<大阪市長選レポート>テレビ討論拒否で勝負あり!
今回は珍しく、全国的な話題となった
大阪府知事選挙、大阪市長選挙。
そのなかでも「現職市長・平松氏」対「前大阪府知事・橋下氏」
となった大阪市長選挙に注文が集まった。
当初、圧倒的不利と目されていた現職市長・平松氏だが、
選挙を間近に控えた世論調査で、予想外にも、
両者の支持が拮抗しているという報道が次々となされた。
この大接戦が予想された選挙戦、
その結果は、やはり前大阪府知事・橋下氏の快勝となった。
接戦が予想されていたにも関わらず、
なぜこのような大差がついてしまったのか、
大きな分岐点は2つあったように思われる。
このポイントについてレポートしてみたい。
◆「大阪維新の会」対「民主党・自民党・共産党」の構図に驚き
前大阪府知事は地方政党・大阪維新の会の代表を務め、
大阪府と大阪市の行政を一体化する大阪都構想を進めようとしている。
また、日頃の発言、政策の推し進め方などに強引なところがあり、
親橋下の市民も多い反面、アンチ橋下の市民も少なくなかった。
現職市長・平松氏を支持している民主党も
大阪都構想に反対し、早い時期から橋下氏を非難していた。
「民主党vs大阪維新の会」になると思われていた選挙戦であったが、
ここに大阪維新の会を設立に際して大量の離脱者を出した
自民党大阪府連が平松氏支持を表明した。
現職市長・平松氏に、民主党と自民党が相乗りとなったわけだが、
ここまでなら市民もまだ理解出来る形であった。
しかし、ここで共産党が支持する候補が市長選を辞退し、
平松氏を支援すると表明。
なんと、「大阪維新の会」対「民主党・自民党・共産党」
という構図になってしまった。
公にはなっていないが、大阪都構想拒否、橋下氏拒否で
3党がネットワークを構築したのであろう。
この事態に、驚いた市民も少なくない。
前述したように、大阪維新の会は自民党から離脱議員が多く、
その支持者も保守層が中心である。
民主党・自民党・共産党の連携を見て、
自民党支持層が平松氏支持から逃げた可能性は高い。
また、民主党支持の保守的な層も、
平松氏支持から逃げた可能性もあるようだ。
この理由がすべてではないだろうが、
NHKの出口調査でも、自民党支持者の約50%、
民主党支持者の40%が橋下氏に投票したと報じられた。
◆現職・平松氏がテレビ討論を突然キャンセル
投票日を数日前に控えた24日、
実は夜7時からのゴールデンタイムの2時間枠で
現職・平松氏と橋下氏のテレビ討論番組が予定されていた。
司会には、田原総一朗氏を迎え、
ガチンコの舌戦が展開されるはずであった。
しかし、この番組出演を平松氏は直前でキャンセル。
番組自体が中止となり、予定されていた時間には、
通常のバラエティ番組が放送された。
この事態に、驚いた市民は相当数にのぼるだろう。
私も楽しみにしていたのだが、本当にガッカリした。
平松氏が番組出演をキャンセルした理由は、
・選挙戦中間の世論調査で不利と伝えられたため、選挙戦術を練り直す必要がある
・司会の田原総一朗氏が大阪都構想に賛成しているため
と報道された。
しかし、どう考えても、このメディア戦術は間違っている。
せっかくのゴールデンタイムで直接市民に語り掛けられるのだから、
こんな機会を逃す手はない。
特に、不利を伝えられていたのだから、
そんな劣勢を跳ね返すチャンスを自ら放棄した形となってしまった。
いくら田原氏にあの調子でガンガンやられても、
きっちり反論すれば、その様子を市民はちゃんと見るはずだ。
また、橋下氏が主張する大阪都構想にしても、
不明な点、曖昧な点はいくつもある。
その点を鋭く指摘すれば、
視聴者を自らの支持に取り込むことも出来たはずだ。
このテレビ討論拒否に失望し、
橋下氏支持に回った市民も少なくないだろう。
以上のことから、平松氏陣営は大きなミスを犯し、
自ら墓穴を掘った感が否めない。
市長選と同時に行われた大阪府知事選挙もこの流れを受け、
大阪維新の会の松井氏が勝利をおさめた。
これにより大阪は、大阪都実現に向けてその第一歩を踏み出すことになる。
といっても、大阪市民がすべて大阪都構想を理解したわけではない。
今回の結果は、橋下氏の持つ「改革への意欲」が支持を集めたと言えるだろう。