〈 ボイトレ〉ビジネスマン・ビジネスウーマン・ビジネスパーソンのためのボイストレーニング/NO.2~余裕ある呼吸量で安定した声を出そう
それでは、今回より具体的なボイストレーニング方法を説明しましょう。
落ち着きがあり力強く、またメッセージが正確に伝わる安定した声を出すには、まず十分に余裕がある呼吸量で話ことが大切です。具体的には、たっぷりと肺に空気を入れて声を出すことが必要となります。肺に空気が少ない状態で話すと、途中でうわずったり、響きが悪くなったりするのでよい声で話すことは出来ません。その対策として、次のトレーニングを行ってください。
〇息を吐き切って、その反動で息を吸い込む
それでは、次の手順でトレーニングを行ってください。
1.口を軽く開く
2.口と鼻を使って、まず軽く息を吸い込む
3.息をゆっくりと吐いて出し切る
4.その反動を使い、口と鼻を使って息を一気に吸い込む
5.再び息をゆっくり吐いて出し切る
6.その反動を使い、口と鼻を使って息を一気に吸い込む
5,6を繰り返し
いかがでしょうか? このトレーニングを行えば、肺に空気がたくさん入ってゆく感覚が理解できると思います。単純に息をたくさん吸おうと思っても、実際にところあまりうまくいくものではありません。上記のトレーニングのように、いったん息を吐き切ってその反動を使えば、肺にたくさんの空気を送り込むことが出来ます。このトレーニングを一日1分で構わないので、ぜひ繰り返してみてください。1週間、10日、1ヶ月...と経つうちに、日常生活の中でも肺に吸い込む空気量が見違えるように増えて来ます。
〇そもそも「腹式呼吸」というものは存在しない
さて、ボイストレーニングというと、「腹式呼吸」なるものをマスターすなければいけないと世間一般的には言われています。しかしながら、本来、「腹式呼吸」などというものは存在しません。なぜなら、お腹には空気をためる器官がないからです。空気をためることが出来るのは胸にある肺だけです。したがって、「お腹で空気を吸う」あるいは「お腹を膨らませてたくさん空気を吸い込む」という感覚は間違っています。無理にお腹を膨らませて空気を吸い込もうとすると、首筋を中心に力みを生んでしまいます。力みが生まれるとますますうまく空気を吸えないどころか、発声時にも悪い影響を与えてしまいます。もし、お腹で空気を吸えばいい声が出ると考えていた方は、この機会にぜひ認識を改めてください。
しかしながら、上記のトレーニングをもう一度行ってみてください。空気を吐き切った反動で一気に吸い込んだ時、お腹が膨れていませんか? そうなのです、俗にいう腹式呼吸とは、あくまでも空気を肺にたくさんいれた結果で起こる現象なのです。決してお腹で息を吸い込んでいるわけではないことをよくご確認ください。
なお、上記トレーニングにすっかり慣れてくると、補助的にお腹を膨らませて空気を吸い込む手助けをすることは出来るようになります。これを腹式呼吸と呼ぶのならそうかもしれませんが、基本的には、空気は吐いた反動で吸うものだと覚えておいてください。
それでは、今回はこのあたりで。
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