10周年を祝うLotus Sametime、GoogleやSkypeとは違う?
日曜日は未明からしんしんと雪が舞い、久々の積雪となりました。週明けの朝もなかなか気温が上がらず、底冷えします。NFLスーパーボールの生中継を暖かい部屋でゆっくりと楽しみたいところですが、そうもいかず、残った雪が凍りついた道を取材先に向かいます。
寒さといえば、1月下旬の米国もかなり寒かったです。フロリダ州オーランドまで「Lotusphere 2008」の取材に出掛けたのですが、やはり米国の天候をナメてはいけません。乗り継ぎのシカゴが極寒だったのは覚悟してましたが、フロリダ半島の付け根にあるオーランドまでが零下になるとは……。リバーサイドで行われたカンファレンスのウェルカムパーティーも寒さに耐えきれず、すぐに部屋に退散してしまいました。「フロリダだから」と薄着で出掛け、大失敗でした。
それでも、マーチン・ルーサー・キング・デーの1月21日、カンファレンスが初日を迎えると、ようやく寒さも緩み、フロリダらしいキラキラした太陽の光が注ぎ始めました。「Hannover」のコードネームで開発が続けられてきたNotes 8が昨年、出荷されたこともあって、今年のLotusphereは目新しいニュースのネタには乏しいとみられていましたが、蓋を開けてみると、「Lotus Sametime」の10周年や、中堅および中小企業市場をターゲットにした、いわゆるDominoアプライアンスサーバである「Lotus Foundations」、同社初となるSaaS、「Bluehouse」も披露するなど、盛りだくさんの内容となりました。2月4日版のITmedia Podcast「マンデー・エンタープライズ」ではSametimeの10周年を取り上げてみました。
リアルタイムコラボレーションのためのプラットフォーム
Sametimeは、簡単に言ってしまえば、リアルタイムコラボレーションのためのプラットフォームであり、分かりやすい例としては、インスタントメッセージングなどの機能があります。
その誕生は、1998年5月に実施された2つの会社の買収まで遡ります。Lotusは既にIBMの傘下にあったものの、まだ独立した子会社として活動していたころです。奇しくも5月19日という同じ日に、Lotusは、Webカンファレンス製品のベンダーだったケンタッキー州レキシントンのDataBeamと、インスタントメッセージングベンダーだったイスラエルのUbique(ユビーク)を買収しました。
既にコラボレーションのリーダーとしてその地位を確立していたNotes/Dominoでしたが、「すぐに専門家の意見を仰いで顧客の問題を解決したい」といったリアルタイム性には欠けていました。Notes/Dominoを補完し、より幅広い企業のコラボレーションのスタイルをセキュアな環境で支援するのがSametimeの狙いだったのです。
あれから10年の歳月が流れ、Sametime 8.0は音声やビデオも統合し、統一されたユーザー体験によってリアルタイムのコラボレーションを促進できる「ユニファイド・コミュニケーション&コラボレーション」のプラットフォームとして進化を遂げています。その進化は、VoIPの普及と歩調を合わせており、コンピュータと通信の融合で生まれつつある、新たな市場をターゲットとしています。
IBMはまた、オープンかつ拡張可能なソフトウェアプラットフォームとして開発を進めることに努め、エコシステムを構築することにも成功しました。Arcatel、Avaya、Cisco、Nortel、Simence、および3Comといった名だたる通信機器メーカーがパートナーに名を連ねているほか、今回のLotusphereでは、EricssonとNECが新たに名乗りを上げました。
コンシューマー向けのインターネット企業がさまざまなインスタントメッセージングサービスやIP電話サービスを無償で提供していますが、セキュリティやコンプライアンスの観点からも、また、統一されたユーザー体験の観点からも、Sametimeの右に出るものはありません。ターゲットも違えば、ビジネスモデルも違うのです。何よりもフォーチュン50のうち29社、トップ15の銀行のうち12行が採用していることが、それらを雄弁に語っています。
コミュニティー機能も追加
次の10年に向けた拡張も着々と進められています。
今年上半期に出荷が計画されているSametime Advancedは、新たにコミュニティー機能を盛り込み、コラボレーションの在り方を再び大きく拡張しています。これまでのSametimeが、知っている人同士のコラボレーションを支援するのに留まっていたのに対して、Advancedでは、専門知識を持つコミュニティーや専門家を探し出し、すぐに連絡を取ることができるようになります。
また、今年下半期に登場するSametime Unified Telephonyは、電話によるコミュニケーションをすべてSametimeから管理できるようにしてくれます。席に居るときはPCで着信し、外出すれば携帯電話で着信する、といった具合です。いわゆる「フォローミー」の機能をSametimeでマネージできるわけです。カレンダーでミーティングが設定されていれば、ボイスメールに切り替えることもできます。これらの設定は、条件とデバイスのルールを定義することで簡単に行えます。
かつては、Notes/Dominoの補完、として買収された技術から生まれたSametimeですが、新たなカテゴリーを切り開き始めています。