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会社がなすべき当たり前のこと、人がなすべき当たり前のことでありながら、多くの人ができていないことを、いかに行うかを考えるきっかけになればと思います。高杉晋作の辞世の句でもある「おもしろき こともなき世を おもしろく」をブログ名に、日々普通に起こっている会社や社会での出来事を、いかに考え対応すべきかという視点で書いていきたいと思います。

日本の投票率を上げる方法

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 令和3年の衆議院選挙の投票率はまた50%台と国民の約半分しか投票していないという結果に終わった。国民が投票に行かないことで、組織力のしっかりした政党が有利となるなど、様々な思惑は政党にはあるだろうが、国家としては、多くの国民が選択した結果ということが望ましいことは、誰もが納得することだと思う。

 では、投票率を上げるためには、どうすればいいのか?

1)投票のデジタル化

 エストニアでは、2007年に国政選挙のデジタル化を実現した。PC、スマホなどから、IDカードを使って投票できる。スタート時はネット投票した人の割合は1.8%だったものが、2019年には46.7%がネット投票を行なっている。しかしながら、ネット投票によって、全体の投票率が上がったとは言えないようだ。ただ、海外在住の人の投票率は9割を超えるようだ。
 日本では、雨が降ると投票率が下がるなどということも起こる。より簡便な方法を提供することが、より多くの人が投票をする機会を作ることは間違いないはずだ。また、若者の選挙機会は確実に増えると思う。今回も思ったが、わざわざ投票所に向かって、コロナ禍の中、列に並んで投票するなど面倒この上ない。ネットでできるなら、そうしたいと思うのは私だけではないはずだ。
 また、ネット選挙を推進することで開票作業の手間も減り、かなりのコストダウンにもつながる。将来的にはネットのみになれば、コストは限りなく少なくできる。選挙は1回やれば、事務的費用だけで、600億から800億円も税金が使われている。
 難しいことは、官僚の方にやってもらえばいいとして、国民にとって、簡単に選挙ができることが、ただただ大きなメリットになる。

(参考)
[世界のインターネット投票(前編) ~オンライン選挙を進める国々の動向 | InfoComニューズレター](https://www.icr.co.jp/newsletter/wtr381-20201228-mizuno.html)

[エストニアのインターネット投票について(勉強会の開催を検討中です) - Japan Estonia/EU Association for Digital Society](https://www.jeeadis.jp/jeeadis-blog/6345028)

2)政治が国民に与える影響をより多くのメディアで伝える

 「政治など自分には関係ない」と思っている人のなんと多いことか?関係ない政治などあるはずがないのだが、政治と自分の繋がりがわからないとこう考えてしまうようだ。各政党、各候補者が何を実現しようとしているのかわかるのが選挙公報だ。
 選挙公報は新聞をとっていれば、チラシのようにして入ってくるのだろうが、新聞をとっている人は年々下がっている。2008年には国民の88.6%がなんらかの新聞をとっていたものが、2020年には63.3%に減っている。ネットが発達した今、新聞は古いメディアになりつつあり、また、記事や取材の質も下がっていることが原因と思われる。投票をデジタル化するとすれば、これまで通りというわけにはいかない。NHKや国のサイトを使うことはもちろんだが、YouTubeやSNSを積極的に使い、あらゆるメディアを使い、選挙と自分の関係について伝えていくことが望まれる。

(参考)
[新聞購読率ってどのくらい?購読者像を「年代」と「地域」から分析【2021年版】 | Shufoo!(シュフー)](https://biz.shufoo.net/column/useful_info/15175/)

3)教育

 日本では、学校で政治の話をすることは、なんとなく嫌がられるきらいがある。しかし、選挙権が18歳から付与されることになったこともあり、学校での教育は必須だと思われる。将来使うこともない方程式を覚えるよりも、実際の政治の仕組み、今、日本では何が問題になっていて、政府や野党はどう主張しているのか、そしてそれらが、国民にどう影響するのか、という考え方を教えることは、なんら不利益にならない。子供の頃から、政治にきちんとした関心を得られれば、投票にいく人は確実に増えるはずだ。

 
 以前、国民は「投票に行かずに寝ていてくれたらいい」と言ってしまった首相もいたが、当面、国民が戦わなければならないのは、このような投票率をあげたくない勢力になる。

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