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デジタルとアナログの間を行ったり来たり

メールタイトルが第一声に

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 かしこまったメールではなく、とても親しい間柄だったりチャットのような状態になると、メールタイトルがタイトルというよりは本文の書き出しになることがままある。

 あいさつとか、接続詞のようなものだったり。これでは本文がどういう内容だかさっぱり分からないが、親しい間柄ならあまり意表を突かれることはない。呼びかけのようなものだからだ。だがこれまで全く面識がない人からのメールだと「スパムか?」と一瞬警戒してしまう。

 実は筆者は趣味用の、いわゆる捨てアドを持っている。仕事とは全く関係のないところで掲示板やブログに記入する時に使うフリーのアドレスだ。1日に10件くらいメールが届くが、ほとんどスパムである。

 ところが1ヶ月に1回くらいはスパムではないメールがスパムに紛れて届く。それもけっこう真摯な内容だったりする。見知らぬ人とはいえ、何か共感したり伝えたいと思い立つのだから、それなりに誠実な気持ちがこもっているものが多い。

 しかし問題が。タイトルがスパムに見事溶け込んでいるのだ。

「こんにちは」
「はじめまして」

 これが実に多い。初めて届くメールでは半分近くを占めるかもしれない。ただ差出人メールアドレスなどヘッダでおおよそ推測がつくが、勢い余って消してしまいそうでこわい。無題もたまにある。さらに自分の名前を名乗る人もいた。

「典子です」

 これを見た時は「ど、ど、どちらの典子さま?」と驚いた。というか、笑った。そのような名前には覚えがなかったからだ。丁寧に本名を告げられても、その本名を知らない人に名乗っても意味がないではないか(苦笑)。だが誠実さは伝わった。また内容も真剣なものだったのでタイトルの唐突さは気にしてはいないのだが、記憶に鮮明に残ってしまった(なお、携帯電話のやりとりではタイトルに氏名を記載することはよくあるようだ)。

 こういうタイトルばかりになってしまうのは、筆者の趣味が女性特有のテーマであり、このメアドに送信してくる人の多くはネチケットというものを厳しく鍛えられてはいないからと理解している。それが悪いといいたいわけではなく、世界の違いを実感させられてしまう。

 筆者はパソコン通信からはじまり、メールアドレスをかれこれ10年くらいは使っている。メールにしろ、掲示板やブログの投稿にしろ、タイトルにはある程度は本文の内容が分かるようなものをつけるようにとネット生活を通じてしつけられてきた。

 会社員時代にはメールのタイトルがとても簡潔でネチケットの手本のような上司がいた。部下の間では冗談で「メール開かなくてもタイトルで要件が分かっちゃって面白くないよね」なんて言われるほどだった。だがビジネスのメールはそうあるべきだろうと学んだ。

 一方こうしてネチケットについて気にする機会がなければ、タイトルはとりあえず一番最初に思いつく言葉が記入されてしまうのだろう。

 「いいの、いいのよ。私には」と思いつつ、返答メールのタイトルをそれとなく適当なものに変更して返信している。あと大事なメールをうっかり消さないようにとメール一覧のヘッダーに気をつける日々。。。

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