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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

官僚組織こそ理想の組織

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組織の基本は官僚組織

組織作りの基本は官僚組織である。
事業部制組織、職能別組織、マトリクス組織・・
様々な組織形態が試されてきたが、
基本はやはり、官僚組織である。
そして官僚組織は強い。
決められたことをマニュアル通りに行う。
上から下まで一気通貫に情報が流れる。

私が、クライアントから依頼されて、組織を作るときも、
オーソドックスなものを作る。
最も注意する点は一点。

指揮命令系統が混乱しないようにすることだ。

ややこしい組織にすると、

『誰が上司かわからない』
『誰の指示を仰げばいいのかわからない』
『誰に相談すればいいかわからない』・・・
もっと酷いのになると、
『僕の上司は誰ですか?」
というものもある。
こういったことが往々にして生じる。

組織作りに奇策はない。 


組織を形成するのは人間

しかし、理想の組織というのはなかなか作れるものではない。 
なぜなら、組織は紙の上で完成するものではなく、
所詮は人間が形成するものだからだ。

理想のTOPに、理想の側近、
理想の管理者に理想の部下。。。
有り得ない状況。
望むだけ無駄だ。

組織を作るときには、どんな人が、どこに所属していても、
大丈夫な組織を心がける。
こういう組織が官僚組織に成る。
だから、役所に行けば杓子定規な対応になる。
マクドナルドもおそらくは同様だろう。
しかし、それが強い組織となる。

組織作りで、特にアタマを悩ませるのが、
マネジメントレベルの人材だ。
だいたい、適格者なしとなるのが、普通だ。
「誰か外にいないかなぁ」というのが、
ほとんどの経営者の決まり文句になる。
かといって、外から連れてきても、なかなかうまくいかない。
それだけ世の中的に人材不足なのかもしれない。


不完全な組織の解決法

そんな不完全が当たり前の組織でも、
一つだけ解決策がある。

TOPの存在だ。

TOPが行くべき方向性を明確に示し、
為すべきことをはっきりさせ、
意思決定を迅速かつ正確に行うということだ。
こんなスーパーマンがいれば、組織は動く。
京セラの稲盛和夫さんやソフトバンクの孫正義さんなどが、
スーパーマンに当てはまるかもしれない。
そんなことは望めない組織がほとんどかもしれない。

敢えてもう一つだけ、解決策を考えるならば、
TOPの周辺の存在だ。
TOP周辺が意思決定できない上司をカバーできれば、
組織としては何とか立ち行く。
しかし、実は、このことの方が、
スーパーマンを戴く組織より難しいかもしれない。
周りの人間を活かすことができるTOPでなければ、
周りの人間の言うことなど聞くわけがないからだ。
聞く耳を持たない人というのは多い。
こういうTOPもなかなかお目にかかれない。

結局、組織は不完全が普通だ。
いかに負の要素、つまり、いかにミスを消すかが、
組織構築で最も考えなければならないこととなる。
とすれば、やはり官僚組織が基本になることは致し方ない。
官僚組織というと負のイメージが大きいが、
最も失点が少ない組織ではある。
が、なかなか人間を活かし切れない組織でもあることは否めない。


人間を活かす組織

では、人間を活かすためにはどうするべきか?
それも、やはり人間の力に頼るしかない。
『出る杭』を多く育てるだけの組織の器を大きくしなければならない。
やはり、ここでもTOPの人格や器といったものがものをいう。

どこまでも、組織は人間が作るものだということだ。
不完全だからといって、組織はなくていいものではない。

失点を最小に減らす組織を作り、
得点を最大に増やせる人を育てる組織が、
組織の理想なのかもしれない。
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