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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

人物を識別する能力

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 今回はとことん雑談。先日、髪を4センチほど切り、カラーも染め直した。だがロングなので周囲からは見分けにくいようだ。一般論として男性は女性の外観の変化に疎いことは承知しているが、また改めて実感させられた(笑)

 そんなことを思うたび、つい思い出してしまうのがバレエ作品の「白鳥の湖」である。

 (なお、本稿は男性の人物識別能力を蔑視するつもりはなく、面白おかしく「白鳥の湖」を知ってもらえたらと考えているだけなので、お気を悪くされませんよう)

 ものすごく荒っぽくあらすじを説明すると、こんな感じだ。

Dscf0007b むかしむかし、あるところにオデットというお姫様がいた。だがオデットは悪魔の呪いで白鳥に姿を変えられてしまっていた。

 いっぽう、またあるところにジークフリードという王子様がいた。そろそろいいお年頃なので次の宴で婚約者を決めることになっていた。

 異性には興味がない王子は「ウゼー」と、気晴らしに狩りに出掛けた。今時ならドライブだろうか。出掛けた先が秋名山かどうかはさておき、夜半の湖のほとりで白鳥を見ていたら、ナナナント!白鳥が人間に化けた。いや、違う。これは白鳥に化けたオデットが元の姿に戻ったところ。どうやら夜には呪いが溶けるらしい。

 その変身がよほど目をひいたのかは分からないが、王子は姫に一目惚れした。とはいえ昼間の彼女は白鳥だから助手席に座らせるのも困難だし、婚約者に指名するのも無理がある。だが希望がないわけではない。この姫だけに愛の誓いをする男性が現れれば姫の呪いは溶けるとか。

 「じゃあオレ、今度の宴でキミに愛を誓うよ」と王子は姫に約束する。

 いざ宴の日。お嫁さん候補が次々と現れるが、王子の心は決まっている。そこにオデットにそっくりな……黒い何かが登場する。だがオデットは白でこちらは黒、オディールという名のニセモノ。実は悪魔の策略で王子への罠、ニセモノに愛の誓わせるためのオトリだった。うーん、これぞ媒鳥(囮)。

 そして王子はまんまと騙された。ニセモノに愛の誓いをしてしまう。ああ人違い。ああ勘違い。これでオデットの呪いを解くチャンスは失われてしまった。

 「っていうか、黒いだろ!どこ見ているんだヴォケ!藻前の目は節穴か!」

 王子が姫やその取り巻きにそう叩かれても無理はない。王子の大失態である。

 なおバレエ作品「白鳥の湖」では黒鳥オディールはフェッテ連続32回転という大技を披露するのがお約束で、演目上の見せ場となっている。ここでいうフェッテとは回転技で、軸足ではない方の足を振って回転力をつける。片足立ちでもう片方の足を振って回る、ということを1回転ごとに行い、振り回す方の足はずっと空中のまま、32回も連続でやる。

 「いつもより多めに回ってます~」とオディールは……いわないが、大喝采を受ける。

 そんなすごい技を見せられたら王子もさぞや驚くだろう。興奮して間違えた……というのは言い訳にはならないだろうけど。

Dscf0039a  だが王子には言い分があると思う。舞台で白鳥と黒鳥は一人二役することになっている。実際にはそっくりどころか同一人物なのだ。もし王子が「いや、明らかに同一人物だ。DNA鑑定で調べてくれ」と抗議したら、それは認められて然るべきだと筆者は思う。だが王子の人違いがないと物語が成立しなくなるのだが。

 王子の目は節穴か、それとも正しかったのか。色は明らかに違うのだが、ある意味正しい。それで気になる。王子はなぜ黒のオディールを白のオデットと思ったのか。もしかしたら王子はあっさりこう答えてしまうかもしれない。

 「え・・?黒だった・・っけ?覚えてないや(・ω・)」

 いったい男性は何をもって女性を識別しているのだろうか。謎である。髪を切っても気付かれないとこう考えてしまう。なんてね(笑)。

 さて物語の続きはというと、王子は人違いと知らされた後に「ヤベー」と慌てふためいて姫のいる湖に向かうのであった。二人の運命やいかに。

 ちゃんとした内容を知りたければこちらなどどうぞ。
 ○Wikipedia>白鳥の湖
 ○日本フィル第二公式サイト>チャイコフスキー:バレエ「白鳥の湖」

 ね。面白いでしょ。

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