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「電田プロジェクト」を成功させるポイント

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ソフトバンク・孫正義社長から、休耕田や耕作放棄地に太陽光パネルを敷設する「電田プロジェクト」が発表されました。通信事業者が電力事業に進出するのはどうなんだという意見はありますが、一方でこのタイミングで打って出る孫社長の時勢を見る目はやはりスゴイですね。



いまは使われていない遊休地に太陽光パネルを敷き詰めるアイディアは、確かに地域の産業促進とエネルギー自給に繋がるので歓迎したいところですが、一方でソフトバンクのような大企業が地域資源をコントロールすることには根強い抵抗感があります。とくに、全量買取を義務づける等の部分については、供給が不安定な自然エネルギーを必ず系統に戻すという電力会社にとってはリスクの高い条件となっていますね。


再生可能エネルギー促進法は、孫正義氏率いる「自然エネルギー協議会」保護法
電力会社は設備投資を抑制するために、需要追随運転ができる発電所を求めているはずだが、そういった点は考慮されていない。季節や時間などで発電量を調整できないメガソーラーに有利な制度になっている。バイオマスに不利と言えるかも知れない。夏場のピーク需要に太陽光発電はあっていると思う人は、冬場のピーク需要は早朝と夜である事を認識しよう。その時間帯の太陽光発電所の発電量はゼロになる。



また計画の細部を見ていくと、決して中山間地の現状を把握しているとは言えず、"絵に描いた餅"の域を脱していないとも考えられます。農地用途のままボルト止めした太陽光パネルが15年も持つとは思えませんから、「またソフトバンク品質か」と言われないように地元の工務店などとしっかりスキームを組んでいく必要があるでしょう。


もちろん、硬直化した現状に一石を投じることは重要ですし、3兆円企業を率いる孫社長だからこそできた提言だとも言えます。だからこそ、メガソーラーのみならず様々な自然エネルギーについての制度設計を進めていって、地域の実情に応じたもっとも効果の高い普及政策を立案していく流れとなることを期待したいですね。


供給変動の大きな自然エネルギーを実用化するためには、2つの方法があります。それは、変動を気にしなくとも大丈夫なほどの設備容量を持つか、平準化するためのエネルギー貯蔵システムを併設するかです。メガソーラーの場合には前者となりますが、既存の火力や原子力と何ら変わらない大規模送電を前提としたシステムとなります。


田舎の遊休地にメガソーラーを敷設して、それを都市に送電するという仕組みは、また新たな利権構造を生むでしょう。地方の資源を中央に吸い上げていって、補助金や地方交付金という形で戻す手法が今回の原発事故の遠因となっていただけに、現状の地方にメガソーラーを張っていくプランでは同じことが繰り返される恐れがあります。


一方でエネルギー貯蔵システムを併設することは、地方の構造的課題を解決する可能性があります。地方は車社会ですが燃料価格はだんだんと上がってきており、山間部に入るに従って生活費に占めるガソリン代は大きくなっています。もし、エネルギー貯蔵システムによってEVや代替エネルギー車が実用化すれば、自動車のみならず農業機械や建設重機などにも応用することが可能となります。


そして、そこでは太陽光発電にこだわらず、様々な自然エネルギーを組み合わせて地域におけるエネルギー自給を組み立てられるという利点があります。農地に太陽光パネルを敷設するには農地法の問題があったりしますが、山間部では法面が実は農地よりも広いところが多く、むしろそちらに太陽光パネルを分散して設置するという手もあります。


これら普及の鍵となるのは、バラ撒きと批判される農家の個別補償制度よりも経済的メリットの高い買取制度を提案し、農家の方々に採用してもらうことです。農家でも生産効率の悪い場所から太陽光パネルなどを設置するインセンティブとなりますし、荒廃しているような山林を整備していくための雇用を確保する原資にもなります。


いずれにしても、中央の方で喧々諤々とやり合っている議論を尻目に、地域に最適なエネルギー自給をプランニングすることが私の使命となってきたようです。







当エントリに関連する過去エントリは以下のとおり。


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