成果物に意味はない、プロセスこそすべて
プロセスデザインエージェントの芝本です。
きょうは、プロセスと成果物の関係についてです。
■ 中間成果物の目的
プロジェクトでは、製品を生み出すまでのプロセスで、中間成果物(デリバラブル)をつくります。この中間成果物が、プロセスとプロセスをつないでいきます。あるプロセスのアウトプットが、つぎのプロセスのインプットとなるわけです。
この中間成果物は、プロセスをつなぐ重要な情報となります。しかし、ここで間違ってはならないのは、プロセスの目的は中間成果物をつくることではないということです。
■ 設計プロセスの目的は何か?
たとえば、ソフトウェア設計のプロセスを考えてみましょう。設計プロセスの成果物は、もちろん「設計書」です。ここで設計プロセスの目的は「設計書をつくること」でしょうか。ちがいますね。それだと、どんな設計書でもいいのかという話になってしまいます。
設計することの目的は、
・複雑さを減らすこと
・役割を明確にすること
・関係性を定義すること
などがあります。
これらの目的を達成するために、文書化し、洗練していくわけです。けっして、文書そのものが目的なのではありません。
■ プロセス「定義」の誤解
しかし、組織で標準プロセスを定義し、それを守ることを強要してしまうと、「プロセスを守った」というエビデンスを残すことが最優先になってしまいます。目的がどこかに忘れさられるのです。そして「プロセスを定義してもうまくいかない」という話になるのです。
これはプロセスを「定義」したのがまずいのです。プロセスは決めるものではなく、プロジェクトに課せられた要求を満たすように「設計」しなければなりません。そのためにはプロセスの目的をはっきりと認識しなければならないのです。
■ 成果物に意味はない、プロセスこそすべて
プロセスの目的は、そのプロセスを実行することにあります。アメリカ大統領であったアイゼンハワーは「計画書には意味はない。計画することがすべてだ」という言葉を残しています。
プロセスを設計するときには、「成果物はあくまでも副産物である」ということを念頭においておきましょう。「成果物に意味はない。プロセスこそがすべてだ」ということなのです。