「ニッポン企業の知力向上に貢献したい」とテラデータ
データウェアハウスソリューションの日本テラデータが3月上旬、日本NCRからの分社化後、初めてとなる年次カンファレンス「Teradata Universe Tokyo」を都内のホテルで開催し、「ニッポン企業の知力向上」を支援し、その競争力強化に貢献していくことを改めて強調しました。3月17日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではこの話題を取り上げてみました。
1970年代の終わり、ロサンゼルス有数のヨットハーバーで知られるマリーナ・デル・レイのガレージから産声を上げたのがTeradataです。データベースの処理に特化した専用の並列処理コンピュータを開発し、のちにNCRに買収されました。現在、HPのCEOを務めるマーク・ハード氏が頭角を現したのも、今から10年ほど前のNCR時代にテラデータ部門を率い、その事業を大きく伸ばしたあたりからです。わたしも、2002年にNCRの社長兼COOに昇格したハード氏にインタビューしたことがありました(当時はまだソフトバンクZDNetでしたが……)。
ハードウェアの大半がコモディティー化する中、専用サーバを必要とする同社のTeradata Warehouseソリューションは奇異な存在に映るかもしれませんが、複数のコンピュータをつなぐために自社開発した相互接続機構である「BYNET」は、高い性能と信頼性を確保するために欠かせないものだと同社は主張しています。
マーク・ハード氏とともにCTOとしてteradata事業の成長をリードしてきたスティーブン・ブロブスト氏は、「いずれBYNETもコモディティー化するだろうが、それでも決して他社には真似できないソフトウェアがある」と話しています。
Teradata Warehouseの優位性は、技術的な話はともかくとして、多くのユーザー事例が雄弁に物語っています。
日本でも4大メガバンクがすべてTeradataのユーザーであるほか、百貨店トップ20社のうち6割がやはりTeradataを活用し、顧客の購買行動を分析するなどして、国内消費が先細る淘汰の時代にあっても競争力を高めようとしています。
同社が提唱するのは、経営者から現場の担当者に至るまで、一貫性のある鮮度の高い情報を日常業務の中で生かすことができる「アクティブ・エンタープライズ・インテリジェンス」です。これを実現するためには、さまざまな業務系システムと情報系システムの垣根を取り払ってデータを一元化する必要があり、並大抵のデータベースやソリューションでは難しいと考えられています。
ビジネスを丸ごとデータ視点で表現
ブロブストCTOは、テラデータが長年培ってきた、業界ごとのデータモデルを提供できることも同社のソリューションの強みとして挙げます。このデータモデルは、業界ごとに典型的なビジネスが、データという視点から丸ごと表現されているもので、特定の技術に依存していません。ユーザー企業は、これを「ブループリント」、つまり設計図として活用し、自社のビジネスに合わせて詳細設計したり、拡張しながら効率良く全社の情報を管理していけます。
情報システムが部門ごとに最適化されてしまっている日本の多くの企業では、部門ごとに出てくる数字が違う、ということがしばしばあります。ようやく製品マスターや顧客マスターの統合に目を向け、取り組みを始めている企業もありますが、個別に始めてもアナーキーな状態を助長するだけだとブロブスト氏は指摘します。
SOAによるシステム構築のアプローチも、データのサービス化なしには実現できません。
突き詰めていくと、部分最適から全体最適への壁を越えられるか、という日本企業の運営システムが抱える課題にたどりつきそうです。