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戦後最大の「3月危機」は訪れるのか?

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内閣改造を行なった菅内閣ですが、その予算編成において難題がのしかかっています。予算関連法案は衆参両院での賛成多数が必要になるのですが、現在参議院では野党が優勢となっており、特例国債法案など赤字国債を発行するための法案が否決される可能性があります。

菅第2次改造内閣が火種抱えて船出、統一地方選まで「チキンレース」 予算案自体は参院が否決しても衆院の議決が優先し、自然成立するが、衆院の優越がない予算関連法案に自民党は徹底抗戦の構えを見せており、赤字国債発行や基礎年金国庫負担2分の1維持に必要な特例公債法案が不成立なら、予算案の44%の財源が手当てできない事態に陥る。最も懸念されるのが子ども手当法案。民主党の肝入り政策である同法案が不成立の場合は、現行法の期限切れにより、2011年4月からの支給が困難になる。


この赤字国債発行に対する懸念から、海外投資家が日本国債の売りに転じるのではないかと言われているのがいわゆる「3月危機」であり、予算編成過程が政局に使われることは不安材料となっています。与謝野氏が無所属となって入閣し、与野党の調整を行なう形で政府も火消しを図っていますが、行方は不透明ですね。


そもそも赤字国債の発行は財政法によって禁止されており、それを35年間も特措法をつくって禁忌を破り続けているわけです。2010年度末の国債発行残高は637兆円程度になると見られており、ここに新規国債発行が44兆円程度加わる予定です。


日本の個人金融資産は約1400兆円で、まだまだ国債を買う余力はあると言われていますが、いずれにしてもこの“失われた20年”の間に金融緩和を行ない、低金利を継続してきたにも関わらずデフレが改善しないことは、現在の資本主義の構造が末期状態となっていることを示しています。



企業は儲からなくなっています。法人企業統計調査を見れば、どんどん企業のコストが上がっていることが分かります。そして、その原因とは原油価格です。日本の交易条件はほぼこの原油価格に連動しており、原材料費の高騰を価格転嫁できなくなったためにデフレが進行しているのです。

Wti


“失われた20年”を経て、ようやく現在の産業構造や社会システムが「高度成長」を前提にしてつくられていることに対する矛盾が明らかになってきました。今後の日本は恐らくGDPで1-2%程度の低成長を続ける国になることでしょう。それが悪いことなのか?と言えば、そうでもないです。


デフレの原因が原油取引における交易条件の悪化なのであれば、石油資源に頼らない社会システムづくりを推進することによって日本は世界に先駆けて低炭素社会を実現できます。税収が下がり、年金などの公的負担が高齢化社会によって増大しているのであれば、最低限の福祉や教育を民間の公益ネットワークによって担うという代替策も考えられます。


いずれにしろ日本が世界のなかで初めて直面する低成長時代への処方箋を開発できたならば、再び世界に対して社会システムを売ることができるようになるでしょう。ピンチをチャンスに変える、そんな歴史的瞬間に立ち会っているのが我々の世代なのです。



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