SNSには沈黙するユーザーも必要
SNSには大きく3種類のユーザーが存在する。毎日のようにログインしては、ブログやコミュニティにも自ら積極的に発言するアクティブ・ユーザー。頻繁にサイトにログインはするものの、ブログやコミュニティに自ら発言することはほとんどないサイレント・ユーザー。登録はしたものの、たまに気が向いた時だけログインするダミー・ユーザー。
アクティブ・ユーザーの全ユーザーに占める割合は、20%~30%だと予想している。もちろんSNSの内容によってもこの数字は変わってくると思うが、そんなに多くないことだけは確かだ。
ということは、残りの70%~80%はサイレント・ユーザーとダミー・ユーザー。正確な数字はちょっと控えさせてもらうが、恐らくサイレント・ユーザーの数が今のところfaamでは最も多いと考えられる。つまり、頻繁にログインはするものの、ほとんど何の活動もすることなく沈黙しているユーザーが圧倒的に多いということだ。
では、沈黙しているユーザーは、サイトの内容がつまらないから沈黙しているのか。もちろん、内容がつまらないから沈黙しているユーザーがいることを否定はしない。ただ一方で、沈黙しているユーザーの多くが、つまらないから沈黙しているわけではないということを理解しておく必要がある。
実は沈黙しているユーザーも、それなりに楽しんでいる場合が多い。ただその楽しみ方が、アクティブ・ユーザーのように表面に出てこないため、回りの人間に伝わらない。ブログやコミュニティに自ら発言するだけが、SNSの楽しみ方ではないというということだ。
最近、3人の沈黙するユーザーから直接メッセージをもらう機会があった。その3人のユーザーは、ブログも書いていなければ、コミュニティで発言しているわけでもない。ただ、好きなアーティストの曲や動画を視聴したり、そのアーティストのブログを読むことが楽しみなのだといいう。
最後に感謝の言葉が添えられていた。「居心地の良い空間を提供してくれて有難うございます」。その沈黙するユーザーからのメッセージは、アクティブ・ユーザーこそがSNSにとって重要なんだと思い上がっていたSNS運営者の鼻をへし折ってくれるのに十分だった。
友人申請したい気持ちをぐっと抑えた。たぶん、そんな行為を沈黙するユーザーは望んでいないはずだから。結局、ブログを書いたりコミュニティに参加することを無理に煽っても、何の効果もない。沈黙することの自由も、認めてあげることが重要だ。
活動するアクティブ・ユーザーと、その活動を見守るサイレント・ユーザー。沈黙するユーザーの役割がそこにはちゃんとある。SNSの深みをユーザーに教えてもらった。