するための仕組みを導入していないという事実は驚きである。ソーシャル化する以前の問題が、まだ奥深い部分に眠っているということを物語っている。

※ 情報ソース: GIGAOM.com 

■ ウェブサイトをソーシャルコマース化することの重要性

gigaom.comの記事は、これらの数字を背景に、自社のウェブサイトをソーシャル化することの重要性を説いている。決して、ソーシャルメディに対応することが無意味であると言っているのではないので、その点だけは注意してほしい。アマゾンがもう10年以上も前に導入した評価とレビューこそが、今のソーシャルコマースの原型だからである。

むしろ、ソーシャルメディアを利用した、新しいコマースの体系であるソーシャルコマースを推奨している。そして、ソーシャルコマースを導入して成果を上げるためには、ただフェイスブックだけに頼るのではなく、自分たちのウェブサイトを第一に考えることを推奨している。つまり、自社のウェブサイトが中心にあることを忘れてはいけないということを言っているのである。

この自社のウェブサイトをソーシャルコマース化する方法については、私も大賛成だ。確かに、フェイスブック上で決済も可能な、完璧なまでに作り込んであるフェイスブックストアは美しいし、業界内で注目の的となることは間違いない。しかし、ソーシャルコマース本来の目的は、販売することよりも顧客と信頼関係を構築することにある。そして、そのソーシャルコマース本来の目的でもある、顧客とのコミュニケーション構築のためには、フェイスブックストアよりも自社のウェブサイトをソーシャルコマース化した方が、プラスに働くことがしばしばある。

■ ウェブサイトのソーシャルコマース化を薦める3つの理由

ウェブサイトのソーシャルコマース化を薦める5つの理由を紹介するので、参考になれば幸いである。

① 消費者は慣れ親しんだ場所で商品を購入する

今回紹介した調査結果、「消費者の65%がブランドのウェブサイトで商品の情報を調査することを好む」にも通じることだが、消費者は最終的に慣れ親しんだ場所で商品を購入したがる。アーリー・アダプターのように、新しい場所で積極的に商品を購入したがる消費者はごくまれだということだ。消費者は、商品を購入する際、ただ単に欲しいものが購入できれば良いと考えているわけではなく、その瞬間の買い物経験を大切にしている傾向がある。

ユーザインターフェース、配送料、配送までの日数などを含んだ全ての買い物経験が、非常に重要な意味を持つのである。そして消費者は、そのような買い物経験が突然変わることに抵抗感を示す。いつも利用しているウェブサイトが快適であればあるほど、そこから離れることは難しくなる。よって、仮にフェイスブック側に決済機能を用意してあるとしても、ウェブサイト側の商品購入ページをなくしてはいけない。

古くからの馴染みのファンのために、心地良い場所を用意しておく必要がある。

② 最高(100%)のクリエイティビティを発揮できる

このブログでもくつか紹介してきたが、最近はデザイン性の高いフェイスブックストアがたくさん生まれている。FLASHを全面的に採用したり、ほとんどウェブサイトと遜色ないレベルに近づいてきていると言ってもいいだろう。

しかし、それはフェイスブックストアとしては最高であっても、ウェブサイト全体として最高ではない。フェイスブックストアの中では、どうしてもフェイスブックとしての制約の中でクリエイティビティを発揮しなければならないという呪縛がつきまとうことになる。100%のクリエイティビティが発揮できるのは、あくまでも自社のウェブサイトだ。

最高のものを提供できる自社のウェブサイトは、どんな時でも必要である。

③ コミュニケーションの中心として存在する

ソーシャルコマースの本質的な目的は、販売することではなく、顧客と長期的な信頼関係を築くことにある。よって、最優先すべきは、コンバージョンではなくカンバセ―ションだ。そして、カンバセ―ションを実現するためには、コミュニケーション戦略が重要になってくる。つまり、コミュニケーションを第一に考えることが、ソーシャルコマースの成功には欠かせない。

そして、コミュニケーションの中心として存在することができるウェブ上の空間は、自社のウェブサイト以外に考えられない。なぜなら、今後様々なソーシャルメディアと接続する必要に迫られてくるからである。今はフェイスブックと接続するだけで十分かもしれないが、先日ミクシィが企業用のミクシィページをリリースしたように、グーグル+が企業用ページを公開してくることは明らかだ。

そうなった場合、フェイスブックがコミュニケーションの中心でい続けることは不可能になってくる。消費者は、それぞれ自分が好きなコミュニティの中で生息すること希望するからだ。最終的に、ウェブサイトこそがコミュニケーションの中心としての役割を果たすことになる。

コミュケーションする場所は分散しても、それをコントロールできるのはウェブサイトだけである。

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■ ウェブサイトのソーシャルコマース化に必要な機能

では、ウェブサイトのソーシャルコマース化を実現するためには、一体どうしたらよいのだろうか。gigaom.comの記事は、ウェブサイトに以下の3つの機能を実現することで、簡単にソーシャルコマース化が実現できるとしている。

① 消費者が評価・レビューを加えられるようにする。

② ソーシャルログインの機能を導入する。

③ モバイルからもアクセスできるようにする。

確かに、上の3つの機能を実装すれば、機能的な面ではソーシャルコマース化が実現できたと言っていいかもしれない。しかし、ソーシャルコマースの本質的な目的である顧客と長期的な信頼関係を築くためには、それを成功に導くためのコミュニケーション戦略が重要になってくる。そして、ソーシャルコマースのコミュニケーション戦略おける最も重要な要素がエンゲージメント(engagement)だ。

次回は、そのエンゲージメント(engagement)をどうやってコントロールして行けばよいのかについて考えてみたい。

※ 参考:ソーシャルメディアの成長率を表したインフォグラフィック

  情報ソース ⇒ degitalbuzz 

Growthsocialmedia


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