「リリース」タイミングのズレ
弊社では新しく開発したソフトウェアの市場投入のためのマーケティング展開についてコンサルティングをさせていただくことも多いのですが、そのためのミーティングにつきもののタイムラグがあります。
それは、
「リリースする」という言葉の指すこと。
どんなふうにずれるかというと、
広報PRの担当者や営業は、「プレスリリースを出す」という意味で「リリースする」と言っているので、厳密にはプロダクトのスケジュールよりもイベントの日程やカレンダーとにらめっこをして彼らの視点で最適と考えるタイミングを言っています。
開発エンジニアは、「リリースする」と言えば製品としてreadyになったバージョンが顧客に届けられるようになること(現状考えられるベストの品質が確保された状態)を言っています。
プレスリリースによって公式にアナウンスされてから一般には販売が開始されるので、店頭で販売されるようなソフトであればさほどでなくてもクロージングまで数カ月かかるような大掛かりなシステムの場合、このタイムラグはより大きくなります。
開発中
↓
プレスリリースによって公式に販売開始(市場にリリースとも言えるでしょうか)し、発売中というステータス
↓
営業活動
↓
製品リリース(いわゆるバージョン1.0が完成)
↓
顧客への導入
というようなイメージです。
外資系のソフトウェアベンダーでは、それこそ製品リリースのタイミングがまだよく見えていないにも関わらず販売開始ということも。
(もっともこれは、顧客側も含めどのくらいの完成度のものを導入してベンダーとユーザが完成させていくのかという発想の違いに起因する場合も多いので必ずしも不埒な行動というわけでもなかったりします。)
まじめな日本企業の場合は、製品リリースと同時にプレスリリースをすべき、という考えのところも多いですね。
この場合は、製品が完成してから販売を開始するので実際に顧客の手に渡るまでの数ヶ月間は完成したのに導入されないという期間が発生したりします。
どちらのアプローチをとるかは各企業の考え方(ベンダー側、ユーザ側双方)なので、どちらが正しいとは言い切れませんが、冒頭に挙げたようなミーティングの場において、「リリースする」という言葉の使い方には注意が必要です。
単にリリースではなくて、「プレスリリース」と「製品リリース」ときちんと言い分けて使うようにすることで妙なズレ(間違い)は防ぐことができるでしょう。