■ 数百万円の入れ歯でもメンテナンスが必要になる理由
入れ歯を装着した人の口腔内の変化に関する論文を調べるとアトウッド(Atwood)は19年間の観察から、年月が経つにつれてアゴの骨がだんだん小さくなる「顎堤吸収(がくていきゅうしゅう)」が年間約0.4㎜ずつ、ずっと継続していたことを報告しています。
下アゴは上アゴよりも吸収が大きく、上アゴの顎堤吸収は数年後に少なくなります。
トールゲン(Tallgren)やジャクソン(Jackson)も同様の内容を報告しています。
1970~80年の論文ですが、数十年で人のアゴ骨の構造が変わるとは思えないので、今現在でも年間約0.4㎜ずつの下アゴの顎堤吸収は継続していると推測されます。
つまり保険治療、自費治療に関わらず、とくに下の入れ歯は年月が経つと合わなくなる可能性が高いということです。
だから個人差はあるものの多くの入れ歯でティッシュコンディショナーなどを用いた入れ歯を合わせる調整、治療が必要となります。
そのようなことを踏まえて歯科医院を選ぶ際に、ホームページなどで確認していただきたいことがあります。
それは
「入れ歯を長い年月使うためにどんな工夫、治療をしているか」
という内容です。
入れ歯を新しく作る話をいくら見てもその歯科医院を理解することはできません。
なぜなら入れ歯治療の多くは修理、調整だからです。
入れ歯を新しく作る話は入れ歯治療のほんの一部分に過ぎません。
・「入れ歯に関する悩み」(痛くなった部分の調整)
https://ireba-ito.com/denture/
・「入れ歯で噛めない」(咬み合わせの調整)
・「入れ歯の違和感」(入れ歯の大きさの調整)
・「入れ歯がゆるい」(歯科専用の入れ歯安定材による調整)
・「入れ歯が壊れた」(入れ歯のバネが壊れた時の修理)
当院ではこのような、入れ歯を長い年月使っているうちに起こる症状とその対応についてホームページやブログで数多く紹介しています。
参考にしていただければ何よりです。
参考文献:
・よい義歯だめな義歯 鈴木哲也 クインテッセンス出版
・Atwood DA.The reduction of residual ridge.A major oral disease entity.J Prosthet Dent.1971;26:266-79.
・細井紀雄、平井敏博、大川周治、市川哲雄 編.無歯顎補綴治療学第2版.東京:医歯薬出版,2009
・Tallgen A.The continuing reduction of the residual alveolar ridges in complete denture wearers:a mixed-longitudinal study covering 25yeas.J Prosthet Dent 1972;27:120-132
・Jackson RA,Palph WJ.Continuing changes in the contour of the mixillary residual alveolar ridges J Oral Rehabil 1980;7:245-248
・Carlsson GE.Responses of jawbone to pressure.Gerodontology 2004;21:65-70
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