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ベタープレイスのバッテリー交換式EVタクシー体験記

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少し前になりますが、バッテリー交換式電気自動車事業を手がけるベタープレイス社が都内で走らせているEVタクシーに乗ってみました。

ベタープレイスのことやこのEVタクシーの実証実験については、他の記事などをご覧いただくとして、ここでは素朴にユーザとして乗車してみた感想を書いてみます。
これまでに2回乗る機会がありました。一度目は予約してオススメコース、二度目はたまたま乗り場の近くから日比谷まで普通にタクシーとして利用です。ここでは主に一度目のオススメコース試乗について。

ベタープレイスのWebサイト


タクシーとはいっても、街中を流しているわけではないので六本木ヒルズのタクシー乗り場でしか乗れません。
4台しか走ってない貴重な存在ですが、予約していたのですぐ車がやってきました。

EVタクシーが来た!
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音も無くスルスルとやってくるわけですが、まあそれだけならプリウスタクシーと同じかな。

ベースとなっているのは日産のデュアリス。
タクシーによくあるセダンタイプでないのにはちょっとした秘密があって、タクシーとして実用的に運用するための航続距離を可能にする容量のバッテリーをキャビンの下に置くため、車高の高いSUVのほうが都合がよかったのだそうです。
それにともない、実際には最低地上高もやや下がってはいるとのことでしたが、都内を走る分には全く問題ありません。また、背が高い分、広くて快適なのはEVであることとは直接関係ありませんが、タクシーはこういうほうがいいんじゃないかという感じ。

オススメコースは、六本木を出て虎ノ門のバッテリー交換ステーションでデモを見て六本木に戻るというもの。
運転手さんが丁寧に迎えてくれて、いざ公道へ。

後席に乗っていて社内の印象は、フツーにタクシーです。
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モーターはガソリンエンジンと異なり、0回転から最大トルクが出る動力特性があるので、加速など全く問題ありません。
むしろ、スタートダッシュは圧倒的に有利なので、運転もしやすい。
もっとも、タクシーなのでなるべく違和感が無いように制御も運転も気を使っているようです。

丁寧な運転だけじゃつまらないので、運転手さんにお願いして急加速を試してもらいましたw
低速からの立ち上がりはさすが、EV。静かなわりにはあっという間にかなりのスピードに。
パトカーがいないか心配になるくらい(体感)でした。運転手さんありがとうございます。

また、トルク特性と並んでEVのもうひとつの特長である、回生ブレーキもいろいろ試してもらいました。
回生を強く効かせるモードと弱めのモードが選べるようになっているとのことで、通常は乗り心地を考えて弱めで走っているそうです。
しかし、後ろに乗っている身でも強く回生を効かせて、エンジンブレーキがちゃんと効いているのと同じような走りかたのほうが走る止まるのGが自然に感じられるような気がして快適でした。
運転手さんによると、ドライバーの立場でも強回生のほうが運転しやすいとか。

バッテリー交換ステーションでは、一度クルマから降りて、ガラス張りの室内にある交換システムを見学して、いよいよバッテリーチェンジのデモを拝見。

交換用のバッテリーが充電されています。
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このトレイの上にクルマを停めて交換作業(といっても完全自動ですが)スタート。
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EVタクシーの床下にあるバッテリーを交換するのでトレイの下にもぐって見学です。
機械がウイーンと。

工場のラインのように、静かにあっという間に電池交換完了!

(途中でカメラを回転させたので、画面の右側が実際には上です。スイマセン)

あまりのあっけなさにビックリです。

EVの普及に際しては、バッテリーが高価で重くてかさばることから航続距離が問題という声もあり、また急速充電を使っても0-100%にするには数十分から数時間はかかるという点が課題とされていますが、こんなに簡単に取り換えられるとすればとても便利。
一方で、この規格に合わせてバッテリーのレイアウトや仕様を揃えた車両でないと対応できないことや、このようなバッテリー交換設備がどこにでもあるくらい普及することが前提になるので、話はカンタンではないですね。
しかし、都市部のタクシーというのは他の要素も含めてバッテリー交換式EVとの親和性が高いのではないかと思います。

主に都内と近郊で営業するタクシーを対象とするのであれば、バッテリー交換ステーションの配置もある程度コントローラブルだろうし、車両を規格化するのも実現可能な気がします。
また、それ以前に都内にあふれるタクシーの数を考えると、あれが全部EVになったらそれだけでもずいぶんグリーンな街ができますね。

今回体験したEVタクシーは、普通のガソリン車をベースに電気自動車に改造したものなので、エンジンがモーターになっている以外はあまり見た目の違いは無いといえば無いのですが、改造車両だけに量産されている三菱のi-MiEVや米テスラモータースのロードスターのようにきちっとパッケージングされていないので、エンジンルームはちょっと興味深いものがありました。
ここにモーターがあって、これがインバーターで、とかいうようなことがよくわかるところが。。

EVタクシーのエンジンルーム(エンジン無いからモータールームかな?)
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このあたりは、改造電気自動車とかコンバートEVと呼ばれている種類のガソリン車を電動に改造したものとほぼ同じですね。

ちなみに、コンソールはこんな感じでした。
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実証実験として経済産業省の委託事業ということなので、現状では採算は度外視した営業だとは思いますが、今後こういう仕組みが商用ベースに乗ってくるのかどうか注目しておきたいと思います。

このバッテリー交換式EVタクシープロジェクトは当初7月末までの予定だったものが、9月から再開されているようです。
機会があったら、試してみてください。
予約しなくても、タイミングが合えばすぐ乗れることもあるようです。(二度目はそうでした)

ちなみに、料金は普通のタクシーと同じですよ。

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