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日本を環境立国にするために、ITベンチャーを飛び出して起業しました。

海と山の微妙な関係

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夏休みが近づいてくると、気になるのが海水浴です。ただでさえ混雑しているビーチが、ここ最近はどんどん砂浜が削られていって狭くなっていると聞くと、なんとかしたい気持ちになりますね。実際、九十九里浜などでは対策が進められています。

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砂浜の浸食が深刻な九十九里浜の一宮海岸(千葉県一宮町)で、広い砂浜を取り戻そうと、県が2009年度から9年計画で始めた「人工養浜事業」の1期分の作業が4月末で終わった。

沖合などに大量の砂をまいて定着させようというもので、県によると、1期分を終えて場所によっては砂浜が約30メートル広がったことが確認された。県の担当者や地元住民は、台風などで再び削り取られることを懸念しつつも、「このまま砂浜が育ってほしい」と期待している。


関東平野は坂東太郎と呼ばれる利根川流域を中心とした、土砂が厚く堆積した日本最大の平野であり、北西部山地から台地を経て太平洋にそそぐ河川によって多くの土砂が運ばれています。一方で戦後から利根川水系を中心に、首都圏への生活用水確保のために多くのダムが建設された歴史があり、それと砂浜の減少は大いに関係しています。


最近でも八ツ場ダムが話題になりましたが、基本的に大規模なダムを建設することによって水力エネルギーを確保するとともに、洪水や生活用水保全といった治水の目的で大型公共事業が進められてきました。


一昔前には、水力は自然エネルギーの象徴としてもてはやされた時期がありましたが、水力発電は水害防止との矛盾点を抱えます。つまり、貯水池がある程度いっぱいでなければ発電はできないし、その場合だと洪水を抑制するどころか、決壊や放水によって一気に濁流となるリスクがあるのです。


コンクリートによって築かれたダムの貯水池には、森から流出した流木が多く浮いています。切捨て間伐されたものが、土砂崩れなどによって河川に流れ、ダム湖に溜まる。そうすると発酵されてメタンが発生し、二酸化炭素の何倍もの温室効果が顕在化するのです。これはあまり知られていません。


そしてダムによって、上流からの土砂の運搬が止まり、ダム湖の底には大量の土砂が堆積します。本来は下流まで流れて砂浜を形成したものです。その結果、下流域では土砂の流入が止まり、多くの砂浜がどんどん波に侵食されています。


つまり、自然の複雑系のバランスに手を加えるような、集約的なエネルギー供給の仕組みは、多くのトレードオフが発生します。自然エネルギーだから善ではなく、スケールメリットを求めていくことが時代遅れなのです。その昔、脱ダム宣言をした地域がありましたが、生物多様性というキーワードで考えると、コンクリートダムの何倍もの経済価値がある生態系サービスを破壊して公共事業を行なうこと自体がナンセンスです。


日本はまだ、同じ国家のなかの自治体間でのやり取りで済みますが、国際的にはこのような水利権は戦争にも発展し得るリスク要因となります。中東戦争やインドとパキスタンの問題も、もともとは水資源の争いが端緒なのです。


公共事業が景気回復を誘導する時代ではなくなりました。ダムという20世紀の考え方から脱却して、生態系バランスを見直す時期です。

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