Enterprise Architectureとの遭遇
私のキャリアをご覧にならばお分かりになると思いますが、現在戦略系のコンサルタントでありながら、元々は銀行に常駐していたメーカー系のSEです。SEを経験し、コンサルタントになってみて、よりSEという仕事が身近になった気がしていますし、同時に違和感も感じるようになりました。
経営の現場で感じるのは、何故ITが独立して議論されるのかという事。そもそもビジョンから大きな戦略に落とし込まれ、各事業戦略をたてる事になるのですが、そこでの議論には事業戦略を支える組織、業務、ITといった事業を実現する為に必須の重要項目が議論されることは滅多にありません。
私は、これまで事業戦略を考える事は、同じく組織、業務、ITを考えるべきであると言い続けてきましたが、実際には期間やリソースの問題や、そもそも経営層に理解を得られずに実行出来たことはありませんでした。
私個人としては、IT戦略を独立して考える事はナンセンスだと考えています。そもそも減税の事業環境を見れば、戦略=ITと言っても過言ではない程、ITの役割は大きくなっています。今ではITなくしては実現されないサービスは珍しくないはずです。戦略とITを切り離す事、それは私にとっては企業の戦略を立てる上で最も理解できない事でした。考え方によっては、IT戦略という言葉が、経営と戦略を遠ざけているのかもしれないと思うほどです。 新しい戦略を実現する為には、ITも変革が必要な場合はあるはずです。しかし、戦略が固まった後に業務を考え、ITを考えるというのでは、経営としてのスピードに耐えうるのでしょうか?
そんな時、世の中でEnterprise Architectureというキーワードが注目されてきた事を知りました。期待を胸に何冊か本を購入したのですが、私の感想はITを語る枕詞に戦略がのっかっているだけというのが正直な所でした。戦略がキーワードであり、ITはその戦略そのものであるという私の持論には程遠いものでした。
しかし、ある時偶然に出会ったのが、Enterprise Architectureの祖とも言われているJ.A. Zachmanとの出会い 。Zachmanの提唱するZachman Enterprise Architecture Frameworkは、単に情報システム云々のフレームを提示しているだけではなく、企業全体の可視化を戦略レベルからITまで包括的に行っているものであり、私の持論にかなり近いものでした。その後、Zachmanをきっかけに、米国連邦EAフレームワークであるFEAF、米国国防総省のEAフレームワークであるDoDAFといったアーキテクチャに出会い、自分なりのアーキテクチャ像が次第に明らかになってきましたし、自分の考え方が間違っていなかったのだと安堵しました。
この場では、まずZachmanのフレームを深く理解する事をきっかけとして、私個人として描く、あるべきEAの姿をこの場を借りて完成に近づけていければと考えています。Zachmanの考え方を深く知ることによって、他のアーキテクチャの理解は大きく変わるはず、そう信じています。
同じような考えをお持ちの方、是非、一緒にEAについて議論していければ幸いです。 このBlogでは、あくまで個人の意見を徹底して議論していく事をポリシーとしていきます。会社としての考え方は、全く反映していませんので、念のため。
Eric