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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

新規事業失敗の必然

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 新規事業は、あれこれ考えて結局なかなかスタートできないというこがよくあるため、「とりあえずやってみる」、「とりあえず動いてみる」ということも重要だったりする。考えるだけでは、見えないことが、とりあえず動くことで、見えてくるものがかなりあるためだ。

 しかし、この「とりあえずやってみる」という方向で動くにも、最低限やっておかなければならないことはある。

1)KPIの設定
 KPI(Key Performance Indicator)は、事業目標を達成するために、途中途中でどういう目標をクリアしていくかという指標のこと。当初の目論見が外れたら、その先に行けるわけもないので、いくつかのKPIを設定し、本当に当初の予定通り進むのかを検証しながら進むための準備が必要だ。
 例えば、ある製品を発売し、ネット広告やSNSを駆使し、それなりのPVを確保したとして、その中から1%の購入者が得られるというKPIを設定していたとして、それには遥か及ばない惨憺たる結果だとすれば、これ以上の出血を止めるためにも、一度立ち止まる必要がある。製品の魅力がないのか、そもそもその需要がないのか、広告のターゲットが悪かったのか・・・。原因によっては、撤退した方がいい場合もある。そもそもその製品に需要がないのであれば、何百億と広告に投資しても、絶対に売れない。
 このように、KPIを設定することは、順調に目標に向かって進むための過程における道標となる。

2)事業工程の設計
 いきあたりばったりで事業を始めると、実はその事業には許可や免許が必要だったり、特許がすでにとられていて、そもそも売ってはいけない商品だったりと、思わぬことがある。事業工程を設計しておくことで、あらかじめ押さえておくべき点をすべてクリアしておくことができる。事業を展開していく上で提携先が必要なら、この時点で明らかになることもある。準備をしておくことが、思わぬトラブルを最低限に抑えることができる。

3)ラフ計画の作成-キャッシュの見極め
 無計画で始めることによって、想定していた何倍もの投資が必要となるということはよくあること。そもそもこの事業が、キャッシュが途中で足りなくなり、自分の会社単独では無理かもしれないということはラフでもいいので、計画を作っておくことでわかる。キャッシュが足りなければ、VCや銀行に協力を仰ぐ準備をする必要があるかもしれない。ある程度の必要なキャッシュを把握することで、例えば、本業まで傾くということも避けられ、あらかじめ協力会社が必要なら、その準備も可能となる。


 もちろん、これらは最低限のことではあるが、これすらやらずに事業を始めて、当然のように失敗している会社は腐るほどある。まさに「とりあえずやってみる」ということを実践しているようだ。こうした会社の新規事業の失敗は必然と言える。

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