【今日から着物男子になろう!】5~季節によって着物はかわる~
洋服でも夏服、冬服、春秋ものがあるように、着物も季節によって着るものが違います。
着物は暑い!または寒い!というイメージを持っている人もいるかもしれませんがご安心を。
では、季節による着物の違いをお話ししましょう。
□袷着物(あわせきもの)
袷着物とは、裏地のついた着物のことです。裏地はポリエステルであったり正絹であったりします。この袷着物は一番着用の期間が長く、10月-5月とされています。
スーツでも、冬物、春秋物には裏地がついてますね。それと同じ感覚です。
しかし、10月-5月と書きましたが、最近は気温が高い傾向があるので、5月や10月でも袷では暑い日もあります。そんな時は無理をせず、次で紹介する単衣着物(ひとえきもの)を着ても大丈夫です。
まあ、よっぽど堅苦しいところへいくなら別ですが、通常そんなところには行かないでしょうから、この袷着物は、「10月中旬から5月上旬・中旬くらいまで」と考えておけばいいでしょう。
汗だくになって無理に袷着物を着ても、本人も大変だろうし、周りで見ている方も気を遣うものです。
□単衣着物(ひとえきもの)
単衣着物とは、裏地のついていない着物のことです。当然、通気性がよく暖かい時期に着る着物です。スーツでも夏物は背抜きとなって背中の部分の裏地がないと思います。それと同じ感覚です。
さて、この単衣着物ですが、着る季節は「6月、9月」となっています。といっても、先に書いたように5月でも10月でも暑いときには無理をせず着ればいいと思います。
したがって、単衣着物は、「5月中旬・下旬から6月、9月~10月上旬くらいまで」と考えておけばいいでしょう。
私は、今年のゴールデンウィークも着物を着て出かけましたが、あまりに暑いので単衣の着物にしました(笑)。だいたいそんな感じでよいと思います。
さて、単衣着物を着る季節として初夏と晩夏を挙げましたが、その間の7月、8月はなにを着るのかですが、単衣着物にも色々あるので、綿、麻などの薄手の生地の着物であれば着用できます。いってみれば夏用の単衣着物です。
7、8月はなにを着ても汗をかきますので、無理をせず涼しい着物で過ごすことが大切です。
□絽(ろ)、紗(しゃ または さ)の着物
絽の着物、紗の着物も単衣着物ですが、真夏用に透けた生地で出来た着物です。ちょっとしたシースルー着物です。
絽着物は、きっちりと直線的に隙間がある生地です。絽には駒絽と平絽があります。駒絽の方が丈夫です。
それに対して、紗の着物は、全体的に隙間がある生地です。ガーゼみたいな生地ととらえていただければいいでしょう。
どちらも、元々は絹織物でしたが、今はポリエステルなどのさまざまな生地で作られています。
これらの生地で、長襦袢、半襦袢、半襟なども作られます。
<絽の生地>
<純粋な「紗」とはいえないが、「紗」風の生地>
さて、これらの着物を着る際の注意点ですが、先ほども書いたようにちょっとしたシースルーですので、着物の下には見えてもいい襦袢であったりステテコなどを着用しなければいけません。「見せパン」みたいなものですね(笑)。ここがまたおしゃれのしどころです。
逆に暑い夏ですから、色のついた無地Tシャツでもいいのかなとも思います。このような着こなしはまた、あらためてお話ししましょう。
□単衣着物と羽織の組み合わせ
着物の上には、羽織を着るのが男着物のひとつのパターンであることはこれまでにもお話ししました。冬とか晩秋、初春などのはっきりした季節なら袷の長着と羽織になるのですが、単衣着物を着る季節ではどうするのかをお話ししておきましょう。
単衣の長着には、基本的には単衣の羽織を着ればいいのですが、単衣の着物に絽、紗の羽織は問題ないと思います。元々単衣着物を着る時期自体短いですから、夏用と兼用でOKとしたいと考えます。
また、夏に絽、紗の長着に羽織を着るのであれば、これはやはり羽織も絽、紗の羽織を着ましょう。絽、紗同士で合うということより、この季節に羽織を着るのであれば、絽・紗にしないと暑いです(笑)。
□袷着物の時期に着るウールなどの単衣着物
さて、ここまでは単衣着物について、裏地のついていない涼しい着物として紹介してきましたが、実は袷着物と同じ時期に着る単衣着物があります。それは、おもにウール生地で出来た単衣着物です。また、綿の単衣着物の中には厚くて暖かく、袷着物の時期に着ることが出来るものもあります。
着物を購入する際には、単衣着物だから涼しいと考えず、素材や着ることが出来る時期をよく確認してください。一部ポリエステルなどの化繊の単衣着物であっても、袷着物の時期に着ることが出来るものもあります。したがって、ネットショップであっても、わからなければ、相談してから購入するようにしましょう。
□浴衣
着物を着たことがない人でも、この浴衣なら着たことがあるでしょう。そういった意味で、現代ではもっとも身近な「着物」といえるでしょう。そう、浴衣もりっっぱな着物なのです。
私も着物に興味を持ったのは、浴衣を着てからでした。着物の入門編としてもってこいだと思います。
この浴衣を着る時期ですが、7月~8月とされています。
大阪市内中心部では、愛染祭り(あいぜんまつり)が毎年6月30日から行われ、この日から浴衣を着ても良いとされています。
昨今暑いですから、多少この範囲を超えて着ても良いと思いますが、9月の中旬にもなって、まだ浴衣を着ているのはちょっと変かなと思います。
さて、浴衣は、例えるなら洋服で言うとTシャツみたいなものです。気軽に着て出かけられる手軽さが売りです。また、唯一、裸足で下駄をはいても可笑しくない着物です。
着物に比べて仕立てもイージーですので、一般的に着物よりは値段が安く購入しやすいのが特徴です(しかし、高価な浴衣もたくさんあります!)。男着物のプレタ(既製品)としては、もっとも種類が多いので、好きな柄を選んで購入すればいいと思います。まだ、浴衣も着たことがないという人は、ぜひこの夏挑戦していただきたいものです。
<浴衣>
では、次回は、いよいよ実際に着物を着てみましょう。
どのように着るか写真入りでご紹介したいと思います。
◎「今日から着物男子になろう!」一覧
http://blogs.itmedia.co.jp/hiramoto/cat3795/