求む、ASEANにおけるクラウドコンピューティングの未来への提案
6月21日にASEAN(東南アジア諸国連合)による、クラウド活用推進プロジェクトの中間ワークショップが開催されました。
このプロジェクトは、ラオス情報通信省がリードし、ASEAN加盟国各国の情報通信関連省庁と連携して実施しているものです。
ラオスの首都ビエンチャンで開催されたワークショップには各国のICT担当者、民間のサービスプロバイダ、日本の総務省やICT動向の専門家のみなさんが集まりました。私もプロジェクトメンバーとして参加しました。
プロジェクトのテーマは、"Aligning Public Policy and Regulation Framework to Promote Cloud Computing Environment" で、ASEANがひとつの地域共同体として、また構成する各国が、クラウドコンピューティングを活用してどのようにグローバルでの競争力を高めていくか、このときに行政システム、e-Governmentのサービスはどのようなものになるか、民間との連携や産業育成、人材育成、などについての戦略、政策、フレームワークをつくっていこうとするものです。
ワークショップでは、ASEAN各国の代表からそれぞれの国における、e-Governmentの取り組み状況、クラウドコンピューティングの活用に関する政策などの発表があり、また、これからどうしていくのかについて白熱したディスカッションが行われました。
とても印象的だったのは、比較的取り組みの進んでいる国々では、早い時期から各省庁が電子政府サービスの構築を進めた結果、いわゆるサイロ化がかなり進んでしまっているということ。日本でも昔からよく課題に挙げられる話ですが、東南アジアでも問題になっているようです。情報の共有、システム間の連携など、効率的な運営や、将来の拡張やサービスの高度化がかえって難しくなっているケースも。
また、ハイブリッドクラウドもキーワードのひとつでした。e-Gov系のシステムはその性格上オンプレミスやプライベートクラウド上に構築されることが多いのですが、新興国がスピードと経済性を重視すると、民間のサービス(パブリッククラウド)をうまく利用したハイブリッド型のクラウド活用が鍵になりそうです。
余談ですが、パブリックセクター(公共)/プライベートセクター(民間)と言うときと、AWSやアジュールをパブリッククラウド/省庁独自基盤がプライベートクラウド、という時のパブリックとプライベートが、逆の意味になったりするので、ちょっとややこしいですね。。
このほか、ワークショップの中でも話題に上ったトピックとしてはエストニアが挙げられます。発展途上の地域、国がICT、DXを発展の原動力にしようとするにあたり、先行事例として一定のベンチマークになるでしょう。また、クラウドインテグレーション、OSSインテグレーション、というようにインテグレーションも重要性が高まりそうです。
(記事写真は、VientianeTimesより)
ASEANは、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、ブルネイ、ラオス、カンボジア、ミャンマーの10ヶ国が加盟しています。ご存じのとおり、経済的な状況やICTの導入レベルにも差があります。
そのギャップをいかに埋めていくかもプロジェクトのテーマになっています。
実はこのワークショップで、ASEAN各国のみなさんが日本にもかなり関心を持っていて、参考にしたいと考えられていると感じました。そういう意味で、日本のIT業界が出来ることまだまだたくさんありそうです。
プロジェクトでは、これからASEANに対する提言なども整理していきます。ASEANのクラウド活用推進、各国の電子政府サービスなどの取り組み、ICT人材育成や民間の産業育成について、アイデア、アドバイス、提案、コメントなどありましたら、ぜひお聞かせください。
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