【今日から着物男子になろう!】2~お手軽な着物を探そう~
「今日から仕事男子になろう」の第2回目は、
"お手軽"着物をどうやって探して購入するかについてお話ししましょう。
□デパートに行けば、あっというまにウン十万円
さて、着物を買おうと、デパートやしっかりお店を構えている着物屋さんに行くと、通常、びっくりするようなお値段になります。
たとえば正絹の反物を、、、
おっと、その前にこれなんて読むか判りますか?
「正絹」
しょうきぬ? せいきぬ?
いえいえ、 しょうけん と読みます。
着物の関係の話では、この正絹(しょうけん)がよく出てきます。
ぜひ、覚えておいてください。
では、話を戻しましょう。
たとえば正絹の反物が10万円で販売されていたとしましょう。
なんだ10万円くらいかと思われるかもしれませんが、
そうは問屋が卸しません。
着物は春秋冬ものならば裏地をつけます。
正絹反物1反 10万円
正絹裏地 2万円
仕立代 3万円
なんだ15万円かと思ったら、まだまだ簡単にはいきません。
着物は、普通の着物とその上から着る「羽織」がセットになっています。
これを「アンサンブル」といいます。
したがって、ここに羽織代金が乗ってきます。
正絹反物1反 10万円
正絹裏地 2万円
仕立代 3万円
ここまでで30万円掛かってしまいました。
もし、初めて着物を購入するのであれば着物だけ着るわけにはいかないので、着物の下には襦袢を着ます。また、普通の靴下というわけにはいかないので足袋もいります。さらに、着物を腰のあたりで結ぶ帯(男の場合、通常角帯)も必要です。
ですから、着物を作るには、たとえば次のような追加費用が掛かります。
襦袢正絹 3万円
襦袢仕立代 2万円
正絹帯 2万円
足袋 3千円
それから、履き物も必要ですね。
雪駄 2万円
以上、合計39万3千円のお買い上げとなります。
この例は、正絹の着物を仕立てるには非常にお安いプランですが、
高い!と思われた方、
いいよそれくらいなら! と思われた方もいるでしょう。
もし、いいよそれくらいなら!と思った方は、デパートでも行って買って頂ければいいと思います。やはり、よい品質の着物はいいです。パッと見ただけですぐに違いはわかります。
10万円の正絹の反物なら安い方ですから、もっと高級な反物を買えば素晴らしい着物に仕上がるはずです。着物・襦袢の裏地も襦袢も高級なものほど素晴らしい柄が多いです。
でも、今回のシリーズの目的は、手軽に着物を着ることですから、高級志向の方の着物は語りません。
あくまでもカジュアルに、着物と触れる方法をご紹介していきたいと思います。
□ポリエステルの着物をねらえ!
人間ってほんと素晴らしい技術と製品を生み出しました。一見、正絹に見える人工的な素材を作ってしまいました。それが、おなじみのポリエステルです。
そう、お手軽着物の代表はポリエステル100%の着物なのです。
ポリエステルの着物は、その上、洗濯機で洗える、しわになりにくいというとても便利な特徴を兼ね備えています。
ただし、着物に少し詳しい人が見れば、ポリ着物だとすぐに判りますし、生地によっても異なりますが、光沢感がどうしても目立ちます。
でも、そのあたりを乗り越えてでも、ポリ着物で着物デビューする価値はあると思います。
□仕立てるよりプレタ(既製品)をねらえ!
さて、ポリエステルにも反物があって、正絹と同じように仕立てることが出来ます。しかし、仕立てるとなると、仕立代や裏地代が別途掛かってしまうので、やはりここは、出来ればすでに仕立て上がっているプレタをねらうのがよいと思います。
では、プレタの着物のお値段はどれくらいかというと、普通の着物と羽織のセットで1万円くらいから販売されています。1万円といっても、ちゃんと着られますし、当たり前ですがお出かけも出来ます。パーティなどで着る仮装用のものではありません。
いかがでしょうか、正絹の着物を仕立てるのとは、雲泥の差であることがおわかり頂けたでしょうか。つまり、着物ってそれほどハードルの高いものではないということなのです。
□木綿着物をねらえ!
お手軽な着物として、ポリエステル着物の次におすすめできるのが木綿着物です。木綿ってつまり綿で出来た着物です。
日本全国には、まだまだたくさんの種類の木綿生地が作られています。その中には、夏用の生地もあれば春秋に向く生地、また冬用の生地もあります。
館林木綿、片貝木綿、三河木綿、伊勢木綿、出羽木綿、阿波しじら、久留米絣(くるめがすり)などがあります。
木綿素材ですから、正絹よりもお安く、また家で手洗い出来るなど手入れも簡単です。ただし、どうしても木綿だと"普段着"ぽくなります。パーティなどに着てゆく雰囲気は出ないという特徴があります。
これらの木綿着物のプレタはほとんどないので、反物から仕立てることになります。反物は、生地によって変わりますが2~3万円くらいですので、普通の着物と羽織を作れば、ざっと10万円程度になると思います。もちろん表生地が木綿ですから、普通、裏地に正絹をつけることはありません。ポリエステルとか綿生地とかお安い裏地をつけることになります。
□リサイクル着物をねらえ!
お金は掛けたくないけど、それでもやっぱり良い着物が着たい!
という方は、リサイクル着物をねらう方法もあります。リサイクル着物とはすなわち、誰かが着なくなった中古の着物です。着物の状態によっても異なりますが、正絹の普通の着物と羽織のセットで、3万円程度で販売されています。
正絹の着物が3万円で手にはいれば、多少痛みのあるような着物でも欲しいと思う方もいるでしょうが、残念ながら、大きなサイズのリサイクル着物が少ないというのが現状です。
昔の着物は、着物の長さ(着丈)もそでの長さ(裄丈)も短いものが多いので、20代~50代程度の人のサイズにあう着物は限られています。特に、着丈の長さは十分にあっても、裄丈はかなり短いものがほとんどです。
逆に言えば、今の人にあうサイズのリサイクル着物は、すぐに売れてしまうのです。
これを気にしないで着るのであれば大丈夫ですが、やはり着丈、裄丈が短すぎるのは、見ていておかしいです。
したがって、男着物のリサイクルを探すのは、宝探し気分で望んだ方がいいでしょう。サイズのあうリサイクル着物に巡り会えたら、ほんとラッキーです。
□さあ、実際に着物を探してみよう!
では、実際に着物を探してみましょう。男着物は、正絹の着物を仕立てる場合は除いて、プレタの着物や木綿着物、リサイクル着物を探すのであれば、インターネットを使って探すのが、非常に楽です。
たとえば、楽天のトップページから、
「男 着物 アンサンブル」などと検索してみましょう。
1万円程度のポリエステルのアンサンブルから、リサイクル着物のアンサンブルがずらりと並ぶはずです。また、中には表生地は正絹でありながら、3~6万円程度のアンサンブルも見つかると思います。
また、木綿着物であれば、単独で通販サイトを運営している事業者が多いので、Googleなどで「木綿 着物 男」などと検索してみましょう。それほど数があるわけではないですが、木綿着物を専門に扱っているお店にたどり着くことが出来るはずです。
さて、このようにして、お気軽な男着物がこの世の中にあると判った皆さんには、続いて、着物に関する基本的な言葉の意味やみなさんにピッタリの着物のサイズの測り方をお伝えしましょう。それは、次回のお楽しみということで。
◎「今日から着物男子になろう!」一覧
http://blogs.itmedia.co.jp/hiramoto/cat3795/